サララは何かの魔法を
唱えようとしている。

シンディさんやカレンが感じたのと
同じように、
僕も嫌な予感がしてきた。
 
 

ビセット

皆さん、こちらへ。
結界魔法を使いますので。

シンディ

君子危うきに近寄らず、ね。

トーヤ

てはは……。

 
 
僕たちはビセットさんが
即座に作り出した結界の中へ避難した。

この中にいれば
大抵の魔法攻撃は防げると思うけど。



でも確実とは言えないんだよね……。

サララは元・魔王四天王だった
デリンさんの使い魔だけあって
魔法力も魔法の威力も大きい。

そんな彼女が魔法を使い、
しかも成功率が低いという
不安定な状態となれば
警戒せざるを得ない。


ビセットさん自身も勇者である
アレスくんの審判者という立場だから
実力的には拮抗してると思うので
なんとかなる……と信じたい。
 
 

カレン

あっ、やっぱり
サララは何かの
魔法を使うみたい。

ビセット

皆さん、
身構えていてくださいね。

ドンガラ

ひぃ~。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
直後、サララは何かの魔法を行使した。
すると彼女の周囲の空間が大きく歪んで
小刻みに震えはじめる。




もしかして竜巻っ!?

ということは、風系魔法?
この水中で使ったらマズイ系統だと
話していたばかりなのに。
 
 

ビセット

トルネードの魔法ですね。
しかも驚くべきことに
成功しています。

シンディ

これが水中以外で、
しかも絶体絶命の
ピンチの時に
発動してくれたら
旅も楽になるんだけどね。

トーヤ

シ、シンディさん
それを言ったら
おしまいですよ……。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
それから程なく不規則かつ
猛烈に荒れ狂う水流が
僕たちの方にも襲いかかってきた。


結界の中にいるから今のところは
被害がないけど
その衝撃や振動などは感じられる。

そして第一波が過ぎ去ったあとも
何度も水流が僕たちのところへ
襲ってきたのだった。



気付けば周囲は更地のように
お掃除されてしまっている。
 
 

カレン

あ、ソニアさん。
サカマタンの一匹を
拘束魔法で捕まえて
痛めつけちゃってる。

ドンガラ

エグイ……。

ビセット

ほかのサカマタンたちは
いないみたいですね。
吹き飛ばされたか
ミンチになったか。

トーヤ

いずれにしても
無事じゃないですよ。

カレン

早くソニアさんの
ところへ行って
サカマタンから情報を
聞き出しましょう。

シンディ

早くしないと
ショック死するかも
しれないしね。

トーヤ

てはは……。

 
 
僕たちは結界を出ると、
急いでソニアさんたちのところへ
移動した。

でももしビセットさんの
結界がなかったら
僕たちも無事では済まなかったのに
ふたりとも気にしてないみたいなのが
困るなぁ。
 
 

ソニア

みんな遅いわねぇ。
片付けは
終わっちゃったわよ?

カレン

巻き添えを食わないように
避難してたんですよ。

ソニア

あ、やっぱり?
ビセットの結界が
見えたから
サララに思いっきり
暴れろって言っちゃった。

サララ

今回は魔法が
成功しましたぁ。
ソニアさんの指示で
トルネードを試したんです。

ビセット

やはり元凶は
ソニア殿でしたか。

シンディ

もう少し考えて
行動してほしいものね。

ソニア

で、サカマタンの
一匹は逃げないように
確保しておいたよ。
もう素直に
なってるんじゃない?

カレン

あれだけの暴虐振りを
目の当たりにしたら
それは……ね……。

ソニア

じゃ、魚類B。
話を聞かせて
もらいましょう。

ドンガラ

魚類Aは
おそらくあっしの
ことなんでしょうね……。

 
 
ソニアさんの言う通り、
サカマタンは大人しく命令に従った。

生殺与奪を握られていて
しかもあの暴虐振りなのを
分かっているから当然だろうけど。

絶対に敵には回したくない人だよね……。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第371幕 笑う黒幕

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