店長

俺、はじめておつかいするやつ出て見たかったなぁ

バイト君

その年で……?

店長

いや、子供の頃の話だよ……

今日は、うちの店特有の大特価デー。俺と赤ずきんは勿論、普段深夜働いている彼も、何時もより早く出され、セルフレジ二つと合わせて、合計五つのレジがフル稼働している。

いらっしゃいませー!

赤ずきん

有難う御座いまーす!

緑フード君

またお越し下さーい!

 この言葉を、みんな一体何回繰り返したことだろう。それだと言うのに、一人のレジごとにまだ七人近く並んでるって一体何……?

お会計が、三百六十円で御座いますー!

女の子

さんびゃく……

 女の子は戸惑いながら、首から下げたお財布から小銭を取り出していた。おつかいかぁ、偉いなぁ。とはいえ、この言わば戦場でそんなゆっくりしていては……。

お客様

……チッ

 うわー、ヤバいよ後ろのお客様やっぱりイライラしだしてるよ。でも、女の子はまだ数えてる途中だし、僕が数えます! なんて言うのも失礼だろうしなぁ。けどこのままじゃ女の子が怒られちゃうかもしれないし……うーん、どうしよう……。

お客様

おい、お嬢ちゃん! 金も数えられんのかい!!

女の子

……ご、ごめんなしゃ……。

ヤバい! お客様近づいて来た。どうしよう

 お客様は女の子の隣まで歩いてくると、わざわざ腰をかがめ、女の子の目線に合わせて睨み付けた。

 そして、そのままの姿勢で小銭に指をさす。

お客様

お嬢ちゃん、六十円無いから、これで出しなさい。

女の子

う、うん……

 女の子はお客様に言われるがまま、四百円を出し、お財布に残りのお金をしまった。

四百円でお預かりします!

 お釣りを返すと、女の子は逃げるように去って行った。そりゃあ、強面の男の人から怒鳴られたら仕方ないよな……とはいえ。

お客様

いやぁ、皆さん待たせてすみませんでしたね

お客様

いえ、大丈夫よ

売り子ちゃん

従業員なので!

彼女

さっき私の前にいましたよね、前どうぞ

お客様

いや、俺も急いじゃいないから、構わんよ

 怒鳴ったお客様があの子の代わりに謝ってること、あの子は知る由も無いんだよな。

 何時かあの子が成長したら、きっとこのお客様の優しさが伝わると良いな。

56・数えろ! スーパーお会計

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