優人たちが、突如発生した灰色の異型と戦っている中、神裂希は、一人、違う地点に向かっていた。

神裂 希

この辺かな…。

 希が 飛行魔法を解く。

 そこには、誰もいない、中央に壊れた噴水がある広場であった。

神裂 希

 出てきなさい!

 希の声が広場全体に広がる。

 あたりは静まり返っている。

 しばらくすると、壊れた噴水の後ろから一人の少女が現れた。

藤堂 和葉

 さすがですわ、お姉さま。

 噴水の陰から現れたのは、ゴシックアンドロリータと呼ばれるファッションスタイルに身を包んだ少女であった。

神裂 希

 やっぱり和葉ね…。

 今回の騒ぎはあなたの仕業ね。

藤堂 和葉

 まあ! まだパレードを始めたばかりなのに、お見事です。

 私のお姉さまは、やはり、ご健在でしたか。

 藤堂和葉は、不適な笑みを浮かべる。

神裂 希

 で、私に何の用?

 まさか、遥々、リスクを背負ってまで、私を探しに来ただけではないでしょう?

 こんな悪趣味な計画まで実行して…。

 希は、腰につけている魔剣に手をかける。

藤堂 和葉

 ちょ、ちょっとお待ちくださいまし。

 私は、お姉さまと戦いに来たわけではないのです。

 和葉が両手を軽く挙げ、敵対する意思はないとアピールする。

神裂 希

 へえ、でも、私の友達に危害を加えてることには変わらないでしょう。

 それは、私に対する敵対行動ってことにはならないのかしら?

藤堂 和葉

 わ、私は、お姉さまを説得するための来たのです。
 お姉さまと二人っきりでお話をしたかったので、取り敢えず、ゴーレムを作り出そうとしたら、予想外に変なものができてしまっただけです。

 あと、悪趣味の度合いはお姉さまの方が上でしてよ!

 一気に話したせいか、「はあ、はあ、」息を切らせている。

神裂 希

 はあ、じゃあ、パレードでもなんでもないじゃない。ただの失敗作ってこと?

 まあ、いいわ。 で、話ってのは?

藤堂 和葉

 そ、その、私に組織を任せると言って、突然いなくなってしまったので。

 り、理由を聞きたいのです。

 和葉の目には涙が浮かんでいる。

神裂 希

 わかった。だけど、この理由を聞いても、きっとあなたには理解できない。

 それと、他言しないって約束できるのなら、聞かせてあげる。

 和葉は、首を縦に振り、希の話を聴いた。

榊原 信也

 ったく、こいつらの大元探さないときりがないぞ。

 優人達は絶えず襲い来る異型を相手に不満を漏らす。

神裂 優斗

 まあ、そうだけど。 解析担当が、今、探索中なんだから、仕方ないだろ。

霧裂 静香

 じゃあ、めんどくさいので、このあたり消しますか?

神裂 優斗

 そ、それは、やめといた方がいいかな。

 ほら、魔力温存しとかないと、大元が出てきたときに、みんなで倒せないだろ?

霧裂 静香

 大丈夫でしょう。 あなたの本気でどんな敵も一発じゃないですか。

神裂 優斗

 それもそうか。

 その時、無線から瑞希の声が聞こえた。

神宮寺 瑞希

 「それもそうか。」 じゃない!

 静香も適当なこと言わないで!

 そして、信也は…、邪魔ね。

榊原 信也

 ええー。

 今、怒られること、俺何にも言ってないよね?

神宮寺 瑞希

 みんなに報告がある。こいつらは、形は少し違えど、種族としてはゴーレムよ。だから、倒しても倒しても、蘇る。

 おまけに、お大元は、そこから5キロ先にいる。

 私の水魔法で足止めしとくから、三人はそっをお願い。

榊原 信也

 俺の質問は無視かよ!

神裂 優斗

まあまあ、元気出せ。ほら、行くぞ。

霧裂 静香

 希はどこへ行ったのですか?

 静香は瑞希に聞く。

神宮寺 瑞希

 瑞希は、ゴーレムの変異体の近くで何者かと対峙しているわ。

 これだから、嫌なのよね、勝手に行動する人って。

神裂 優斗

 まったく。世話の焼ける未来のお嫁さんだ。

榊原 信也

 ほう、なんだかんだで結構その気なのか。

神裂 優斗

 今のところは保留だ。 ほら、さっさと行くぞ。

榊原 信也

 了解。

霧裂 静香

 ほら、瑞希も、しっかり伝えるべきことは伝えておかないと、先起こされますよ。

神宮寺 瑞希

 余計なお世話よ!

 優斗、信也、静香の三人は、飛行魔法を使い、希の元へと向かった。

神裂 希

 わかった?

 希は、和葉に聞く。

藤堂 和葉

 話の内容が、私には、到底理解できません。

 そもそも、何故お姉さまなのですか?

 その役目、他の誰でもいいでしょう。わざわざ、お姉さまやる必要なんてどこにも…。

 途中で何かに気づき、言葉に詰まる和葉。

神裂 希

 わかったでしょう。ごめんね。

藤堂 和葉

 わ、わかりました。でも、あなたの味方はここにもいるということ。しっかり理解しといてください。

神裂 希

 ありがとう。ほら、さっさと消えなさい。

 もうすぐ優斗達が来る。

藤堂 和葉

わかりました。では、また。

 そういうと、和葉は、ゆっくりと、煙のように消えていった。

≪第四十九話:蠢く異型3≫

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