ナルサワ

着きましたね、海

マスター

うむ

ナルサワ

どの指輪を投げるか決めてるんですか?

マスター

いや特に。ただその指輪を見ればその年に何が起きたかは思い出せるよ

ナルサワ

すげえ、どんな人にも特技ってあるんだな

マスター

そういうことになるな。ワハハハ

ナルサワ

じゃあこれ

マスター

ああ、その年は生まれて初めてパチスロで万枚出した年だな

ナルサワ

え、そういうエピソード?クズ過ぎません?

マスター

だはは、なんつってな!
実際何も覚えていないさ

マスター

強いて言えばそうだなあ…

明日美

今年もありがとうね

ありがとう

マスター

笑顔だけさ

ありがとな

マスター

色んな事があったはずなのにまともに思え出せやしない

だからせめて俺の残りの生涯をかけて全部の約束を海に戻すことにしてるのさ。

マスター

なあ、ナルサワ君

ナルサワ

はい?

マスター

もし私が指輪を返し切れずに死んでしまったら、君が残りをこの海に流しにきてくれないか?

ナルサワ

ったく面倒くさい事頼むなあ

ナルサワ

時給上げてくれたら考えますよ。もちろん、残業手当別でね。
じゃなきゃ割に合わねえっす

マスター

全くだな

マスター

じゃあ投げるかね

ナルサワ

投げましょう

マスター

今後インスタントは止めて、ちゃんと豆挽いてコーヒーをお出しします!!

ナルサワ

この大嘘つきが!!

マスター

ワハハハハ!!

つまらない宝物を眺めよう

偽物のかけらにキスしよう

いま変わっていくよ

次回
『デイドリームビリーバー』
に続く

スリップ オブ ザ リップ その4

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