???

俺の名前は鷹代楓也(たかしろふうや)だ。お望み通り俺は名乗った。次は御前の番だ


 少年・楓也は遼波の言葉を聞いて名乗り、言った。

花蓮

どうするの?

 小声で言いながら不安そうに花蓮は遼波を見た。
 先程遼波は名前の重要性について話したばかりだ。明かすのかどうか……心配があった。
 そんな花蓮の視線に遼波は大丈夫、というように目で応える。

 続けて楓也に視線を戻した遼波が言ったのは……花蓮が知らない方の名前だった。

遼波

私は黎明呪暗(れいめいじゅあん)と言います


 名乗る遼波に楓也が詰め寄る。

楓也

花蓮とはどう言う関係だ?

花蓮

ちょっと楓也、やめてよ! この人は私を助けてくれた恩人なの!

楓也

恩人……? この胡散臭い奴がか?

花蓮

そんな言い方しないで! 呪暗は凄く優しい人なんだから!

 ”遼波”と言う名前を伏せながら彼を庇う。
 楓也の遼波を侮辱する言葉が赦せなかった。

楓也

御前……いつの間にこの男に其処まで入れ込んだ? 
花蓮、御前は絶対騙されてる。目を覚ませ!

花蓮

どうしてそんな酷いこと言うの!?


 泣きそうな顔で花蓮が言うと流石に言い過ぎたと思ったのか、楓也は幾分か声のトーンを落として言った。

楓也

俺は御前が心配だ……。
折角状態も良くなったのに其奴と居るだけで悪くなったら……

花蓮

何言ってるの!? 一緒に居るだけで悪くなる!? そんなことある訳ない!!

楓也

俺もそんな馬鹿なことは無いと思っている。
でもその男は……死神にそっくりなんだよ!

花蓮


 花蓮は息を呑んだ。そっくりも何も遼波は自分から死神だと名乗っていた。
 思わず彼の様子を伺う。しかし遼波は相変わらずの無表情で……一言も発さなかった。

第3話 死神VS幼馴染

facebook twitter
pagetop