ランディの声を聞き、前進する方向を瞬時に変えたシャセツは、ジュピターが戦う通路に消えた。
シャセツ!
此処よりあの通路の先に
行ってくれ!!
ジュピターが
一人で戦ってるはずだ!
!
オメーしか助けられねー!
行ってくれっ!
世話の掛かる奴等だ。
ランディの声を聞き、前進する方向を瞬時に変えたシャセツは、ジュピターが戦う通路に消えた。
あと、そのナイフ持った奴は
ロココが探してた魔物だ!
殺すなよ!
アイツか。
あと、鷲型に隙を見せたら
ブレスで一層されちまう。
雑魚共で近付けねーから
弓で牽制してくれ!
分かった。
タラト、
アイツは攻撃したら駄目だ。
ハル……
いじめ、た。
ゆるさ……ない。
ハルをやったのは
あの蛇みたいなやつ等よ。
(多分だけど)
わか、った。
タラトは蛇型の魔物を次々と潰していく。一番大きい蛇型を残して全部の蛇型を潰し、通った場所にはバラバラにされた岩しか残っていない。
タラトは蛇型の強烈な一撃を難なく躱す。すぐさま攻撃に転じようとしたタラトの目に、残骸となった岩を身体に吸収する蛇型が映った。
そう、今の攻撃はタラトに当てる為でなく、残骸を吸収する為のものだったのだ。
蛇型の目が青白く光った瞬間、吸収した岩が大量に飛来する。蛇型が巨大なせいで、タラトの上から雨のように岩が降り注ぐ。
タラトは為すすべなく、岩の下敷きになった。
タ、タラト!?
シェルナは離れた場所でハルの応急処置をしていた。タラトが下敷きになったのを確認するが、他の雑魚が2体近寄ってきて、助けにいけなかった。
タラト!?
ク、このっ!
うようよとうっとぉしい!
フィンクスとシャイン、それにランディは、大量にいる雑魚共の相手に追われている。数は減りつつあるが、もともとの数が多く殲滅には至らない。
リュウはランディに促されたように、鷲型に対し弓で応戦している。
アアッ!?
チーギックが投げた投げナイフがシャインを襲った。ギリギリ躱したものの、リアに買ってもらた貴重な腕輪が裂かれてしまい、迷宮の地面に落ちた。
く、アタシの印老痕が!
しかもアタシと同じ
投げナイフで!
ムッカつく~。
貴重な装備を自分の得意とする投げナイフで失い、頭に血が上ったシャインは、反射的に投げナイフをチーギックに投げる。が、数的不利の状況かつ遠距離の現状では簡単に躱されてしまう。
シャイン!
遠くからじゃ素早い奴には
当たらないっ!
まず数を減らすんだ!
数が減ったら奴は逃げるのよ!
奴は数的不利なまま
捕えるべきじゃん!
兎に角、落ち着けっ!
頭に血が上ってたら
取り逃がす羽目になるぞ!
うっさいっ!
アタシが一人でも
捕まえてみせるじゃん!
っく!?
ちょこまかと
うざったいわね!
シャインの強引すぎる攻撃は、チーギックに当たらなかった。回避の時に、余裕をもって避けられているのが誰の目にも分かるほどだった。
リュウ達6人からすれば、突然の状況でクリアしなければならない事が山積している。
・ジュピターの援護
・ハルの応急処置
・大量の雑魚の殲滅
・鷲型の牽制、討伐
・蛇型の討伐及びタラトの救出
・それらを盾に攻撃してくるチーギックへの対応
・それに何よりそのチーギックの捕獲
各々が手一杯で自ら最善の為に動いているが、食い違う部分がジワリと出てくる。しかもそれは、普段仲が良いフィンクスとシャインとの間で起きていた。雑魚の殲滅を優先すべきと考えるフィンクスと、そうなる前に逃走されるからと、無理にでもチーギックを狙うシャイン。
この二人の小さな決裂を横目に見ていたランディは、不吉な予感を巡らせ、季節外れの凶星を思い出してしまっていた。