* * *
ドルバザレア
洋上
* * *

















船員

あーあ。
アルザレアに戻る海は、今日もいい天気だぜ……。

船員B

アイツ、いい天気なのになんでぼやいてんだ?

船員

こんな日の昼飯に、アルザプリンが出ちまった日には……

船員

トイレの個室が全然開かなくなるんだよなぁ……。

船員B

いったい、どんな迷信を信じてるんだ?

船員C

おーし、飯だぞー!
今日の飯は、大王うなぎの蒲焼と、ファンガオニオンスープ!

船員C

そして、デザートにとっておきのアルザプリンだ!

船員

ひいいぃ!
アルザプリン!?

船員

今のうちにトイレに行かないと……

ぎゃー!!
どこも空いてないー!!

船員B

……忙しいやつだ。





















懐かしき呼び名























勇者

ところでラムディッシュさん。

ラムディッシュ

ん?

勇者

いつまでその恰好なんですか?

えー。
カッコいいから、しばらくこのままでいようかなーって。

マキ

おい、気をつけろよ、ドール。

マキ

あまり長くマグナシェルをつけていると同化するぞ?

ラムディッシュ

……同化!?

マキ

マグナシェルはカタラクトのような一般的な魔導体《マグナリオン》と違って、疑似・魔導体《デミ・マグナリオン》だ。

マキ

それ単体で動作しないような作りになっている。

マキ

ヤツ……マグナシェルはコアとなる操縦者が必要……いや、欲している。

勇者

つまり、意思を持っているんですか?

マキ

意思、と表するかは難しいところだが、機構として欲しているんだ。

ダイ

よくわかんないな。

マキ

マグナシェルはそれ自体に血液のように魔導パスが張り巡らされていて、それを通じて力を発揮するのだが、実はこれが厄介でな。

マキ

アーティファクトとして、2つほど重大な問題を抱えていることになる。

マキ

コアである操縦者の魔導パスが開いていると、マグナシェルの魔導パスの流れと干渉してしまい、思ったとおりに動かせないというのが、まず一点。

マキ

もう一点は、コアである操縦者のマナプールにマナが溜まっていると、それを吸い取ろうとしてしまう。結果、コアを衰弱させてしまうというもの。

ラムディッシュ

す、衰弱!?

マキ

安心しろ、ドール。
オマエのマナプールは既にほぼ空っぽ。吸い取ることが困難なのだよ。

ラムディッシュ

お、脅かさないでくださいよ、お師匠様。

マキ

勘違いすんな。
困難ってだけで、少しずつは吸われているぞ。

マキ

放って置くと、ミイラのように干からびて……

ラムディッシュ

ひぃぃぃ……

マキ

まあ、細けぇこたぁいいさ。ドールよ、はよ脱げ。

ラムディッシュ

えっとどうやんだっけ?
降魔の甲殻《マグナシェル》!停止《シャットダウン》!

ラムディッシュ

ふぅ、戻った。

マキ

そうそう、覚えてんじゃん。




マキさんに脅された


ラムディッシュさん。


無事、元の姿に戻りました。


マキ

てなことで、魔導パスが開いていない『魔力経路不全症』の者で、マナプールが限りなく空である、ドール、オマエにしか使いこなせないんだ。

マキ

一方で、長期間のマナの利用に慣れてしまうと、『魔力経路不全症』の状態に戻れなくなってしまう。

マキ

後天的マナ依存ってやつだ。

マキ

まあ、先程のコアを衰弱させる話ほど深刻ではないが、生活に問題が出るようになる。

勇者

例えば、どうなるんですか?

マキ

通常の魔導パスが開いている者共……イサムやガラ・ヴァーノンの小倅のようなヤツラは、魔力がない状態がわからん。

マキ

これは依存状態だが、それ自体が正しい状態なので問題じゃない。

ラムディッシュ

はい。

マキ

だが、オマエがマナ依存になってしまうと、シェル・ラムディッシュ状態でないと生活がままならなくなるのだ。

マキ

操縦者《コア》を衰弱させるマグナシェルを脱いで生活ができなくなる……。

マキ

これがどういうことか、よく想像しておくんだな。

勇者

万能ってわけじゃないんですね。難しいなぁ……。

マキ

まあ難しく考えるな。
今の話を聞いて、本人以外の監視の目も入ることになるだろ。

マキ

それが、説明した目的だ。

マキ

さあ、今日はもう遅い。
工房の地べたでよけりゃ、そこで寝るんだな。

勇者

ありがとうございます。
助かります。
















……翌朝。

























ラムディッシュ

それじゃ、お師匠様、ありがとうございました!

マキ

今度こそ、ここに戻ってくるなよ?

ラムディッシュ

釣れないなぁ……お師匠様。

マキ

なあに、次こそは完璧に迎撃してやるから安心しろ。

カタラクト

pipipi!

ラムディッシュ

そん時は俺も全力で排除しますぜ!

マキ

くっ!
さっさと行かんか!




マキさんに促されて、


ゴールデンタブに乗り込む勇者様たち。



ゴールデンタブは


ゆっくりと速度をあげていきます。



次第に小さくなっていく、


マキさんの姿。




それが、今にも消えようとしたその時、


ラムディッシュさんは大きな声を張り上げました。

ラムディッシュ

お体に気をつけて!
お母さん!

マキ

……!

マキ

行っちまったな……。

カタラクト

pi-...

マキ

ったく……。

マキ

余計なところまで思い出しやがって……。















































ラムディッシュ

おかーさーん!!

マキ

どうしたんだい、ぼうや

ラムディッシュ

お母さん!ぼく、大きくなったらお母さんと結婚するんだ!

マキ

おいおい、一体どこでそんな事を覚えたんだい?

ラムディッシュ

カタラクトが教えてくれた!

マキ

何ぃ!?

カタラクト

pi-!

マキ

おのれ、カタラクト

ラムディッシュ

お母さん、だーいすき!

マキ

お母さんも、ぼうやの事、大好きだよ!

マキ

……。

























マキ

えーっと、これがこーなって、
あれがあーなってて……、
だからそれがそうなって……。










マキ

ぬ?何の音だ?

カタラクト

pipi-pipipipi!

マキ

どうした、カタラクト。そんなに慌てて。

カタラクト

Piー!

マキ

いいから来い、だって?






















マキ

オイオイオイ、なんでマグナシェルが勝手に起動して動いてやがんだ!?

ラムディッシュ

助けてー!おかーさーん!!

マキ

ラムディッシュ!

マキ

来い!
カタラクト!
フレイム!
コレダー!
ゲーツ!

カタラクト

pi!

フレイム

マキ

マグナシェルの動きを封じろ!







フレイム






マキ

くっ、バカな!
3体がかりなのに押されているだと!?

マキ

急げ、カタラクト!
アンチ・シェルの準備だ!

カタラクト

pipipi!!!

マキ

抑え込んでいる三体が犠牲になってしまうが……、背に腹は代えられぬ……

マキ

フォース・テイクオフ《強制脱衣》!







マキ

ぼうやは無事!?

ラムディッシュ

うわぁぁーん……。

マキ

良かった……。無事だ……。

ラムディッシュ

うわぁぁーんあんあん……。

マキ

怖かった……怖かったよね……。



















マキ

ぼうや、これを見な。

ラムディッシュ

お母さん、これはなに?

マキ

いいから、見るんだ。

ラムディッシュ

なんか怖いお母さん。
どうしたの?

マキ

今この瞬間をもって、オマエは私のことを忘れる。

ラムディッシュ

え?

マキ

安心しろ。
その結果、オマエは幸せな人生をつかむことができる。

マキ

すまない、ぼうや。

マキ

ホロウ・レコレクシオン

ラムディッシュ

待って、お母さん!
僕、お母さんの事、忘れたくない!

ラムディッシュ

うわぁー!

マキ

アンタはドール。アンタはアタシの下僕だ。アタシはアンタの師匠で、アタシはアンタを虐げた。アタシを恐れろ。アタシに心を許すな。

マキ

すまないね、ドール。アンタの楽しい記憶は全部書き換えたよ。

マキ

これでもう、降魔の甲殻《マグナシェル》のことを思い出すことはあるまい。

マキ

そして、アタシへの想いも……。

マキ

今のアンタの中では、
アタシは鬼軍曹さ。

ラムディッシュ

ううん……。

マキ

起きたな、ドールよ。

ラムディッシュ

ひっ!お、お師匠様!

マキ

居眠りとはいい度胸だな。

マキ

そんなやつはもう要らない。

マキ

ここに、ゴールデンタブを用意した。

ラムディッシュ

え?

マキ

これで山を降りな、ドール。

ラムディッシュ

は、はい!










マキ

……。

マキ

もう二度と来ることはあるまい。























マキ

そう思ったのになぁ……。まさか自分からここへ来ようとするとは。

カタラクト

pipi?

マキ

なんでドールの記憶を消したかって?

マキ

あのままの好奇心を残したままだと、アタシの知らないロスト・アーティファクトで命を落とすかもしれないしな。

カタラクト

pipipi!

マキ

好奇心だけを消せばよかったんじゃないかって?

マキ

そりゃあ……。

マキ

アタシにも人間らしい心があったってことさ。

マキ

マグナリアだってのにな。

マキ

……。

マキ

愛してるぞ、ラムディッシュよ。




























つづく

【勇者勇の装備】
レベル  :24
めいせい :312
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×2
      霊薬草×5
      淡水ザメの煮凝り
      淡水ザメの骨
      淡水ザメの牙
      黒王の羽
      いつもの額当て
      王の冠
      カジノコイン×2560
      緋糸手句の防寒具
なかま  :[泉守]ダイ
      [もふもふ]もふもふ
      [魔導エンジニア]ラムディッシュ
とくぎ  :ファイアブレス
      トキシックブレス
      釣り
      カン
      介抱
じょうたい:脇役

【シーラの装備】
レベル  :12
めいせい :240
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×94
      イーサ薬×9
      おみやげ×99
      ガラスの破片
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      [コボルト]ライル
とくぎ  :しょうかん
      値切り
      冷やかし
      虫の知らせ
      ディゾネの思い出
      寒さに耐える
      好奇心
じょうたい:パーティーリーダー

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