おまけ
経次郎一行と離れていた間の翔

ケンちゃん

俺はいつまで
ここにいなければならないのか……

翔の従兄のケンちゃんは洞窟の奥にいた。

じ~ちゃん
いる?

経次郎たちと別れた翔は、洞窟のさらに奥のケンちゃんがいる部屋に来た。

ケンちゃん

いないぞ。

ケンちゃん、
こんなとこに居たんだ。

ケンちゃん

おまえが「ここにいろ」
と言ったのだろうが!

ちょっとキレた。

そ~だっけ?

ケンちゃん

また忘れたのか?

忘れてない
忘れてない。

ケンちゃん

忘れてたんだろう……。

ケンちゃんは翔にキレるのに多少疲れていた。

じーちゃん
どこだ?

ケンちゃん

家に帰ったぞ。

そっか。
急いでんだけどな。

ケンちゃん

どんな用事なんだ?
場合によれば、俺が代わりになんとかするぞ。

ちょっとだけ
ヒマだった。

御霊抜きが終ったから
修理してもらおうと思って。

ケンちゃん

御霊抜き?
なんでそんなことを……

そう言って、ケンちゃんは翔が持っていた物を見た。

ケンちゃん

なんだ?
この気配は……

ケンちゃんは翔が持っていた物を心の目で視た。

ケンちゃん

あ……、
天の叢雲の剣ではないか!!

神代の時代から存在する伝説の秘宝。
しかも天皇陛下の持ち物で実在しているとされている剣だった。

そだよ。

ケンちゃん

それは見た者に災いが降りかかるという三種の神器だぞ! どうして御霊抜きができたのだ?!

ホントにそれはすごいことだった。

俺様にかかれば
いちにのさんだぞっ♪

ケンちゃん

そ~ゆ~ヤツだよな、
おまえは……。

ケンちゃんは諦めたようにため息をつく。

ケンちゃん

御霊はどこにおられるのだ?

地上に行くっておっしゃってるから、お供してくるっ!

ケンちゃん

叢雲様がか?
どこに行くおつもりなのだ。

海爾さんちっ

ケンちゃん

そういえば海爾さんに
会うと言ってたな。

牛若丸と弁慶もいたぞぉ~w

ケンちゃん

それはちょっと見たい……

ケンちゃんはややミーハーである。

牛若丸は恋する高校生で
弁慶はゴスロリになってたぞ

ケンちゃん

恋する高校生と
ゴスロリだと?!

ケンちゃん

いったい地上では
何が起きているんだ!

ケンちゃんは天狗のお仕事が忙しくて、しばらく地上に戻れていなかった。

だから、これ、
職人さんトコに持ってって。

翔は天の叢雲の剣をケンちゃんに渡そうとした。

ケンちゃん

俺はお前と違って
修行が終っていない。

ケンちゃんは受け取らなかった。

大丈夫だよ。

ケンちゃん

無理だ。

ケンちゃん、
頭でっかちだからな。

ケンちゃん

何も考えずにできてしまう
お前がおかしいんだ。

考えるな。
感じるのだっ!

ケンちゃん

それでは
わからん。

御霊抜けてるんだから
ケンちゃんでも持ってけるって。

ケンちゃん

それでもやはり、戻った時に叢雲様の居心地は悪くなってしまうだろう。

ケンちゃん

お前が持って行け。

も~。
急いでんのに。

ケンちゃん

やはり
お前は俺とは違うのだ。

ケンちゃん

天地を揺るがす三種の神器だ。
お前が持って行くのが相応しい。

ケンちゃん

職人さんも俺ではなく
お前と会えた方が喜ぶだろう。

ケンちゃん

そうだろう?
翔……。

ケンちゃんは目を開けた。

ケンちゃん

翔?

そこに翔の姿はなく、オリハルコンに包まれた天の叢雲の剣が置いてあった。

ケンちゃん

おいっ!
この状態で置いて行くんじゃない!!

ケンちゃんは叫んだ。

ケンちゃん

気持ち悪くて
持って行くのやだぞ!

けっきょく、職人さんのところに持って行ったのはケンちゃんだった。

しかもちょっとだけバチが当たった。

おまけ 経次郎一行から離れていた間の翔

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