リリア

ねえ?聞いた?翔子ちゃん?

翔子

なに?

リリア

今夜、光の都の教皇様とブルーセインツの女王様が、このレムレースに訪問してくるらしいわよ

翔子

本当?

リリア

うん。朝から兵士たちは検問やら準備して忙しいみたい

翔子

それじゃあ、今夜はパーティとかも開かれるの?

リリア

うん。歓迎パーティを開くってレム様は仰っていたわ

翔子

その肝心の彼は?

リリア

朝から忙しいみたい。二人の国の執政を担当する方が訪問してくるから、屋敷の大広間で、その会場の手配をしているみたいだよ

翔子

ちょっと待って。それじゃあ、あの人まだお風呂にも入ってないわよ。昨夜もシャワーだけだったし

リリア

翔子ちゃん!?どこに行くの?

翔子

お風呂の手配してくる!後、特製バスソルトも準備してくるね!

リリア

あらら。翔子ちゃんまで忙しくなっちゃったみたい。私も何か手伝えることないかな?アドニスに訊いてみよう

 リリアは自分だけが時間を持て余すのも何だか居心地が悪いので、アドニスを探しに屋敷から出て、レムレースの街に降り立つ。
 確か、アドニスは検問所辺りで今は兵士たちに指示を出している頃合いだろう。
 本日がブルーセインツとウィンバリアシオンの円卓会議であることは街中で噂になっていた。
 デザートエンプレスの方は治安が非常に悪く国の執政は無い。その状況は永世中立国であるブルーセインツの女王から聞くことになっているのだ。
 一方、翔子は国の大事な円卓会議の前に、日頃の疲れを癒してもらおうと思って、メイド達に協力をお願いして、翔子特製の薬湯に浸かってもらおうと準備をしている。
 様々なハーブを風呂に入れ、その成分を充分に抽出させ、さらにアロマオイルで特製バスソルトを多めに作って、彼が入るお風呂の片隅に置いて準備を整える。
 こんな日頃の疲れが溜まっている所で大事な円卓会議に参加させるのはさせたくない。
 まだ、パーティの開宴まで4時間もある。それまでにレムの疲れを癒しておくのが、自分の役目で仕事だと翔子は自覚している。
 レムは屋敷の大広間でパーティーの手配をしている。
 彼はシェフやパティシエに今夜のパーティのための調理をさせ、そして会議室となる円卓会議の会場の掃除をさせ、準備に追われている。
 故に本日のレムレースの街もいつも以上に色めきだっている。
 世界随一の歓楽都市のこの街は、エンターテイメントも数多く用意されている。
 今夜のレムレースは街を挙げての祝祭の日となった。

 パーティー開宴の2時間前。
 ようやく全ての準備が整ったので、レムは自室に戻ってパーティー衣装の吟味に入っている。
 そこに翔子が部屋に入ってきた。

翔子

レム。パーティーに参加する前にお風呂に入って、まずは疲れを癒してくださいね

レム

お風呂?

翔子

衣装に着替える前に風呂に入って、さっぱりしてください。その方が後の会議も集中することが出来ますから

レム

でも、いつも飾り気のないお風呂に入っているから別にいいよ

翔子

今日のお風呂はいつもとは違いますよ?

レム

本当?

翔子

私が嘘をついていると思っているのですか?

レム

いいや。君は嘘はつかない人だ。それじゃあ、期待していいのかな?

翔子

お風呂場に来てください。いつもとは違うことに気付きますから

レム

わかったよ

 彼はとりあえず着替えを持って、2階の風呂場へと向かった。
 何だか、いい香りがする。入浴剤でも変えたのかな?彼はとりあえず待機するメイド達を退室させて衣服を脱いだ。
 風呂場に入ると、生花の薔薇の花びらが浮かべられて、片隅には翔子が濡れてもいいように薄着になって待っていてくれていた。

翔子

ビックリしました?

レム

ビックリするも、何も、よくこんなに薔薇の花びらを集められたね

翔子

いつもとは違うでしょう?

レム

優雅な気分だね

翔子

入ってください。香りも楽しめますから

レム

久しぶりに湯船に入ったような気がするね。それに何だか入浴剤もいつもとは違うね

翔子

特製バスソルトを入れました

レム

もしかして、翔子お得意のアロマ?

翔子

ええ。今日はスイートマジョラムとジュニパーベリーとレモングラスと香りづけにローズを入れてみました

レム

へえ?確かにローズの香りがするね。他のアロマはどんな効果なの?

翔子

とりあえず汗を流す配合にしました。それでまずはリフレッシュしてくださいね

レム

君もとりあえず一緒に入れば?この風呂は見ての通り3人一緒には入れるから。ずぶ濡れになっちゃうよ?

翔子

それじゃあ……

 翔子も纏っていた衣服をその場で脱いだ。
 明るい照明の下で彼女の姿を見たレムは、思わず褒める。

レム

綺麗だよ…翔子

翔子

ありがとう…。背中、流します

 椅子に腰をかけるレム。その背中にたっぷりの石鹸を手に馴染ませて、背中を掌で流し始める翔子。
 彼はさすがに風呂場まであの漆黒の手袋は填めていない。左手首にある無残なリストカットの傷痕。
 翔子の掌がそれを包み込むように洗ってくれている。
 思わず彼は傍らで自分の身体を洗う彼女にその身体を預けた。まるで枕の代わりにするように頭を肩に乗せる。
 彼女のすぐ近くに美しい銀髪が濡れて、綺麗な灰銀色に輝いているのが見えた。

レム

君……こういうの初めて?

翔子

え…?は、はい…

レム

じゃあ…男性と二人きりで風呂も初めて…?

翔子

そうですね…

 思わず頬を赤くする翔子。だが、石鹸を馴染ませた掌は動かしている。彼女の手が胸板を触る。
 レムは思い切り甘く囁いた。

レム

その胸の辺り、じっくりと触ってごらんよ?

翔子

ドキドキしている…

レム

きっと君の姿を見て、興奮してしまっているんだな

レム

パーティ開始まで後2時間。2時間もあればワンプレイ出来るね

翔子

こんな所で?

レム

すっきりしたいんだよ。こっちの方もね

レム

どうせなら、お互いに薔薇の花びらを味わいながら、中でしようか?

 こんな提案をされると誘いを断る気にならない翔子は、彼の身体をきれいにした後、誘われるがまま風呂に入る。
 彼はこう提案して彼女の身体を抱き始めた。

レム

私に身体を預けて入るといいよ。私は後ろで、寄りかかっていればいいことだし

レム

ここは、今…どうなっているのかな…?

翔子

そこは…っ

レム

水に濡れていても、はっきりわかる。濡れているよ…?しっとりと…

翔子

ああ……あなたも…こんなにして

レム

そうだね…。大きくなってしまったよ。どうしようか?

翔子

ねえ…?体を触って、弄って?

レム

今度は、俺がこの体をマッサージしてあげるよ?緊張しないで、身を委ねてみて?

翔子

う…ううん…。舌が気持ちいい…

レム

耳たぶとかいいだろう?手も動かしてあげるよ

 レムの掌がふくらみを優しく包み込むとゆっくりとマッサージするように揉み解す。
 薄紅色の乳首をたまに擦ると彼女は甲高い声を上げて、自ら、快楽と歓喜の蜜を溢れさせる。
 唇が肩の線をなぞっている。時折当たる口髭が微妙な感触になって、快楽へと変わっていく。
 ぬるめに入れた水の中で、手が花びらを弄り出す。器用に指先で花の芯を擦って彼女の欲望を掻き立てる。
 翔子がその度、喘ぎ声を上げて、自分の唇に熱いキスを交わしてくれていた。
 浴槽の中では仲睦まじく性器同士が触れ合っている。
 彼女の顔を覗き込み、確認するレム。
 頷いてくれた。中に入れてもいいと頷いている。

翔子

はうっ…!ああっ…入ってくる……

レム

もうすっかり慣れて……

翔子

こういうの……こういうのも…好き…っ!

 自ら進んで動き始める翔子。湯船の水が水しぶきを盛大に上げている。
 薔薇の花びらの下にある、女性の花びらからは美味しい蜜が溢れて、潤滑油となって締め付ける。
 それが堪らない。翔子はそこを締まらせながらも、器用に自分の口を求めて、熱い口づけを交わしている。
 掌はふくらみと花びらを両面攻撃しながら、本能的に動いている。

レム

すごい……こんなに情熱的な君も初めてだ…

 思わず身体を起こして、彼女を後ろから突きだすレム。
 肉体がぶつかり合う音すらやけに大きく響いているのは、風呂場だからと思った二人。
 喘ぐ声までもが反響して大きく響いてしまっている。
 だが、恥ずかしいなんて感情が入りこむ余地がない程、もう彼らは激しいセックスに溺れてしまっていた。
 そして、彼が男性なのに、切なげな喘ぎ声を上げて、自らの愛を注ぎ込むことで、終了することが出来た。

レム

時間を忘れて…没頭して…しまったね……。上がろうか…

翔子

はい…

 結局、1時間程のバスタイムを終えた後、華やかなパーティが1時間後の午後7時。開宴した。

 その1時間前に、ブルーセインツの女王、アリシア・アンドリア女王が、独特のブルーセインツの蒼いドレスに身を包み、従者を連れて姿を見せた。
 そして、その15分後には、光の都・ウィンバリアシオンの教皇・フューネラルも独特の司祭のローブを纏い姿を見せた。
 こうして、その日の夜。

 レムレースの盟主とブルーセインツの女王とウィンバリアシオンの教皇の3名による円卓会議がされた。

2-5 祝祭の前のバスタイム

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