【2036年、イバラキ。桜マァサ】

 それは惨劇でした。

 彼ら、地球連合を前に、ボク達が為すべきは守る事、被害を最小限に抑える事でした。

 ボク達が捕虜になれば? 考えた問いを隣りに立つ夫は否定します。

 夫は体を盾にしながら、率先して皆を誘導しました。数多くの人が街を離れていきます。

 防衛すら出来ないボク達の前で、

 ココアの親友である『マイアちゃん』が、一抹の奇跡を見せてくれました。

マイア

……!

 それは、

 舞い、全てを包む『癒しのチカラ』。

 それは傷ついたヒトを、犬くんを、猫ちゃんを助けました。傷を塞ぎ、血の流出を抑える人知を超えたチカラでした。

マァサ

……。

 けれど、

 一度零れてしまった命が、二度と帰ってくることはありません。

 娘ココアが『NEOしゃん』のチカラで空を舞い、連合の戦闘機を落としていくけど、大元(おおもと)である太平洋上の船々は減少しません。

 いっかは悔しそうに歯噛みしました。

 そうです。

 ――ボク達普通の人間が世界を敵に回して勝てる訳が無かったんでしゅ。

――どんな時でも、

どんな敵にも♪

 いっかの前へ、空飛ぶ船から仮面の人達が飛び降りてきました。それはイースターに似た、でも赤を基調とした違う船。

 先頭に立つ燕尾服の彼は新聞を棒状に整え、それをいっかに手渡してきました。

タタミー

どうですかお兄さん、夢のような新聞は? 今契約していただけたら、貴方たち全てを救ってみせましょう!

壱貫

……。

 先頭を歩く覆面のヒトを見据え、いっかは何故か、

 ――固まっていました。頭を押さえて蹲(うずくま)りました。悪夢でも見るような目で彼?を視ています。

タタミー

今回は殴らないでくれるよね? いっくん。

 覆面のヒトはボクにも話しかけてきました。爆風は未だ止みましぇん。ココアが穴を開けた戦闘機が彼方へと幾つも落ちていきます。

タタミー

マァサさん。貴女も一口契約してみない? 『未来新聞』とりあえず1ヶ月。

 その瞳は綺麗な緑色、そこに優しい光を湛えて彼は言いました。

『投降しなさい! 桜壱貫。マァサ・バッハ。マイア・リメデッター! 投降しないなら、東海地域に攻撃範囲を広げるぞ!』

マァサ

あなた達、昔、何処かで逢った事、

タタミー

……さぁ、どうでしょうか?

マァサ

あ、アナタのお名前は? ボクは、ボクはアナタを知っている気がする

 彼は微笑みボクへ応えました。

タタミー

わたしは『執行部長タタミー』。

 後方の3人が後に続きます。

ハッピー

同じく『諜報部員ハッピー』♪

コージー

僕は『三下(みした)コージ―』です。

リーフ

『セイント・リーフ』といいます♪

『タタミー』は覆面の遙か頭上、青い空を指差し云いました。

タタミー

我々は世界の不条理からヒトを、化け物を守る組織、

 後方から起こる盛大な爆風、それはまるで、

タタミー

……。

ハッピー

……。

コージー

……。

リーフ

……。

【DDD団!!!】

 まるで『ヒーロー戦隊』のようでした!!

タタミー

桜壱貫さん、そして、桜マァサさん、

 彼らはボク達を見て訴えました。

タタミー

ヒトを守るチカラ、ヒトを助けるチカラ、欲しくはありませんか?

 畏(かしこ)まりおどけた笑みでボク達へ笑いかけるんでしゅ。

タタミー

……誰よりも、……何よりも強く成る為に!!

【第15話】アナタを待って、待ち続けて、

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