……………………いりませんか?

ん?

…………………はいりませんか?

なんだ?
何かが俺の心に
直接語りかけてくるぞ……。

カベイロス教にはいりませんか?

宗教勧誘かよ!









4日目の早退は


胡散臭い導入から


始まった。













すくらんぶる

§シャイニング§



















どうですか、カベイロス教は?

うーん……。






乗り気には見えませんねぇ。

宗教勧誘なのはともかく……。

姿を見せないというのは
どうなんですかね?

それで話を聞いて貰おうなんて
虫が良すぎるってもんじゃありやせんか?

なるほど、一理ありますね。

ですが……

それが私なりの気の使い方で
あったということを
忘れないでください。

え?
どういう事?










































空気が……変わった!?




































まだサボりたての
午後1時頃なのに
一寸先までもが闇に!!


































空間に変な紋章が!?








































私は女神ニケー
なにとぞ、よしなに。

わーわーわーわー
わーわーわーわー
わーわーわーわー
わーわーわーわー
わーわーわーわー
わーわーわーわー
わーわーわーわー
わーわーわー!!

















そんな大声を出して
どうしたのですか?

あー、いや……なんというか……
二次にしたくないなーという
作者の心を代弁しただけです、はい。








鶴とうさぎの時点で
色々アウトですし、
大丈夫ですよ。

やかましい。
これでも、少しは自重したいの!




まあでも……。

これまでとは
ずいぶん毛色が違うなぁ……。
驚いちゃった。

やったね!


























誰?

ニケー

女神ニケーって
自己紹介したばかりじゃないですか!

さっきの姿は?

ニケー

ただのコスプレです。
待ちくたびれたので。

オイ!

って、待ちくたびれた?

ニケー

そうですよ。
貴方をずっと待っていたのですよ。

心の声を勝手に読み取って
心の声で語りかけるの
やめてくんない?

ニケー

えー……。

あと、俺だけ声出してるのも
めっちゃ怪しい人だから!
ちゃんと声出して!

ニケー

シュン……

いまさらしおらしくしたって
ダメですから!

ニケー

ニコニコ……

オノマトペを
心の声で
語りかけるの禁止!

ニケー

んー……。
報告にあったような
心優しい青年には程遠いですねぇ……。

報告?
なんの?

ニケー

わかりませんか?
最近あなたの身の回りで
変わったことが
起こっていたでしょうに……。

変わったこと?

あ、もしかして……あなたは!

ニケー

ふふふ……。

みんなが言っている
托卵する傍迷惑な鳥の神じゃないですか!?

ニケー

……。

ニケー

はぁ……。

聞こえるようにされる溜息は
傷つくんですけど。

ニケー

はぁ……。

聞こえないように
心に溜息を届けるんじゃない!

ニケー

ちょっとオツムが弱い青年と
聞いてはおりましたが……。

ニケー

まさか、ここまでとは。

ニケー

鶏並みの脳の容量と
言わざるを得ません。

屈託のない笑顔で
酷いお言葉ですこと。

ニケー

先程も言いましたが、
私は女神ニケー。
勝利の女神です。

ニケー

何が悲しくて
鳥の神なんていう
下級神に落ちなければならぬのでしょうか?

鳥の神様の扱い
酷くない?

ニケー

ぐぅぅぅぅぅ。

……。

ニケー

ぐぅぅぅぅぅ。

……。

ニケー

ぐぅぅぅぅぅ。

素知らぬ顔で
唐突に腹の虫の音を
僕の心に届け始めた
そこの神様。

ニケー

なにか聞こえました?

神様なんですから
空腹くらい
自分でなんとか出来ますよね?

ニケー

ニッコリ

ニケー

ぐぅぅぅぅぅ。
ぐぅぅぅぅぅ。
ぐぅぅぅぅぅ。

やかましいわ!

ニケー

はぁ。

だから、心に溜息を届けるなと!

ニケー

我々がなぜ供物を必要とするのかを、考えてみればすぐわかることでしょうに!

逆ギレされた!

ニケー

よいのだぞ?
行き倒れた神様の一人や二人に
ご飯を恵んでくれても。

無駄に尊大だ。

ニケー

それに、あなた達の世界では
よく言うじゃないですか。

なにを?

ニケー

捨てる神あれば
拾う神あり、と。

拾いませんから!!
てか、捨てられてたの!?

はぁ……。
もう疲れた。

ニケー

溜息を聞こえるようにするなと言ったのはどこのドイツ様でしたっけ?

もう好きにしてください。

……で、一応聞いておきますが、
なんで僕を待っていたんですか?

ニケー

鳥の神に貰ったこの卵を……

もういい。
さっさと
着いてこい。








































ただい……

ピー子
おつう
モフ美

ま!?

ニケー

下々の者共、
我が来てやったぞ。

尊大モード全開だな

モフ美

ほらぁ……。
やっぱり連れてきたじゃないですか。

モフ美の思ったとおりですぅ。

ピー子

ダーリン……。
ピー子はダーリンを
ピんじてたのに……。

おつう

不貞は殿方の性といいますし……。
このおつう、多少であれば見逃そうと思っておりますが……。
連日とはいかがなものでしょうか?

オマエら揃いも揃って、
一体俺をなんだと思っているんだ?

ピー子

鳥好き。

おつう

卵好き。

モフ美

獣好き。

ニケー

スキモノ。

一緒に何やってやがる!

まあいいや。
騒がしいのも慣れたし、
さっさと作ってしまおう。

ニケー

それでは、
好きなだけ作ると良いでしょう。

え!?






あれ?
こんなにたくさんあったっけ?

ニケー

まだまだ!
いくらでも出せますよ!

わー!
ちょっと待った、
ストーップ!

ニケー

はい?

もう十分だから!
この勢いだと部屋中が
卵だらけになるわ!

ニケー

そうですか、残念です。

ニケー

せっかくこの女神ニケーの
卵をどんどん増やす力を
存分に見せて差し上げようと
思ったのに。

女神ニケーの力って
そういうものなの?

ニケー

豊穣の神カベイロスを祀る
カベイロス教に入れば
卵を増やすことなど
造作もありませんよ?

他の神の力じゃねーか!

ピー子

ピーン!

ピー子

もピかピて、ダーリン……。
すでにそのトリモドキとの間に卵を……?

いや、違う、違うぞー!

おつう

……与ひょうさん。

毎回否定しておくけど、
人違いですから!

おつう

この、おつうという者がありながら
トリモドキにうつつを抜かすなんて……。

君らの中で、
ニケーはトリモドキで
決まりなのね。

モフ美

私は別に構わないわ。
……寂しくさえなければ。

モフ美

スリスリ

よしよし、
モフ美はぶれないな。

モフ美

ガブ!

いててて!!
いたい!いたい!
やめて、モフ美!!
噛まないで!!

モフ美

噛んでも……
怒っちゃ……イヤ……。

絶対怒ってるだろ、モフ美。








できた!
全部使い切った!

ピー子

すっごーい、
ダーリン!
今日の夜ご飯もバッチリ!

おつう

小娘、食べ過ぎには気をつけなさい。

ピー子

はーい!

なんだかんだこの二羽は
仲良くなってきたな。

それに引き換え、この二羽は……。

モフ美

パクパクパク

ニケー

ガツガツガツガツ
ゴックン
モグムシャァァァ

とんでもなく
食い意地が張っている……。

こりゃあ、シャレ抜きで
食費がやばいぞ……。

ニケー

ズルベチョガツ
ゴックンチョ
ムシャモグ
ムシャッシャァァァ

特にコイツが。

まあ、悩んでも仕方ない……。
とりあえず俺も食うか。

パクッ

むっ!

このさっぱりとした味わい……。
これはいくらでも食べれてしまう!!

ニケー

良質のタンパク質で
豊満な胸筋ムキムキの
マッチョを目指せます。

ほっとけ!

モフ美

ガブゥ!!!

ぎゃぁ!!!

ピー子

おつう

どうしたのですか?
与ひょうさん、モフの字。

モフ美

私の前でぇ……。

モフ美

心と心で
通じ合うとか
やめろ。

通じ合ってない!
断じて通じ合ってないぞ!

勝手に読み取られて
送りつけられるだけだ!

ニケー

以心伝心と言うやつです。

ピー子

ともかく、良からぬことをピてたと。

おつう

キッ!

風評被害反対!







夕飯を見越して作った炒り卵が、あっという間に無くなったな……。

ニケー

食べ盛りゆえ、仕方ありません。

神様って
まだ成長するの?

さて、落ち着いたところで
今後のことを考えないと……。

捨てる捨てないの話は
色々決めきれないので
置いておくとして、
食費をどうやって捻出しよう……。

ニケー

なんと、そのような事で
悩んでいたのですか?

そんな事をって……。
こっちに取っちゃ死活問題なの!

ニケー

なぜでしょう?

これだけの鳥を急に
飼うことになって、
食費が急激に圧迫され始めたの!

ニケー

ですから、なぜそれが問題なのでしょう、と。

あんたら、めっちゃ食べるでしょうに!お金が足りないの!

ニケー

私がいれば、
卵はいくらでも増やせるというのにですか?

はっ!?

そうだ、確かにコイツさえいれば
いくらでも卵料理が作れる……。

それどころか、その卵を売って生計を立てることすら可能!

ニケー

いかがですか、
一家に一女神ニケー。

採用!

ニケー

これで外界の宿は
問題なくなりました。

ピー子

ちょろい……。

おつう

ほんと、ちょろいこと。

モフ美

ちょろいわぁ……。

ほっといてよ!
みんな養うのに必死なんだから!

コホン…

早速ですが、女神様ぁ……。

ニケー

なんですか、
ニヤニヤと気持ちの悪い……。

夕飯の卵を
どーんと出して下さい。

ニケー

無理です。

え……?
今なんと?

ニケー

卵を出すのは
無理だと言ったのです。

言っていることが違う!

ニケー

何も違うことはありません。
私は卵を『増やす』事はできますが、卵自体を『出す』事は出来ません。

え……。
ってことは……。

ニケー

まったく、
なんで全部使い切っちゃうんですかねぇ……。

先に言えー!

ピー子

まあまあ。

ピー子

そんな後先考えないのが
ダーリンのいいところですピ。

褒められた気がしない。

おつう

あの時もそうでした。
開けてはならぬ、とあれ程言ったのに。

ほんと、知らない人だからそれ!

モフ美

だって、うさぎに卵を
あげちゃうような人ですもの。

いや、気をつけたよ!?
めっちゃ火を通したよ!?
塩分も一切入れてないよ!?
ていうか、モフ美が自分で要求してたよ!?

ニケー

仕方ありませんね。
炒り卵の食べ放題も
潮時だったのでしょう。

ニケー

これも天啓だと思って
受け入れてみては?

何がどう天啓だって言うのさ。
ただ食うものに困っただけじゃないか。

ニケー

何も炒り卵が全てではありません。
他の食べ物を考えてはどうでしょう?

勝手なこと言い出した!

ニケー

だって……。













ニケー

毎日炒り卵ばかりで、気が滅いりませんか?

それが言いたかっただけだな!?


















食べるだけが取り柄の4羽の鳥が


住まい始めた今、


カベイロス教への入信を


僕は真面目に検討したくなった。








すくらんぶる

§シャイニング§








すくらんぶる☆§シャイニング§

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