ナギ

ぐっ……!?

ナギ

っ、ダメ、倒れちゃダメ……なのに……もう、動けない…………

ナギ

また……またあの岩が、飛んでくる

ナギ

きっと痛い……いや、痛みさえも感じる前に、死んじゃうかな……

ナギ

申し訳ございません、殿下。騎士としての務めも果たせずに死んでしまうこの私を、どうかお許しください……

ナギ

……お兄ちゃん、ごめんね

クラウド

気になったから尾けてたけど、正解だったね

フウル

よ、良かったぁ、間に合いました……

クラウド

ふんっ。これは貸しだからね、騎士団のお嬢さ……

ナギ

………………

フウル

気絶されてますね。無理もないです、あんなに攻撃されたら誰だって……

クラウド

はあ……だからって、こうして戦いの場ですやすやされても迷惑なんだけど

クラウド

……まだやる気みたいだよ、フウル

フウル

えぇ、ワタシはもう戦いたくないですよ……!?

クラウド

じゃあ、この気絶してる人を放っておいて自分達だけでも逃げる?

フウル

うっ、それはできません……けど……

クラウド

見捨てることができないなら、やることは一つだけだよ。フウル

フウル

もーっ、分かりましたよ!後でいっぱい、ご褒美のケーキを買ってくださいね!?

クラウド

それはフウルの頑張り次第かな

ノーチェ

ナギ!!

ノーチェ

ぐ……なんだ、この不自然な風は……それに、羽の音?

ノーチェ

!?

ノーチェ

い、岩が吹き飛ばされた……!?

クラウド

ああ、ようやく来たね。待ってたよ

ノーチェ

っ、君は確か……

クラウド

それより、そこの騎士のお嬢さんを抱えて早く逃げてくれる?こんなところでぼさっとされても困るし

ノーチェ

!そうだ、ナギは……!?

ナギ

…………

クラウド

気絶してる。傷自体もそんなに深くはないから、ちゃんと治療すれば傷跡は残らないはずだよ

クラウド

言っとくけど、自分達が攻撃したわけじゃないから。むしろ、守ってあげてるんだからね

クラウド

これは、貸しだよ。義理堅い君なら、意味が分かるよね?

ノーチェ

…………

フウル

クラウド!そろそろワタシの魔力が尽きます……!!

クラウド

ほら。早くその子を連れて、逃げて

ノーチェ

っ、君も一緒に……

クラウド

だーれが王家の人間なんかと逃げるか。そんなことをするなら、ここで死んだ方がマシ

ノーチェ

あ、はは……随分な嫌われっぷりだな

クラウド

自分の胸に手を当てて考えてみたら?それとも、嫌われてる理由を一から説明して欲しい?

ノーチェ

いや、結構だ

ノーチェ

……感謝する

クラウド

さっきも言ったけど、これは貸し。いつか必ず返してもらうから

ノーチェ

ああ

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