緋奈子はいつものように「お邪魔しましたー」と帰っていった。
それから数日後、手紙で“両親にきーやんが見に来れないか頼んだけど却下された……ごめん……”というものが届いたり。
本人がくる余裕がないから、しばらく手紙でやり取りなんかもしたのではないでしょうか。
そして1か月後。緋奈子から聞いていた式の日は、残念ながら曇り空。
それでも、あの少女は今頃練習の成果を発揮しているんだろう、と空を見て思ってくれたんじゃないかな……。
やがて陽が落ち、夜になるころには雨が降り出した。
秋の雨が降り注ぐ夜。月は厚い雲に隠れている。
いつも通り、祈雨丸は神主の仕事を私室で片づけていたころのことだ。
あなたはふと、気配を感じる。魔法の気配だ。それも、ぞわりと肌が粟立つような。
気配は外からしてくるようです。RPどうぞ!
……
ただ緊迫した表情をし、
少し周囲に気を張り巡らせてから……
気配を確信し、席を立つ。
この龍神の本拠に、
知らずに迷い込む魔法災厄もあるまいと、
姿を魔法使いのそれに変化させます!
かっこいい!!!
では、警戒しながら席を立ち、扉を開ける。
すると、雨の匂いに交じって、かすかに血の臭いが鼻をついた。
鳥居のそばからその臭いはしてくる。そして、その魔法の気配も同じく。
怪訝な顔をし、この雨の中、
敢えて砂利を踏む足音を隠すこともせず、
そこに近寄ります。
警戒心…というか、縄張りに入ってきた愚か者を
見定めようとする顔
では、その気配の元へ近づく。
一見すると誰もいないが、近くの草むらがわずかに揺れている。
風ではないのは確かです。
姿がないことを確認する……
しかし血の匂いに顔をしかめたまま
我が社に不浄を持ち込むか。無礼者、姿を現し、主に詫びよ
雨の音の中にその声が響く。
すると、一拍置いて、木の影から人影がゆらりと現れた。
それは、あなたの良く知る人間であった。
………
肩で息をし、いたるところから血を流すのは、
一か月前に和やかに談笑した少女だった。
!
驚き、駆け寄りますね……
緋奈子は祈雨丸の姿を認めると、痛みと疲労でゆがんでいた表情がふっと和らぐ。
きー、や……ごめ……
しかしあとは言葉にならず、そのまま意識を手放して倒れこむ。
緋奈子さん!
(魔法の気配に気を取られ、この血の匂いに気付けなかった……どこにいる!?)
倒れ込む身体を受け止めつつ、周囲に気を配りますね…!
すると、祈雨丸は気が付くだろう。
魔法の気配。
それがまさに、腕の中のこの少女から感じられることに。
……ッまさか……
気を失った緋奈子ちゃんの、こう、内側を睨むように……歯をぎり、と噛む。
睨む先は、しかし沈黙を保つ……
……断章か、或いはことなく災厄か……いずれにせよ随分な狼藉を働かれたものだな
と低い声で呟き、
……まずはこの怪我を手当てしなければ……!
と、神社に戻りますね!ついでに大法典に一報入れましょう……魔法災厄かも知れないと言う事なら、遣いくらいは寄越してくれるでしょう。
伯爵だし(※爵位は大法典のなかではあまり関係ない)
大法典は一応報告は受けてくれましたが、やはりいつも通り手が足りないようで、すぐに応援を送るのは無理そうです。
しかし、やはり伯爵の位を持つ異端者からの報告を蔑ろにするわけにはいかぬということか、大法典側でも可能な限り調査をする、という回答でした。
(爵位で滑り込んだ…)
緋奈子はというと、体力も使い切ったのかぐったりとして目を覚ます様子はありません。
……(どこか魘されている様子だ)
そのうなされている様子は、単純に疲弊によるものでしょうかね?それとも魔法的何かから来る呪いのような……? そう言ったことは分かりますかね?
ほうほう、なるほど……。そうですね……。ではちょっと判定をしてみましょうか!
ふふ
好きな特技で、緋奈子の状態を探ってみてください。なお、まだ導入なのでここでのスぺファンは考慮しません!
よかったー!
では、魘される緋奈子ちゃんの浅い《眠り》に、魔力を介入させてみましょう。《眠り》で!
久々にマギロギ判定します
2D6>=5 → 7[3,4] → 7 → 成功
安定!良い7~!
これは良い7!
祈雨丸が《眠り》に介入すると、彼女が魘されているのは疲労や痛みのほかに、何らかのまじないのようなものが食い込んでいるからだ、というのがわかるだろう。
それが何なのかは、靄がかかったようにわからない。
これは……災厄の予兆か、あるいは誰かの錨による異変か……。……緋奈子さん
と緋奈子ちゃんの額に冷たい自分の手を置きましょう。
そのひんやりした手のおかげか、緋奈子の表情はふっと和らいだ。
魘されていたのが少し落ち着いた様子。
そんな緋奈子の表情を見、
一瞬こちらも表情をやわらげた後、
……こんなにも早く、魔法界(こちら)の事情に巻き込んでしまうことになるとは。早く……突き止めねばなりませんね
とまた真剣な顔になります……
こんなところで満足です……!一応、朝までは大法典からの報告を待ちます
はい!ありがとうございます……!なお、大法典からは特に連絡はないでしょう……、逆に言えば、魔法界から伝わるような事件は起きていないとも言えます。
良くも悪くも音沙汰がない……。そんな状態で、朝を迎えます。
翌朝。
祈雨様はずっと緋奈子を看病していた感じですか?それとも、容態が落ち着いたらそっとしておいた感じですかね?
放っておけないので、同じ部屋にいましたね……眠らなくても平気な体質なので寝ておりません! ちょっと離れたところに坐っていた……くらいかな
なるほど!では、もぞ、と布団の中で緋奈子が身じろぎをする気配を感じるでしょう。
……ぅ……
!
咄嗟にそちらを見、近付く……
ッ!!
祈雨丸が近づいた途端、バッ!と布団が打ち上げられ、赤い影が瞬時に飛びのく。
見れば、部屋の隅まで飛びのいて、身構える緋奈子がいた。
その表情は緊張と恐怖で引きつっている。
!緋奈子さん……
驚くも、安心させるような声色で語り掛けましょう。
私の社です、大丈夫……怪しき者は、ここにはおりません
……、ぁ、あれ?き、きーやん?
う、うち……
安心したのか、へたっ、と腰を抜かしたようにへたり込んだ。
……その様子では、余程の……
あの怪我で、よくここまで辿り着きましたね
一先ずは……ああ、良かった
あ、ご、ごめん……、う、うち……その……
ええと、その、すぐ、どっか行くから! 迷惑かけないから。っていうか、なんでうちここ来ちゃったんだろ……
何をおっしゃるのですか、……祈雨に助けを求めに、ここまで来たのでは?
それ、は……
目を逸らす。
どこか申し訳なさそうに。
迷惑など何一つも、今までに戯れとしても然様なことを祈雨が言いましたか?
と諭すように…
……
ふるふると首を横に振る。
言わない
そうでしょう?
……寧ろ、あなたが迷わず私の元へ来てくれて、嬉しく思います。あなたを助けることが出来た
……!
……そっ、か
緋奈子はそう、どこか安堵したように息を吐いた。
…ええ。とは言え、その様子では、事が解決に至っていないのは明白。……何があったのか、お話しいただけますね?
無理強いはしません、緋奈子さんの心身が十分に休まったときにでも構いません
……ありがと、きーやん
と、ようやく小さく、ぎこちないながら笑みを浮かべる。
しばらく緋奈子は休むことになった。
血は止まったようだが、先ほどの怪我、そして今まさに飛びのいたりしたせいで、痛みにうめいている。
ああほら、いけません。横になっていないと......
あいたたたた……うぅ……このくらい、だいじょぶ…‥
しばらく……と言っても、昼過ぎくらいには、どうやら体を起こしたりそろそろと歩き回る分には大丈夫な程度には落ち着いた様子。
その様子に、もしかしたら祈雨様は少し違和感を覚えるかもしれません。シノビと言えど、回復が早すぎるような?
おや……
しかし当の緋奈子はというと
ちょっと平気になってきたわー。最近頑張ってた成果かなー
などとのんきな様子。
ふむ……そんな言葉に微笑みを返しつつ、確かに彼女の中に巣食っている魔法的気配は、いよいよ無視できなくなるな……
ふふ……では、お昼のあと、少しもごもごとしていた緋奈子が「あのさ」と声を上げます。
…、はい?
ちょっと考え事(魔法的気配)をしてたけど、ごく自然に応じますね!
あの、あのね。……面倒をかけちゃうの、本当に悪いなって思ってる。……でも、うち一人じゃ、どうしようもなさそうで……その……
……全く、何故一人で事を成そうとするのですか。折角、人間には共感・協力という習性が備わっているのに
この祈雨に手伝えることならば、いくらでもお力添えしますよ
とあっさり微笑む!多分信頼感……
……ありがと
信頼感……!
ええと……どうしようかな、どこから話せばいいかな……
実は……
口を開いた、そのとき
‥‥あッ、が、はっ……?!
突然、緋奈子が胸と喉を抑え、苦しみ始める。
息が詰まり、呼吸ができないような様子だ。
その様子を見ていたあなたは、
彼女の喉に何かの印が絡みつくのを視認できるだろう。
あ、ぐ、ぁ…‥‥!?
……!
そのまま彼女はその場に倒れこみ、口を押える。
まるでそれに呼応するように、印は霞のように消え、緋奈子の息も正常へ戻っていく。
……は、ぁ、はぁ……はぁ…‥‥
先ほど、彼女の《眠り》に介入したあなたは気づくでしょう。
今見えた印が、彼女に食い込んでいた呪いの気配の正体であると。
……
印が消えたのと、緋奈子の呼吸が自由になったのを
確認し、冷静にそれを見下ろしていた。
緋奈子は冷や汗を流しながらも、今はもう苦しんでいる様子はない
……箝口の呪か
と低く呟き、緋奈子の向かいで膝をつき
……痛みは、治まりそうですか
……
ゆっくり頷く。
長く息を吐いてから、短く答える。
もう、平気
そうですか
といつもの穏やかな声で応え、
成程。目撃者をただで逃がすことは……流石にしませんか
……ごめん、うち……勝手に来ておいて、何も……
いいえ、寧ろその呪がいかなるものかを理解したので収穫です。それに、心配には及びません。あなたの口が封じされたとしても、調べる方法はこちらにいくらでもあります
ほ、方法……?
祈雨丸の落ち着いた様子に、緋奈子も落ち着きを取り戻してきたようだ。
ええ、昨夜から引っかかっておりましたが、確信しました。これは、魔法使いの仕事だ
私は人にあらず。魔素を操り、刻印を行使する魔法使い。見聞きすること以上に重要な物事も、全て妖術にて明らかに出来ます
魔法使い……
知ってはいたけど、はわ……ごくり、という反応
シノビが調べるのと、似たような感じ……よりも、なんか、すごいのかな……
祈雨は、シノビの方の任務については詳しくありませんが……例えば、眠る人間の夢を覗き見る。そう言ったことも可能です
夢!? 魔法じゃん……。魔法か……
はい、魔法です。妖術とは、似て非なるもの。祈雨が持つ権能とも、また少し違うのです
……魔法の多くは、愚者……魔法適性のない人間には知覚できませんが……
そういや、妖精のレンズ持ってるんだよなぁ……
ふふ……アイテムを使用するときは言ってくださいましね~!
ふふ、万が一のイチタリナイがこわいので、まだ妖精のレンズはお渡ししない……
……いろいろ、あるんだ。じゃあうちにもわかんないのかなぁ
人間の中にも、先日の斜歯の彼女のように、魔法適性を持つ者が発生します。さて、どうでしょうね
ってか、魔法使いの……?じゃあ
口を開きかけ、少し怯えた様子でハッと口を閉じる。
その様子に眉を顰め
……この話は、少し控えたほうが良いでしょう。兎角、祈雨には言葉を介さずとも物事を知る術がある。どうか、ご安心を
……ん。ありがと
しょんぼりしていた緋奈子ですが少しずつ表情も明るくなりますね!
折角だし、境内を散歩したりする……雨が上がったばかりの、冷たく心地いい空気を吸ったりするんだ……
散歩するんだ……。いつもより歩調がゆっくりな緋奈子に合わせてくれる祈雨様……?
ゆっくりです……そしてこの紅葉は樹齢が百何年で…とか、当たり障りのないお話するんだ……
ふんふん、と興味深そうに聞くんだ。一時の平穏。下を向くと、表情が曇るから上を向く……。
めっちゃ綺麗じゃん。百年以上ってすご
ええ、私とともにずっとこの土地を見守ってきた……同胞のような紅葉です
と優しく幹を撫でたり……
そっか……。きーやんと一緒に……
とつぶやいた後、すごく小さな声で「いいなぁ……」とか言ったりする。
ふふ、その小声には気付かず……
私は白蛇ゆえに、赤い色には縁がありませんでしたが……この焦がれるような赤色が好きなのは、ずっと身近にあった色だったからかもしれません
……ああ、そうです。だから……緋奈子さん、あなたの髪の色も
と振り返って微笑むんだ(ノルマ人たらし)
ぅえ!?
紅葉のように真っ赤になって
ま、またそーいうことさー……(あうあうもごもご)
赤い髪の毛でよかったぁー……
はぁん?かわいいな?(PL声)
ふふwwwww
多分そんな風に仲良く木の下で話してたら、都合よく風が吹いて、木の葉に付いていた雨のしずくが一気に落ちてきたりするんだ……
わ
と風にちょっと目をつむったら……
おや、樹雨
と言いつつ、袖で緋奈子ちゃんが濡れないようにガードかな……自分が濡れるのは気にしない
!?
近っ!?と固まるなこれは……。
……全く、濡れてしまっては通り雨を降らせた意味がないというのに
う、うちはだいじょぶ! ってかきーやん濡れてるし!!
ああ、祈雨は問題ありませんよ。これでも、雨を司る龍ですから
あ、う、そ、そうかもしんないけどぉ……
目を合わせてくれない緋奈子ちゃんに、水も滴る人たらし龍神は?を浮かべつつ
ですが、日も落ちてきましたね。戻りましょうか
と声を掛けたりするんだな……
は、はぁーい
このぉ……とぐぬうとしつつ、返事をする緋奈子……
夕暮れとなったころには緋奈子はだいぶ回復し、普通に動き回れるようになってきた様子だ。
「夕飯は作るよー」などと言っているころ