僕には、もうすぐ付き合って一年目を迎える彼女がいる。

　そんな彼女には最近何か悩みがあるようだったが、

と聞けば、

と微笑むだけだったので、僕の勘違いかとそれ以降は特に気にすることもなかった。

　ーーそれから数日経ったある日のこと。

　大学のキャンパス内にある食堂で昼食をとっていると、目の前に座った由衣が少しだけ曇った表情をさせると、躊躇いがちに口を開いた。

　少し間の抜けた声を発した僕は、食べかけの菓子パンを握った右手をゆっくりと下ろすと、少し潤んだ瞳でこちらを見つめる由衣を見つめ返した。

　それだけ答えると、暗い表情をさせた由衣は伏せた瞼を小さく震えさせた。

　きっと、とても不安で怖いのだろう。

　そんな感情が表情から見て取れる。

　安心させるようにしてそっと小さな手を包み込めば、由衣は

と言って小さく微笑んだ。