* * *
ソ―ディアへと続く道
* * *














ポメラ

……。

ポメラ

この道……。
5年ぶりか……。

ポメラ

変わってねぇなぁ……。
この荒れっぷり……。

ガイアス

な、なぁ、ポメラの姉御ぉ……。

ポメラ

姉御はやめろ!
アタシの方が年下だっつーの。

ガイアス

だって、俺、姉御の舎弟ですし……。

ポメラ

ああ、まあそうだったな……。

ガイアス

ともかく、姉御。
この馬車はソーディアから少し離れたところまでしかいけませんぜ。

ポメラ

ああ、それはわかってる。
むしろ、その方が好都合だ。

ガイアス

それならいいんですが……。
ソーディアの周辺も、不気味なオーラが漂ってるから、あんまり行きたくは……。

ポメラ

なぁに、その不気味なところの手前でも十分さ。ともかく行けるところまで言ってくれ。

ガイアス

わかりやした、姉御。

ポメラ

まったく、泣き虫のガイアスがしっかり御者になっちゃって……。










***












ガイアス

あ、ウォーレウスのポメラだ!

やーい!お前んち役立たずー!!!

ポメラ

キッ!

ガイアス

うわーい、ポメラが怒ったー!!

逃げろ―!!!

ポメラ

……。





ガイアス

あっ!





ガイアス

あわわわ……

ああ!!ガイアスが崖に落ちる!!!





























ガイアス

たーすーけーてー!!


















ガイアス

え!?






  ポ、ポメラ!  

ポメラ

どっこい……

ポメラ

せ!

ガイアス

うわ!






ポメラ

へへ、いっちょ上がり!

ガイアス

た……たすかったぁ……

ガイアス

こ、怖かったよぉ―――!!!

ポメラ

ほら、泣くんじゃないの!
ガイアスはアタシより年上の男の子でしょ。

ガイアス

ヒック……。
う、うん……。

ポメラ

おっけー!
じゃあ、ガイアスはこれから私の舎弟ね。

ガイアス

う、うん……?

ガイアス

なんで!?

ポメラ

 だって、アタシはガイアスの命の恩人だよ?

ポメラ

なら、命をもって恩返ししてよね。

ガイアス

ぽ……ぽ……ポメラの……

ガイアス

どヤクザァァァ!!!!
















ポメラ

あれからもう15年かぁ……。





















風のヴォルク


















* * *
ヴォルク家
* * *



フーッ、フーッ……

シーラ

ヴォルクさん!
気をしっかり!!

ソルフェ

気を抜くな、シーラ!

ヴァッ……!!!

シーラ

はっ!













……!!!

ライル

ボクの存在を忘れてもらっては困りますね。

シーラ

ライル!

ソルフェ

危なかった……。

ソルフェ

シーラよ、今の露天商に何を言っても無駄だ。ヤツの言ったように、飲み込んだコアを破壊しなくてはならぬ。

シーラ

は、はい!

ライル

シーラ様も、もう少しボクを頼ってくださいよぉ……。

シーラ

ご、ゴメンナサイ……。

ソルフェ

無駄話は後だ、ライルよ。
ポメラの居ない今、格闘戦はお前に頼るほか無い!

ライル

任せてください!

ライル

む!

ライル

スローイングナイフ!












ソルフェ

椅子の影から……!

ライル

なんの!

………。

ライル

ボ……ボクは……投擲以外だってこなしますよ?






シーラ

さっすがライル!

ライル

てへへ

ソルフェ

しかしいかんせん、体が軽すぎる……。
ヴォルクの方も機動性重視の戦い方なので噛み合っているに過ぎない。
つまり……。

ヴァウアッ!!!







ライル

ひょっ!?









シーラ

ああ、ライル!
振りほどいて!








ヴァッ!!!

ライル

ひぇー!!












シーラ

ライル!!!







ライル

な、なんのこれしき……

ライル

グッ……。

ソルフェ

……体格差を活かした戦いをされてしまうと、太刀打ちできない。









シーラ

ああ、また来る!!

ソルフェ

加えてこの容赦のない速攻。
風のヴォルクとはよく言ったものだ。





ライル

くっ!!






ヴァウア……

ライル

まずい、やられる……

ソルフェ

……しかし。






ヴァッ!?








シーラ

ライルがピクリとも動かない……。

ライル

こ、これは……。








ソルフェ

行動阻害の呪詛
《アンチムーヴ・エンチャント》。

シーラ

前に、ポメラの動きを止めようとした……。

シーラ

それをヴォルクさんに!

ソルフェ

違うぞ、シーラ。
露天商のヤツは速すぎて、呪詛を仕掛けるなど到底無理だ。

シーラ

え?

ライル

か、体が重い……。

シーラ

まさか、呪詛が付与されたのはライル……?

ソルフェ

その、まさかだ。

ソルフェ

おかげで、誰かさんの動きも止まることになったがな。

ヴァウァ……。

ソルフェ

ほうれ、もう一丁。

ソルフェ

行動阻害の呪詛
《アンチムーヴ・エンチャント》!!

ヴァヴァッ!?






シーラ

さすがのヴォルクさんも、ポメラほどの怪力は持ち合わせてないみたいね……。

ヴァー……。
ヴァー……。

ソルフェ

さぁて、どう料理してくれようかな、露天商。
みぞおちに強烈な衝撃でも与えてみるか?

ライル

ソルフェージュさまって……なんかこわい……。







ソルフェ

シーラよ、ヘビーマテリアルだ。
露天商のヤツを仰向けに倒して、みぞおちに食らわせるぞ。

シーラ

はい!

ソルフェ

まずはその足を絡め取る!

ソルフェ

身じろぎ許さぬ蔦!
《ヴァインバイン》!

ソルフェ

そして、もんどり打って転べ!

ソルフェ

そこへー……

ソルフェ

シーラ!

シーラ

堅く重きその体。
的を射貫く矢の如く。
天よりその身を降りそそげ!

シーラ

いでよ、ヘビーマテリアル!












ソルフェ

そのまま、露天商のみぞおちを直撃じゃぁ!

シーラ

ソルフェージュ様、とっても楽しそう……。

ライル

ヴォルクさん、ソルフェージュ様に嫌われてるのかな?













と、その時です。

































































































ソルフェ

む!?

シーラ

あら、めまいかしら……。

ソルフェ

いや、違うぞこれは……。




































































































あたりを白い光が包んだかと思うと、


先程まで目の前にいたアーク=ヴォルクの


姿がなくなっていました。






シーラ

……ヴォルクさんがいない。

ライル

逃げられちゃいましたかね……。

ソルフェ

いや、少し違うようだ。

シーラ

違うといいますと……?

ソルフェ

どうやら、遠隔から固有結界のようなものを張られ、連れ去られたようだな。

ライル

そんな芸当、一体誰が……。

ソルフェ

ヤツの言動から察するに、露天商……いや、ヴォルク・ドルバは、おそらく羅針盤として使われていた。それも、3年以上前から。

ソルフェ

つまり……。

シーラ

トロワに……連れ去られた……?

ソルフェ

そういうことになる。

ソルフェ

トロワへの足がかりとして探していた『信心の鏡』だったが、まさか直接トロワにつながる者に出くわそうとはな……。

シーラ

けれども、そのヴォルクさんの行方もわからないような……。

ソルフェ

ふっふっふ……。

ライル

……ソルフェージュ様?

ソルフェ

先程、我が露天商に何をしたか忘れたか?

シーラ

行動阻害の……呪詛……。

ソルフェ

そう。呪詛ならば術者から離れても効果は消えない。そして……!

ソルフェ

解呪ならおまかせのソルフェちゃんだよ―☆

シーラ

ソルフェちゃん!!

シーラ

あれ、でもなんで解呪が関係してくるのかしら?

ソルフェ

わーるい呪詛はどこかなー☆!?
ここかなー☆!?あそこかなー☆!?

ソルフェ

虱潰しの解呪
《エンチャントスキャン・ザ・ワールド》!

ソルフェ

説明しよう。
虱潰しの解呪《エンチャントスキャン・ザ・ワールド》は、この世界のあらゆる呪詛の種類と場所をマッピングする、光属性の禁呪である。

ライル

何というチート魔法……!
さすがソルフェージュ様……。

ソルフェ

でたー!
行動阻害の呪詛はここだよー☆

ソルフェ

ウスト大陸の南方、ミリオンソードの南側中腹、サ・ヤの洞窟だって―☆

シーラ

……サ・ヤ?

ソルフェ

サ・ヤの洞窟だと……。
それほど遠方から先程の戦いを制御していたのか……。

ライル

ここからだと、ウストの北方にあるマタネ港からコケッツに向かうのが早いですかね……。

シーラ

それなら、ポメラとも問題なく落ち合えそうね。

ソルフェ

そうだな。では、その方針でゆこう。













ソルフェ

ふぅむ。露天商が『トロワに奪われた』のは『信心の鏡』であり、『己』であったか。

ソルフェ

しかし、露天商のヤツは妾の子ではなかったのか?なぜ双子だと言っていたのだ?

ソルフェ

似ていないのもそのせいだと思うのだが、ヤツの思い違いか?どうにも気になる。

ソルフェ

このまま、目の前の事象を信じて手探りで進むのは正解なのだろうか……。




アーク=ヴォルクとの突然の戦闘から難を逃れて、



次なる目的を見つけたシーラさん達御一行。







その一方で



ソルフェージュ様は



一人悶々とするのでした。























つづく

【勇者勇の装備】
レベル  :24
めいせい :312
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×2
      霊薬草×5
      淡水ザメの煮凝り
      淡水ザメの骨
      淡水ザメの牙
      黒王の羽
      いつもの額当て
      王の冠
      カジノコイン×2560
      グリモリテント×3
なかま  :[泉守]ダイ
      [もふもふ]もふもふ
      [魔導エンジニア]ラムディッシュ
とくぎ  :ファイアブレス
      トキシックブレス
      釣り
      カン
      介抱
じょうたい:モテモテ

【シーラの装備】
レベル  :36
めいせい :7240
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×94
      イーサ薬×9
      おみやげ×99
      ガラスの破片
なかま  :大魔導ソルフェージュ
      [コボルト]ライル
とくぎ  :しょうかん
      値切り
      冷やかし
      虫の知らせ
      ディゾネの思い出
      寒さに耐える
      好奇心
      ギーズの想い
じょうたい:真パーティーリーダー
      クロニフィカント

第98話 風のヴォルク

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