少年・楓也は遼波の言葉を聞いて名乗り、言った。
俺の名前は鷹代楓也(たかしろふうや)だ。お望み通り俺は名乗った。次は御前の番だ
少年・楓也は遼波の言葉を聞いて名乗り、言った。
どうするの?
小声で言いながら不安そうに花蓮は遼波を見た。
先程遼波は名前の重要性について話したばかりだ。明かすのかどうか……心配があった。
そんな花蓮の視線に遼波は大丈夫、というように目で応える。
続けて楓也に視線を戻した遼波が言ったのは……花蓮が知らない方の名前だった。
私は黎明呪暗(れいめいじゅあん)と言います
名乗る遼波に楓也が詰め寄る。
花蓮とはどう言う関係だ?
ちょっと楓也、やめてよ! この人は私を助けてくれた恩人なの!
恩人……? この胡散臭い奴がか?
そんな言い方しないで! 呪暗は凄く優しい人なんだから!
”遼波”と言う名前を伏せながら彼を庇う。
楓也の遼波を侮辱する言葉が赦せなかった。
御前……いつの間にこの男に其処まで入れ込んだ?
花蓮、御前は絶対騙されてる。目を覚ませ!
どうしてそんな酷いこと言うの!?
泣きそうな顔で花蓮が言うと流石に言い過ぎたと思ったのか、楓也は幾分か声のトーンを落として言った。
俺は御前が心配だ……。
折角状態も良くなったのに其奴と居るだけで悪くなったら……
何言ってるの!? 一緒に居るだけで悪くなる!? そんなことある訳ない!!
俺もそんな馬鹿なことは無いと思っている。
でもその男は……死神にそっくりなんだよ!
!
花蓮は息を呑んだ。そっくりも何も遼波は自分から死神だと名乗っていた。
思わず彼の様子を伺う。しかし遼波は相変わらずの無表情で……一言も発さなかった。