な………？

なに、それ……？

よく見れば、それはうぞうぞと波打つ、黒い何かに覆われた人間であることが分かる…その場にはあと、座り込んで震えている大崎と、たった今駆けつけた来栖がいるよ。

駆け寄って確認する！精神分析学持ちは、乙姫ちゃんの方行ってやれ！！

わかった。高い訳じゃないが、そっちは僕が行く。

行動決定が迅速なのはいい事だね…でも、その前にSAN値チェックといってもらおうか？

ああ！！もう！遅れてくるやつ！！

忘れてると思ってた…！

僕がこんな面白い場面でSAN値チェックを忘れるわけないでしょう？ほらほら、1D3/1D6+1だ！振れ振れ！！

でかい……！

これは失敗できません…！

まずい……

ああ…これはまずい……

1番失敗して欲しくない人が…！

ま、まだワンチャンありますよ…！

はいはいはーい！5点以上へった2人は、早急にアイデア振ってね～！

はは、すまねえ(遠い目)

……ペンダントを握りしめて、その場にうずくまります…

………すまん、ダレン。先に波里を治療する

ええ、そうしてください……

人型を近くで見るよ……素人目でも、何かわかるかも……

ふふ、待ちに待った発狂だね！さあ、張り切ってロール行ってみよう！！

…………これ、は……

あ…………あ………

……っ、ダレンさん！

！……砂影くん、手を貸してくれ！

………………

砂影くん？

………人間の死体にはな、時間が経つと『死斑』っていう、痣みたいなものが出来るんだ。

……は…？

砂影くん！しっかりしろ！！

すみません、ヴェレッドさん…こちらは任せてもいいですか？僕はアレを…

……大丈夫か？

ええ、恐らくは…3人をお願いします。

わかった。むやみに手を触れたりはするなよ

はい

KP、波里に精神分析

人型に目星

OKOK。んじゃあまず…人型の描写からいくよ。近づけばわかる事だから、公開情報にしちゃうね。人型を近くで見た天夢は、それがーー

全身を無数の蟻で覆われた、人間の死体であることがわかるね

蟻に……たかられている、ということか…？

うっ………なんで、こんなことに…？

それ以上の情報は目星だ。精神分析もどーぞ！

……振る

……振るぞ

よし…

次もこの出目で頼むよ…

それじゃ、ヴェレッドの声掛けで波里は落ち着きを取り戻すね。それから天夢は

蟻に覆われたその遺体が、北川双葉のものであることがわかるよ。

………1人だけ…いなかったもんね………

……だよな…

いないから、そうだとは思っていた…でも、なぜ双葉を…？彼女は人懐っこい性格だったし、恨みを買うような言動もしていなかったはず……それに、この殺され方は……

蟻を払って、調べやすくしておこうかな…

素手で？

う…………何かない…？テーブルクロスとか……

来栖に聞いていただければ、持ってきますよ

あ……うん、じゃあ、お願い……

僕はこのまま、ダレンか乙姫の精神分析を続ける。波里は死因の特定をお願いしていいか？

おう、任せてくれ！

KP、乙姫の症状は？

腰を抜かせて呆然としてる感じだね。ただ、ショックは少しずつ薄れてきているようで、徐々に正気を取り戻しつつあるよ。

狂気は解けつつあるってことだな……それじゃあ、次はダレンだ

すみません、お願いします……

1/2だからな………

だ、大丈夫です……６番じゃないので……！

んーじゃ、ヴェレッドはちょっと慌てちゃって、かける言葉を間違えちゃったみたいだね。ダレンはうずくまったままだ

続いて波里。君は、北川双葉の体にブドウ糖が塗りたくられていることが分かるね。蟻はその香りにつられてきたようだ

ブドウ糖？なんでまた…

さあ？アイデアでも振ってみたら分かるんじゃない？

KP、それ、天夢はそばで見てるよね？一緒に振れない？

ああ、いいよ

…なら、天夢はこう思うだろうね

…………だよねぇ……

それ、公開してもらえるか？

ああ…いいよね、KP？

うん、いいよ

…………部屋の詩…まさか、これは……

……おいおい、冗談だろ…？あの内容が、本当になったとか言うのか？人間相手に？

だって、こんな死に方…そうとしか考えられませんよ

………

………

……とにかく、ここに放ったらかしにしておく訳にもいかねえ。本当は風呂とか入れて、綺麗にしてやりたい所なんだが…

…僕達、みんな男だからね…

乙姫さんにやらせるわけにもいきませんし…ひとまずお部屋に運んであげましょう。来栖さん、保冷剤や氷があれば、分けていただけませんか？

畏まりました…すぐにご用意いたします

ん。ダレンはそろそろ発狂解除していいよ

はい……

……乙姫の様子はどうだ？

酷い顔色だね。フラフラと立ち上がって

ちょっと……1人に、してください……

と言って、部屋に戻っていくよ

引き止める

待て

ひっ！？

気持ちは分かる。だが、この状況で1人になるのは危険だ

そ、そんな……こと……

……疑われているな

僕のこと…ひいては、ここにいる誰ものことを信用出来ないのは分かる。だが、1人でいればその格好の餌にもなりかねん

……ちょっと待って下さい。それ、どういうことですか？

……これは殺人だ

…………

殺人………

……何故？

砂影くん、君は『北川双葉の身体に、ブドウ糖が塗られている』と言ったね？

あ、ああ…なんでこんなことになってんのかは分かんねえけど……

なら簡単にわかるはずだ。どうやったらそんな状況になる？自殺にしても、こんな死に方をする理由がわからん

詩に沿って死んだのなら、今後も同様の死に方が続かなければ辻褄が合わない…なんのためにこの死に方を選んだのか、説明がつかないだろう？

…あの詩の中から、無作為に選んだのだとしたら？

それなら、もっと自分一人でやりやすいものを選ぶだろう。最後の首吊りとかな。

そもそも、北川くんに自殺の兆候は見られなかった。薬物やハーブをやっていたのならまた別だろうが…それは彼女の荷物を確認すればわかる事だ。

……そうですか。探偵のあなたが言うのなら、間違いないのでしょうね

……………

……それじゃあ、つまり………

……僕達の中に、双葉さんを殺た人がいる…ということですか？

そうと決まった訳じゃないが……その可能性は高いだろうな

………冗談だろ……

…………

……そういうわけだから、1人になるのは危険だ。顔色も悪いし、砂影くんに診てもらうといい

……でも……

乙姫を本気で引き止めたいなら、対人技能を振ってもらおうか

…………

これは……

……魅惑を振る

魅惑ぅ！？

なんだそれ！？

今ここで振るんです！？

違う！！違うぞ！！僕は決して、サヴァランみたいに口説きロールをするつもりは無いぞ！！

千陽の話はやめて！！！！！！

魅惑で信用代用するってだけだ！！探偵信用低いんだよ！！

た、確かに……

最大30だもんなぁ……

とにかく振るぞ！！！

やったねヴェレッド！！

これで乙姫ちゃんのハートはお前のもんだ！！

違う！！！！！

それじゃあ、真摯に危険を訴えるヴェレッドの瞳に射抜かれ、乙姫は一時的にヴェレッドに従順になるよ

そこまで言ってくださるなら……

私の事、守ってくださいね…？

っ………！(逃れられないヒロインの可愛さに赤面する主人公)

アストルぅ？顔真っ赤だよ？(肘で突く)

可愛いとこあんじゃねえの～？(肘で突く)

アストルくん…可愛いです(初々しい思春期男子を見る目)

やめろ！！！………やめろ！！！！(なにか言い返したかったが思いつかなかった)

なんだかんだ、アストルはデメテルのこと大好きだもんなぁ？

へぇっ！？

だっ………！！！！死人は黙って別室でモニタリングしてろ！！！

にししっ、へーへ！せいぜい頑張ってくれよな〜、アストライア王子〜？

〜っ！！！！

はいはーい、本筋戻すよ〜

そんなんで、乙姫はひとまずヴェレッドに従ってくれるよ。それで？これからどうするんだい？

………とりあえず、遺体を移動させる…で、いいな…？

おいお前たち！！部屋の隅で固まって暖かい目でこっちを見るな！！！！

ええ…だって、ねえ…？

ああ…あんなの見せられちゃあな…？

僕達にできるのはただ…見守ることだけですよ

〜〜〜！お前らは！！どうするんだ！！！！これから！！！

ん〜、そうだなぁ…ひとまず乙姫は、波里に任せた方がいいじゃん？

おう。そうなると俺は談話室待機…発狂解けたばっかのダレンもそうなるだろうな

そうですね〜。そうなると、そっちはヴェレッドくんと、天夢くんに任せた方がいいかもしれませんねぇ

こんな雰囲気なのにしっかり考えてるのがなんかすっごく腹立つ……！

そりゃ、クトゥルフ神話TRPGだからなぁ…考えなきゃ死んじゃうし？

そうですね〜。たのしく、考えつつ、それがクトゥルフですよね〜♪

〜～……(納得いかない)

来栖さんは？氷用意したあとはどうするの？

そうですねぇ…

こんな時ですが……私は執事ですので、仕事に戻ります。なにかご用命がありましたら、都度お声がけ下さい

と言って、特に何も無ければキッチン常駐しますね。

……職業病と言うべきか、落ち着きすぎてると考えるか……

……そう。それじゃ、とりあえず行ってもらって大丈夫かな。

身の危険を感じたら、直ぐに逃げるか、叫んでください。必ず駆けつけます

かしこまりました。お気遣いいただき、ありがとうございます

いえ……ヴェレッドさん、そっち側、持って貰えますか？彼女には申し訳ないですが、脱力した人間を抱えるだけの力は、僕には無いので…

なら、僕が運ぶ。両手塞がるから、先導を頼んでもいいか？

分かりました…すみません

……ん、乙姫ちゃんとダレンはこっちに任せな。ほら、なんか温かいもん淹れてやるから、ここ座んな

はい……

すみません……

……あ、そうだ。KP、蟻ってどこから入ってきたんだ？もしドアとか開いてるなら、閉めておきたいんだが…

ああ、そうだね。君の推察通り、蟻はドアに開いた隙間から入ってきてたようだ。

……一応、外とか見るけど…誰もいない？

ああ。いないね……というか

いたらびっくりするだろうね

え…？

どういうことですか…？

どういうことって……

外は大雨大荒れ。大嵐だからさ

……きたか

……はぁぁぁ……そんなことだろうとは思ってたけどさぁ……

一応聞くが……電話は通じるか？警察とかも…

呼べるよ。でも、嵐が酷くて、島には近づけない……ここへ辿り着くには、この嵐が止むのを待つしかない状態だね

…………いいか、絶対、単独行動は避けろよ……

らじゃ

らじゃ

らじゃ