2025年4月15日(火)
06:33 PM
2025年4月15日(火)
06:33 PM
ただいま帰りました。
遅かったわね、茜さん。
申し訳ありません、奥様。
それに、なんだか元気が無いみたいね……。大丈夫?
……それは……大丈夫です。
……そう。
オッス、茜。
お邪魔してるぞ。
……神田先生?
それは学校だけでいいぞ。
……ああ、瑞希さん。
もしかして、あの男子生徒の事、
気にしてんのか?
男子生徒!?
そそそそそそんな事ないです!
あんな奴つつ
眼中にありません
ほぇ?
あらあら。
彼はただのクラスメートで
そんな関係じゃありません。
んー。
んー。
ん?
茜さぁ……。
誰かと勘違いしてるんじゃない?
え?
保健室で爆睡していた大林くんは
ちゃんと早退したぞ?
………。
あぁ!!
しまったぁ……。
鏡野の質問攻めのせいで
だいちゃんの事と勘違いしてたぁ……。
アタシが『もう今日は帰れ』って
言ったんだけどさ。
まずかったか?
いえ、そんな事ないです。
アイツの言ってたとおり、
本当に帰ったんだな。
なら、一安心でいい……のかな。
……。
ねぇ、茜さん。
瑞希さんと一緒にお夕飯になさらない?
え?
うぇ?
アタシ、そろそろ帰ろうと思ってたんだけどなぁ……。
たまにはゆっくりして行きなさいよ、瑞希さん。
んー……。
それとも、
うちのご飯が食べれないとでも?
ヒェ……。
あ、いや。
食べる食べる。
食べるよ―。
はい、じゃあ決まり!
佐吉ー!
3人分のご飯を用意して頂戴。
かしこまりました、奥様。
へぇ……。
そんな事があったんですか。
ああ。
兄貴の命日とは言え、あまりに豪勢な献花が備えられてたからな。
義姉さんの仕業だろうと思って、今日は礼を言いに来たのさ。
でもねぇ。
私、そんな豪勢なお花を添えたかしら?
ありゃ普通じゃないです。
例えて言えば……。
コンサート会場に送られる花輪ですよ。
豪勢すぎ!
瑞希さんの目にそう映るなら、
あの人も喜んでくれているかしら?
兄貴は義姉さんに
ゾッコンでしたからね。
来てくれるだけで、
天国で踊り狂ってますよ。
もう、瑞希さんったら
大げさなんだから。
……。
亡くなられた旦那さんの話をする時の奥様は、とても輝いている。
本当に仲が良かったんだろうなって、羨ましく思う。
組織にいた頃は
考えもしなかった。
アタシには
関係のない世界だと
思っていた。
だが、鏡野はこう言った。
So bad.
なんで断わんのさぁ、茜ちん。
アタシは誰とも関わりたくないし、
誰にも心を開かない。
アタシと関わったヤツは……
みんな不幸になるんだ。
…だから
……もう……嫌なんだ。
嘘つき。
……え?
茜ちん、本当は一緒にいたくていたくて仕方ないんだ。
ボッ!
不幸にしちゃうって思ってるみたいだけど……。
そんなの、ただの言い訳じゃん。
茜ちんが、自分が傷つきたくないだけじゃん。
なんだと!?
オマエに何がわかるってんだ、鏡野!
アタシがどんな人生を送ってきたのか知らないくせに!
うん、わかんないよ。
でも、そんな事はどうでもいいじゃん。
え?
茜ちんが幸せにしてあげれば
いいだけの事じゃんよ!
……そんな事……出来っこない。
出来ないって思ってたら、
絶対に出来ない。
でも、出来るって思ってたら、
出来るかもしれない。
人生って、そんくらいsimple!
出来るって思ったら
……出来る。
Yes!
You can!
出来るって思ったら
……出来る
あの時のあの人ったらねぇ、そりゃもう……。
アタシも……だいちゃんと
こんな関係になれるって信じてたら……
そうそう、そのくせ臆病でさ……。
いつか……
こんな風に語れる日がくるのだろうか……。
シクシク
ギョッ!
あれ?
ヒック!
ね、義姉さん?
ちょっとぉ、瑞希さん。
お酒が足らないんじゃない?
佐吉さぁん。
もっとぉお酒をくださいなぁ。
熱燗でぇ。
お、奥様、飲み過ぎです!
今夜はここまでに!
何言ってんのぉ!
アタひがこの程度で酔っ払うと思ってぇ?
これは一体……。
いっけね、忘れてた。
義姉さん悪酔いするんだった。
飲ませ過ぎちまった。
ちょ……
み……瑞希さーん!
悪くないなぁ……。
こういう普通の生活……。
You can!
つづく