──温水プールの約束の当日。
沙穂先生に案内されて行った先には、
高級ホテルがあった。
──温水プールの約束の当日。
沙穂先生に案内されて行った先には、
高級ホテルがあった。
すごいです~。
こんな高級ホテルのプールに
入るですか?
ええ。
中はもっとすごいわよ
わあ、楽しみ!
本当、楽しみだな。
みんなの水着が!
アンタは、何をさり気なく
バカなこと言ってんのよ!
イダッ
お前ら何してんだ?
置いてくぞー
待ってくださいよ!
日下部さんの水着、
可愛いわね
そういう珠來先輩の水着も
可愛いですっ
うんうん、
二人とも可愛いわよ
あ、倉敷先生……
はみゅ……
珠來と苺香ちゃんは、頬を赤らめて
沙穂先生の水着姿に見とれている。
その視線は、主に胸元に集中していた。
(そりゃそうだよなぁ。
沙穂先生のおっぱいの大きさには
女でも目が行っちゃうよな)
おい、陽太
な、なんだよ?
いつもは服の上からしか
拝めなかったけど、
沙穂先生の胸のサイズって
やっぱすげーな
ゴクリ
そうだな……。
想像をはるかに
超えてきたぜ……
でも、スク水じゃない
苺香ちゃんも新鮮じゃないか?
たしかに!
普段とギャップがあって
より一層かわいいぜ~!
お前らお子様だな。
来栖のバランスの取れた身体の
良さがわからないなんて
そういえば、
来栖があんなに露出してるのって
すげー貴重かも!
うう……いかん、
それぞれの良さがあって
目移りがする……
ねえ!
男の子三人で固まってないで、
こっちに来て一緒に遊ばない?
いや、俺はこのまま
眺めてるだけでも……
そうだ!
陽太と俺、それに成瀬先輩の
三人で勝負しようぜ!
い゛っ?
な、なんでまた
勝ったやつが女の子に
なんでも好きなことをして
もらえるってのはどうだ?
へー、面白そうじゃん
ちょっと待ってよ!
好きなことって、まさかエッチな
ことじゃないでしょうね?
心外だな。
俺がそんなことを
命令すると思うのか?
成瀬先輩じゃありません。
陽太と、堀川がです
なんで俺まで?
提案したのは優斗だろー!?
それなら陽太ちゃんは、
勝っても変なことをさせない
って約束してくれるですね?
うっ……。
そ、それはちょっと
自信が無い……かも
ほら見なさい!
じゃあ、こういうのはどう?
勝った人が、女の子に
ソフトクリームをあーん
って食べさせてもらうの
おおっ、それナイスっすね!
悪くないな。
他のみんなはどうだ?
苺香もいいと思うです。
あーんしてあげたいです
わ、私も……
別に、それでいいけど……
さすが沙穂先生、
可愛い発想だな。
怒ってばかりの珠來とは
えらい違いだ
今すぐ水に沈めて
あげてもいいのよ?
じ、冗談だって!
じゃあ、決まりね。
みんな頑張ってね
(もし優斗や裕貴さんが勝ったら
珠來を指名する
可能性もあるよな……)
(ここは負けられないぞ!)
俺、優斗、裕貴さんの三人で
スタートラインに立つ。
位置に着いて……
よーいっ、ドンッ!
珠來の合図と共に、
俺たち三人は一斉に泳ぎ始めた。
陽太ちゃーん!
がんばれです~~!
こらこら、
みんなを平等に応援しなくちゃ
ええ~?
陽太、しっかりしなさい!
成瀬先輩、そのペースです!
堀川は適当にやんなさい!
俺はついでかい!
(クソッ!
スタートが遅れて裕貴さんに
リードされてる!!)
(華胡を連れて来て
水着になって
もらえば良かったかな)
(なんて、女々しいこと
言ってられるか!!)
うおおおおおっ!!
うそっ!?
陽太ちゃん、すごいですぅ
中島くんが追い上げてきたわね
全力で泳ぎ切った俺は、
プールの淵に手を着いた。
水中から顔を上げ、左右を見回す。
すると俺に一歩遅れて裕貴さん、
続いて優斗がゴールした。
やったー!
一着だあぁ~っ!!
はあっ、はあっ……くそっ!
お前、やるなあ……
陽太ちゃん、おめでとうです!
じーん
(まさかあの状態から
裕貴さんを追い抜けるなんて
思わなかった!)
それで、誰にソフトクリームを
食べさせてもらうんだ?
あ、えーと……
沙穂先生がこちらをニココニと見ており、
苺香ちゃんは期待の眼差しを俺に向けていた。
(沙穂先生や、
苺香ちゃんもいいけど……
やっぱり俺は!)
珠來、お前でいい
えっ……私!?
ええ~っ、そんなぁ……
ふふっ、中島くんなら
そう言うと思った
何言ってんですか沙穂先生!
珠來が一番頼みやすいかなと
思っただけですよ!
こういう場面で
照れ隠しするのって、
可愛くないよ?
うっ……
ばかっ……
珠來は背を向けて、どこかへ行ってしまった。
ほらー、
陽太が変なこと言うから
来栖が怒っちゃっただろー?
いや、だって……つい
だったら、苺香が陽太ちゃんに
あーんってしてあげるです!
へっ?
苺香ちゃん??
(それはそれで嬉しいけど、
でも……珠來が……)
おっ。
来栖が戻って来たぞ
えっ?
ほ、ほら。
買ってきてあげたんだから、
早く食べなさいよっ
なんだ。
怒ったわけじゃなかったのか
せっかく私を選んでくれたのに、
どうして怒んなくちゃ
いけないのよ
え……?
いいから食べなさい!
わ、わかった……
(うわっ、
珠來の顔が
こんなに近くに……)
どうしたの?
食べないの?
た、食べるよ
珠來に差し出されたソフトクリームを食べると、
冷たくて……すごく甘かった。
うまいよ、珠來
こ、これっ。
結構恥ずかしいんだから、
早く食べちゃってよ
珠來が
『お召し上がりください、
ご主人様ぁ☆』
なんて言ってくれたら
一気に食べるけどな!
……お召し上がりください。
ご・主・人・様あぁ~!!
珠來がソフトクリームを顔面に押し付けてきた。
ぶはっ!
ストップストップ!
陽太が調子に乗るからよ!
あうぅ~……
二人とも、とっても
楽しそうですぅ……
ちょっとやけちゃうね。
でも、珠來ちゃんも中島くんも
楽しそうで良かった
チクショ~、
俺が一着になってれば、
今頃……!
はははっ。
なんにしても羨ましいな
はー、楽しかった!
ありがとうございます、
沙穂先生
今日は沙穂先生と成瀬先輩の
お祝いなのに、
私達が楽しんですみませんでした
謝るなんておかしいわよ?
みんなが楽しんでくれて、
私も楽しかったもの
そうそう。
俺も楽しかったぜ!
あー、でもみんなが揃って
遊ぶことって、
もうないんだろうなぁ
そんなことないですよ!
呼んでくれれば、
いつでも飛んで行きますよ
俺も、陽太にくっついて
参上しますよ~
苺香もです!
わ、私も……
お前らいい奴だな。
またみんなで遊ぼうぜ!
ふふっ。
私も日本にきたら、
みんなに声をかけるわね
わあ!
楽しみ!!
沙穂先生!!
約束ですよ!
(二人がいなくなるのは
寂しいけど、
笑顔で送り出さないとな)