御朱印ラリー

私と御朱印との出会いは、今から何年か前(十数年くらい)。友人と京都へ行き、どこに行こうかと観光案内で相談していた時だった。

りすちゃん

ねーねー
御朱印ラリーってあるよ。

ポスターを見つけてリスちゃんが言った。

佳純

御朱印って何?

あんまり興味はなかった。

りすちゃん

さぁ?

御朱印の知名度がかなり低い頃だった。

りすちゃん

スタンプラリー
みたいな感じなのかな?

印とラリーでりすちゃんはそう連想した。
ポスターもそんな感じで、りすちゃんがそう思ったのは無理がなかった。

すると、苦笑いをした旅行案内の方が

御朱印ラリーは
スタンプラリーではありません

と、聞いていなかったのに教えてくれた。
おそらく、それがとても不本意だったのだろう。

神社やお寺を多くの方々に知ってもらおうと私どもが企画をいたしまして、

神社やお寺を巡りながら
御朱印をいただくものです。

分かり易くするために「ラリー」
という言葉を使用しておりますが、

スタンプラリー
ではありません。

地味に強調された。

これに賛同してくださったお寺や神社の方々は、スタンプラリーと違うことを……

けっこういろいろと説明してもらった。

佳純

……

りすちゃん

……

それを聞く私とりすちゃん。

私の勝手な要約だが、京都の寺社を若い人にも回ってもらいたいから御朱印ラリーを企画したけれど、

御朱印はスタンプラリーの
スタンプではない。

と、快く参加してくれなかった寺社が多かったのではないかと思った。

もしくは第2回だったので、第1回でかなり問題が起こり

スタンプラリー気分で御朱印をもらいにくる連中がいるぞ!

というクレームがあったのかもしれない。
あくまでも私の想像で違うかもしれないが、

スタンプラリーではありません。

を、かなりしつこく言われた。

佳純

参加したいです。

そう言われると参加したくなり(それに神社やお寺に行けるということもあり)、私が言うと

……

あまりいい顔をされなかったように思う。

佳純

神社やお寺をお参りしてから
御朱印をいただけばいいんですよね。

話を聞いた感じで、お参りもせずに

お寺(神社)あった!
スタンプください!!

と、やるのがまずいんだろうと思った。

それだけを
すればいいわけではなくて……

佳純

もちろん神社やお寺で
お行儀の悪いことはしません。

そう言うのに限って
危ないんだけど……

という顔をしていた。

佳純

外面よし子さんな私を見て
どこをどう心配しているんだろう。

と、少し思っていた。
とりあえず御朱印ラリーに参加することになり、

佳純

りすちゃんは
どうする?

と、りすちゃんに聞いた。

りすちゃん

私はやめとくよ。
こういうの、集め出すと危険だから。

りすちゃんは凝り性で、集め出すとキリがなくなる性格だということを自分で理解している。
だからそうなる前にやらない。

でも興味はあるようなので、一緒に来てくれることにはなった。

佳純

その方が
効率的かもだね。

グループで1つ御朱印帳があれば、全員持っているよりもお得な気がした(こういう考え方がいけないのかもしれない)。

御朱印帳
1500円です。

ずいぶん前なので覚えていないが、それくらいの金額だったと思う。

佳純

お願いします。

お金を支払い、御朱印帳をいただき、ルールブックをもらって説明を受けた。

佳純

ルールブック?

御朱印ラリーの薄い冊子に
とても大きく書いてあった。

スタンプラリー感が強まった。

それを見て私が固まっていたのを見て

ルールブックですけど……

なんとなく気まずかった。

簡単に説明すると、ルールブックに記載された15寺社を訪れ、御朱印をいただいてくる。全ての御朱印をいただき、御朱印が押された御朱印帳を指定された観光案内所に持っていけば記念品がもらえた。

佳純

でも
スタンプラリーではない。

御朱印は
スタンプラリーの
スタンプではない。

そういう気持ちで参加しなければならない。
そして、ラリー実施期間はまだ1年以上残っていた。

佳純

御朱印を集めるために、
何度も京都に来いってことか。

そのためのイベントだったのだろう。

京都駅周辺の寺社ではなく、こんなところに寺社が? という感じの場所が多かった。

佳純

駅近くの有名寺社からは
断られたのだろうか?

と、思ってしまうくらい
へき地な感じな寺社が多かった。

佳純

神社やお寺ができたころは
JRの駅とかなかったわけだし……

そう思うことにした。
でも、ここにあった15の寺社はどれも最高に素敵な神社やお寺だった。

佳純

若い人にも
知ってもらいたい
京都なんだろう。

生まれて初めて手にした御朱印帳。
そして御朱印ラリーのルールブック。

佳純

わくわくするかも。

1回の観光旅行では済まなさそうな御朱印ラリーだった。交通費や宿泊代、その他もろもろを考えると恐怖だったが

佳純

なんとかなるだろう。

そんな気分だった。

スタンプラリーでは
ありません。

それをものすごく言われた気がする。

佳純

きっと
いろいろあったに違いない。

佳純

『京都』だもの……

この旅行案内の人のためにも、この企画を作ってくれた人たちのためにも、
参加者となった私は「スタンプラリーではない」という気持ちでいなければと思った。

佳純

がんばって
15寺社、まわるぞっ!

と、思った。

佳純

今、思うと
はじめにこれくらい
渋い顔をされた方が
御朱印をいただくためには
よかったと思っています。

※現在は私が行っていた御朱印ラリーはやっていません。

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