Climax Phase
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翌日、朱音ちゃんのもとにどたばたと
朱音ちゃーん!
あずまがやってきました。
あずまちゃん!
手を振る!
聞いてくれよ!ほんとあの上司ってば頭が固いったらないんだ!もう言って聞かせるのも面倒になったから、ボクがボクに許可を出すことにしたよ!
ん、んん?それってつまり、独断……?
結果出せば問題ないよね!
……たしかに!!
( ´∀`)bグッ!
("´∀`)bグッ!
それじゃあ、いざ!かな!
そうだね!葵衣にも勝って来るって言ってこなきゃ
ジャーム姐さんの居所とか知ってるのかな?
朱音ちゃんは知らないです!
知らなかった(`・ω・´)+
そのジャームって、今はどこにいるんだい?
あれ、あずまちゃん上司さんから居所聞いてなかったっけ?
聞いてない……
(気まずい空気)
………
……詰みじゃん
※葵衣くんに聞くという発想が無い
なんてこったい……
呆然とする二人に
も~、そんなだからいつも詰めが甘いんだよねぇ、朱音って
とのんきな声がかかります。
あ、葵衣……!?ちょっと、いいの!?まだ解決してないのに寝てなくて……!
へーきへーき!病気とか怪我じゃないし、別に寝てる必要はないよ~!
それに、昨日あんなこと言ってたけど、そういえば朱音ってあいつの居場所わかるのかな?って思って~、そしたら予想的中!
う……
やっぱりまだまだ俺がそばにいないとダメかな~?
むぅ……でも、お守りされる身分は卒業するし!もう対等だし……
出来ることなら一緒に来てほしくない……あいつと葵衣を近付けたくないし
……朱音、ありがとう。気持ちは嬉しいよ。でもそれはだめだ
これは俺の決着でもあるんだ。朱音だけに任せたくない。……一緒に行かせて
朱音となら、大丈夫だから
しっかりと、真正面から朱音ちゃんを見つめる。
ハッとして
……そう、そうだよね。わかった
と少し赤くなって視線を逸らすも、気を引き締めて
あたしも大丈夫だって思う。頑張ろう!
うん!
では、葵衣の先導で病院を出ようとしたとき、朱音ちゃんは『ちょっといいですか』と声をかけられます。
見れば、葵衣の担当医でもあったお医者さんですね。
あ、はい……
あなたにこれを渡しておきます。
私は結局、大した役にも立てませんでしたが……。万が一のために
と言って、朱音ちゃんの手にカプセル錠剤を一つ、握らせました。
これは…?
これは抗レネゲイド薬です。
投与すれば即座に効果を発揮し、強制的にレネゲイドの動きを抑えます。
侵食率を一時的にでも下げることが可能です。効果はちゃんと検証して折り紙付きです。ただ……
と一瞬言いよどむ。
……教えてください、知らないでいるのは怖いんです
……そうですね。これは、まだ研究段階の未完成品なのです。
どのような副作用が出るかわかりません……
……わかりました
とレッグホルスターにしまう…
それを使うかどうかは、あなたの判断に任せます。……どうか、無事で
彼はそう言って、見送ってくれるでしょう。
一礼して葵衣くんたちを追う…
医者に見送られ、葵衣の先導で3人は走る。
ついたさきは、あの日、事件が起きた商業施設の近くにある大きな公園だ。
そこにはあの女、《笑う冥闇》が待ち受けていた。
あらぁ、やっと来たのね!うんうん、来てくれると思ってたわぁ
酷く楽しそうに、嬉しそうに、彼女は言う。
……
歯軋りするように睨みつける
まぁ怖い!せっかくのかわいいお顔が台無しよ?お姫様
上等、守ってもらうばかりのお姫様に落ち着くあたしじゃないし!
あら勇ましい!うん、そういうのもいいわね!
それじゃあ、そういうことなのね?真実を知って、それでもその強い目で私を倒しに来たのね?
当然よ、葵衣の未来を返してもらうわ。あんたなんかに渡さない、あんたなんかに遊ばせない
うふふ、素敵、素敵!その素敵な物語を、もっと見せて頂戴!
そういって、笑う冥闇はEロイス:悪意の伝染を使用します。
おお…
周囲の風景が書き換わっていく。
それはあの日の記憶。あの日の光景。
周囲には影のような人々が倒れ、耳鳴りのような悲鳴が聞こえてきます。
……! あの日の、事件の……
その中心で、あの日のように、女は笑った。
さぁ、舞台は整ったわ!遊びましょう!朱音ちゃん!葵衣くん!
その素敵な物語を、どうか私に読み聞かせて!!