情けない声と共に従妹の順(じゅん)が差し出してきた色褪せた紙片を、首を傾げながら受け取る。
ゆ、尤理(ゆうり)ぃ~。
情けない声と共に従妹の順(じゅん)が差し出してきた色褪せた紙片を、首を傾げながら受け取る。
これ、は……。
紙片の文章は、同じ手紙を何人かに送付しないと不幸になるという、大昔に流行したとデータベースに記載されていたものに似ている。
こんな古いもの、
順はどこで手に入れた?
郵便受け、に、入って……。
……。
郵便制度が廃止されたのはかなり前。
祖父母の家にあるお飾りの郵便受けに届く手紙なんて無いことは順も分かっているはず。
……。
溜め息を飲み込み、南にある山の緑へと目を移す。
おそらく、この手紙は、あの山の向こう、過去と現在が交差する『禁域』から届いたものだろう。
迷惑。
大丈夫。
えっ?
俯く順に微笑むと、尤理は何の躊躇いも無く、手の中の手紙をゴミ箱に放り込んだ。