右手に持った笛の反応を見ながら、
少しずつ歩を進めていく。
今私が追っているのはこの山に住む
大蛇のあやかしで、里に現れては人を襲うなどの
被害をもたらしているため、
村人から退治を依頼されたのだ。
こう言った依頼は最近多く、
私が所属している組織、神音(かみおと)にも、
毎日のように舞い込んでくる。
こっちに来たと思うんだけど
右手に持った笛の反応を見ながら、
少しずつ歩を進めていく。
今私が追っているのはこの山に住む
大蛇のあやかしで、里に現れては人を襲うなどの
被害をもたらしているため、
村人から退治を依頼されたのだ。
こう言った依頼は最近多く、
私が所属している組織、神音(かみおと)にも、
毎日のように舞い込んでくる。
皆が平和に暮らせるよう頑張りたいが、人手不足は深刻な問題なんだよね……
誰もいない事を良い事に、一人愚痴をこぼしていると、
大蛇の後ろ姿が見えた。
対象のあやかし発見っと
あやかしに対抗するための武器、
竜笛を手に背後から距離をつめていく。
こんなとこで、幼女みーっけ
大蛇まで後少しと言うところで、
突然木の上から声をかけられた。
山の中、ましてや木の上から話しかけてくる
人物など一人しか思い浮かばない。
幼女って……
私は竜笛を握りしめて、
言うなー!!
思いきり声の主である女妖狐、
キリハに向かって投げつけた。
竜笛は風音を立てながら真っ直ぐ飛んでいく。
キリハは涼しい顔で竜笛を受け止める。
紗知、大事なお清めの笛を投げちゃだめでしょ。また無くしたらどうするの?
お前が大事な時に、ふざけた事をぬかしてくるからだ! 上から見てたんだったら大蛇にも気づいてただろう!?
にはは、ごめんごめん。大好きな紗知に会えたから、つい口に出ちゃったんだ
キリハは満面の笑顔を浮かべると、木から飛び降りた。
何度も言うが、私はこれでも16だ。
とっくに成人してるし、嫁にもいけるんだぞ!
身長は同世代と比べると低いし、
顔が童顔だったりするけど…。
嫁にもいける? 紗知には無理無理。炊事も駄目、洗濯は生地を傷める…無理でしょ?
無理って三回も言うな! と言うか先日その縁談を台無しにしたのは誰でしたか…ね!
近くにあったどんぐりの実を手に取り、
キリハに向かって投げつける。
しかし、キリハはそれを素早く交わすと、
瞬時に距離をつめてきて、
私の頭を撫で回して来る。
それにしても紗知はほんと可愛いね。
いつまでも良い子、良い子してたいわ
離せーよー!
キリハを振り払おうとするが、
頭を片手で抑えられた格好なので、
近づく事すらできない。
きー、むきー!
はい、竜笛。神社で清められた大事な武器を無くしたら、神音の上役から何言われるか分かってるの?
おい! さっきからずっと俺を無視して、お前らいい加減にしろよ! 俺様はこの山に伝わる伝説の大蛇だぞ!
いるのは分かっていながらもずっと放置していた
大蛇が怒って襲いかかってくる。
うるさい! こっちはこの色ボケ妖狐を負かせる事に忙しいんだよ!
私はすぐ様振り返り、竜笛で大蛇を殴りつけた。
ぐぅああああっ!
竜笛が接触した瞬間、大蛇は焼けるような
臭いと断末魔をあげて、ぴくりとも動かなくなった。
紗知…いつも思うだけど竜笛の使い方間違ってない?
と言うか、あの程度のあやかし、後ろからじゃなくても余裕でしょ?
余裕は余裕だけど…蛇は…どうも苦手でな。あのぎょろっとした目が
蛇に睨まれた幼女?
だから幼女じゃないと言うとろうが!
竜笛でキリハをポコンと殴る。
紗知、それだけはやめてー。
いくら妖狐でもそれに触れたら無事では済まないんだから
前もそんな事チラッと言ってたな。
ほら手を見せてみろ
キリハの手を取って見る。
ほんとだ、ヤケドしてる…痛くはないのか?
軽くとは言え、竜笛でキリハを殴ってしまったため、
心配になり聞いてみる。
痛いけど妖狐の回復力は早いからね。
あと紗知の愛をこの身に刻みこま……
…って痛い、痛いよ。
竜笛を体に押し付けないでー
色ボケ妖狐は置いておいて、私は話の本題を切り出す。
それよりさっきの大蛇は下っぱか何かなんだろう?
どう言う事?
いくらキリハでもあのタイミングで声をかけるはずがないのは分かっている。
この奥に親玉か何かがいるんだろ?
奥に目をやると親玉と子分2匹が出てくる。
やっと本命が出てきたか
ちっ、囮もできないとは役立たずが。
おびき寄せて囲んで喰ってやろうと思ったのによ
そうか、やはりお前を退治しないといけないようだな
竜笛を構えて大蛇達と対峙する。