シュウヤ

…………

アサヒ

…………

シュウヤ

………………

アサヒ

………………

シュウヤ

……………………はぁ

アサヒ

あー、もう!さっきから何なの?

アサヒ

朝いきなり来たと思ったら、それからずーっと変な顔してるし

アサヒ

用事を聞いても「心の準備が……」って、ため息ばっかり吐いちゃってさぁ

アサヒ

正座して待ってるこっちの身にもなってよ、そろそろ足が痺れてきたんだけど

シュウヤ

あ、足は崩せば良いだろ

アサヒ

相手が真面目な顔して正座してるのに、足を崩したらなんだか失礼だろ

シュウヤ

あ、そう……

アサヒ

なんだか、反応が悪いなぁ……どうしちゃったんだろ

アサヒ

それで、心の準備はできた?

シュウヤ

………………

アサヒ

はぁ……存分に心の準備してよ、待ち続けるからさ

シュウヤ

…………アサヒは

アサヒ

ん?

シュウヤ

ボクが……シュウヤが兄で良かった、なんて思ったことはある?

アサヒ

え、なにその質問、突然すぎない?もしかして、その質問のためにずっと心の準備してたの?

シュウヤ

いや、違う

アサヒ

違うんかい

アサヒ

ってことは、わざわざここに来た目的は別……か

アサヒ

突然すぎて意味が分かんないし、兄貴の様子は変だし……

アサヒ

…………兄か

アサヒ

少なくとも今は、シュウヤが兄貴で良かったと思うよ

シュウヤ

今は?

アサヒ

記憶がないから、以前のことは分かんない

シュウヤ

そっか、そうだよな

アサヒ

でも、多分……以前のボクも「シュウヤが兄で良かった」と思っていたと思う

シュウヤ

え、どうして?

アサヒ

正直言うとさ、この場所で目覚めた時、シュウヤのことを"兄貴"と認識していなかったんだ

シュウヤ

ぁ……

アサヒ

でも、シュウヤが傍にいることに、なんだろう、こう……安心?して

アサヒ

その瞬間に「あ、この人はボクの兄だ……信頼できる兄貴だ」って、思ってさ

シュウヤ

信頼できる、兄貴……

アサヒ

潜在意識、っていうやつかな

アサヒ

あんな意味不明の中でそんなことを瞬時に理解するなんてさ……以前のボクがシュウヤのことを、かなーり信頼していた証拠じゃない?

アサヒ

だから、今も昔も、なんならこの先も!「シュウヤが兄貴で良かった」って思い続けるよ

シュウヤ

アサヒ……

アサヒ

多分

シュウヤ

多分かよ!!

アサヒ

しょうがないじゃん。以前の記憶はないし、将来のことなんて分かんないし

アサヒ

だけど、今は信頼してるよ。兄貴

シュウヤ

……はぁ、意地悪な弟の面倒を見るのは大変だな

アサヒ

意気地無しな兄貴の背中を押す弟の身にも、なって欲しいよ

シュウヤ

はっ、兄にべったりな甘えん坊の弟が何か言ってるな

アサヒ

…………

シュウヤ

…………

シュウヤ

や、やっぱりちょっと待って……

アサヒ

うん、知ってた

アサヒ

まぁ良いや、どうせ暇だし……兄貴を待ち続けるよ

アサヒ

あ、足は崩させてね

シュウヤ

ん、どーぞ。ボクも足が痺れてきた

アサヒ

気分転換したくなったら教えてよ、ゲームでボコボコにしてあげる

シュウヤ

ああ、分かった。ボコボコにしたくなったら声かけるよ

シュウヤ

……アサヒ

アサヒ

んー?

シュウヤ

ありがと

アサヒ

へへ、どういたしまして

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