学生の頃の話しです。
学生の頃の話しです。
安いだけでマンションのある部屋を借りていた後輩がいました。そいつは安いし大学から近いし別に気にしないから借りたと言い張って何処か間の抜けた性格でした。
友達からも怪しすぎる。安すぎる。事故物件だろうと言われてましたが後輩は気にせず住んでいました。
後輩は霊感が無いようでお化けが出ても気づかないと言ってました。
都内のとある古いマンション、事故物件と噂されているが知ってか知らないか人は住んでいた。大学生のワタナベは怪しいと知っていたが一年以上住んでいた。
明日はバイトっと
明日の事を考えさっさと寝ようと布団を敷こうとした。その時だった大学の先輩から電話がかかる。
先輩、どうかしましたか?
おお、ワタナベか。お前確か××マンションの四〇四号室だったよな
はい、そうですけど?
何処か先輩はワタナベと違って落ち着きがないようだった。
前から気になって色々調べてたんだが
……はい
やっぱり事故物件だったぞ
ああ、そうですか。まぁ安いですからね。今更って感じですけど
ワタナベはヘラヘラとしていた。一年間住んでいて何もなかったからだ。そんな事より明日のバイトの方が気になっていた。
何故なら上手くいってないからだ。最近になって失敗を重ねてクビになりそうだからだった。
もう切っていいですか? 明日、朝からバイトなんで……
バイト! おいおい
次に遅刻なんてしたらクビになってしまう。先輩には悪いが早く寝たい。
良いかよく聞くんだ。なるべく早く引越しをしろ。決まるまで俺の部屋に泊めてやる
別に……いいですよ
そこはマジでやばいんだ
その部屋で昔、殺人犯が住んでいたんだ
あーそうすっか
恐れることもなく平然と返事が帰ってきた。
その殺人犯は数人の女性を部屋に解禁して死ぬまで放置していたそうだ。最後の犯行の後、殺人犯が自殺をしている
それで終われば良かったんだが以後、その部屋で住む人原因不明の死因で発見される
お前が住んでいる部屋で……だ
しばらくしても返事が返ってこなかった。
おい、大丈夫か!
――あっ、すみません。寝てました
寝てた――だと
すみません先輩、そろそろ寝ますわ
おいおい待て待て、話はまだ終わってない――
電話を切られた。これ以来ワタナベと連絡を取ったが彼は危機感がなかった。後々、連絡が取れなくなり大学にも来なくなった。
心配して会いに行った。ドアが開けるとゴミが散らかっていた。恐る恐る部屋に入ってワタナベを探すと布団の中で横になっていた。
以前の印象と違いワタナベはまるで生気がなかった。先輩に気が付いたワタナベは目を合わせる。
……何があった
なに……も……
なにも……して……ないです
話を聞くとバイトをクビになり何もせず。食事もコンビニで適当に買い食べていたそうだ。それ以外に外出はせず部屋だけで過ごしていたそうだ。
彼は怠惰になっていた……。
私は友達を呼んでワタナベを部屋から出した。後に部屋を片付け引越しをさせた。
引越しをしてからワタナベは元気になり大学にも通えるようになった。今ではちゃんと働いて暮らしている。
ワタナベにあの時のことを聞いてもよく分からない覚えてないですと言っていた。
今でもあのマンションはあるそうで誰かが暮らしているかもしれないと思うと何とも言えない気持ちになります。
※この話はフィクションです。実際の人物・団体・事件とは一切関係ありません。