それから私は、ずっと歩いていた。

沢山のヒトに会ったけれど、皆一様に
顔を顰めて私を避ける。

近寄るな。バケモノめ

……

違うの。愛したいだけなの。
どうして?優しくしてあげるのに。

やがて、数年が経った時、
脚部の指先にヒビが入った。
耐用年数がとっくに過ぎた部品は
端から砕け、崩れていく。

……

ッ!!

それを無視して更に歩き続け、
足首まで砕けた時、
バランスが取れなくなって道に倒れた。

ギロッ

周りのヒトからの刺すような視線から
逃れるように、這って路地裏へ逃げ込む。

……

空き地の片隅、コンクリートの壁にもたれて
座る。そして、ずっと、空を眺めて過ごす。

何度も何度も、明るくなり、暗くなり、
雨が降り、日が照り、
雲が流れれば少し目で追う。
それだけの日々。

………

気付かれていないだけか、壊れたアンドロイドを
わざわざ片付けようともしないのか、
誰かに触れられることもないまま。

空が白く曇った日が多くなってきた、
と思ったら、
頬に雨が当たった感触がして、
レンズが真っ白く濁っている事に
気付いた。

………?

真っ白な視界の中、強くなってきた雨を
身体に受け続けていると、ふと、
雨音の隙間に、ヒトの声が聞こえた気がした。

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