前方から音が発せられたと思った直後に、後方の花瓶が割れる。
前方から音が発せられたと思った直後に、後方の花瓶が割れる。
チッ、外したか…次は当てる
一瞬のことで何が起こったか理解できなかったが、前方にいるカラスの化け物が手にしているライフルを見て、自分に向かって銃弾が放たれたとわかった。
早く走れ、なるべく角を曲がるんだ!
弾って…ここは日本だぞ!
早くしろ!!死ぬぞ!!
ひ、ひぃいいい!
止まれえええ!ぶっ殺してやる!!
左だ、左に曲がれ…次は右だ!
うわあああああああッ!
後方から何度か銃声が聞こえたが、無我夢中で廊下を走る。
そこの部屋に入れ!!
わ、わかった!!
命からがら部屋に入ると、長机にきれいに並べられた食器が目に入った。
早く、テーブルの下に隠れろ!
いや、そんなのすぐにバレるだろ!
大丈夫だ、私が何とかする!
母さん、腹減ったよぉお!何か食べさせてくれ!
さっきの化け物に声が似ている!?
テーブルクロスをかき分けて机の下にもぐるとしばらくして乱暴にドアが開けられる
いない…クソッ、よりによってまた”目”が使えないところに隠れやがったか
”目”ってなんのことだ?
…柏ちゃん、お腹を空かせているの?
チッ、…あんたか
どうしたの?やっと私をお母さんって呼んでくれたのに…
ああ?俺がか?呼ぶはずねえだろ!!
そんなことより、ここによそ者が来なかったか!?
そんなことですって…
その様子じゃこっちの出口から出ていったか…じゃあな
待ちなさい!
カラスの化け物はもう一つの入口から部屋を出ていく。
なんだこの家族…仲がいいわけじゃないみたいだな
いずれにせよ、あいつが出ていってくれて良かった
…おかしいわね
おい、まずいぞ
え?
おかしい、おかしい、おかしい、おかしい、おかしい、おかしいおかしい…
私を、わたしを、ワタシを…お母さんってッ!
お母さんってお母さんてお母さんお母さんお母さんってオカアサンッテ…
確かに言っていたのにッ!!!!
突然、長机が投げ飛ばされ並べられた食器が豪快に割れる
ひッ…!?
あら?あたなた達…
あ、あの俺は…
話しても無駄だ、すぐに逃げろ!!
あなた達のせいだったのね…あの子が私をお母さんって…
言ってくれたと思ったのにぃいいい!!
細い見た目から想像できない怪力で太い机の脚や椅子を投げつけてくる
た、助けてくれぇええええ!
つづく