リリアは自分だけが時間を持て余すのも何だか居心地が悪いので、アドニスを探しに屋敷から出て、レムレースの街に降り立つ。
確か、アドニスは検問所辺りで今は兵士たちに指示を出している頃合いだろう。
本日がブルーセインツとウィンバリアシオンの円卓会議であることは街中で噂になっていた。
デザートエンプレスの方は治安が非常に悪く国の執政は無い。その状況は永世中立国であるブルーセインツの女王から聞くことになっているのだ。
一方、翔子は国の大事な円卓会議の前に、日頃の疲れを癒してもらおうと思って、メイド達に協力をお願いして、翔子特製の薬湯に浸かってもらおうと準備をしている。
様々なハーブを風呂に入れ、その成分を充分に抽出させ、さらにアロマオイルで特製バスソルトを多めに作って、彼が入るお風呂の片隅に置いて準備を整える。
こんな日頃の疲れが溜まっている所で大事な円卓会議に参加させるのはさせたくない。
まだ、パーティの開宴まで4時間もある。それまでにレムの疲れを癒しておくのが、自分の役目で仕事だと翔子は自覚している。
レムは屋敷の大広間でパーティーの手配をしている。
彼はシェフやパティシエに今夜のパーティのための調理をさせ、そして会議室となる円卓会議の会場の掃除をさせ、準備に追われている。
故に本日のレムレースの街もいつも以上に色めきだっている。
世界随一の歓楽都市のこの街は、エンターテイメントも数多く用意されている。
今夜のレムレースは街を挙げての祝祭の日となった。