ただいま帰りました

おかえりなさいませ、お嬢様。

……珍しいな、佐吉が出迎えか。
奥様は？

奥様は旦那様のお墓参りに行っております。

今日は旦那様の命日ですので。

そうか……。
そうだったな。

……若ハゲの命日にもなっちまったな。

ところで

お嬢様、あまりウォータフロント区には足を運ばないほうが良いかと。

……な？

私は長くあそこにおりましたが……

あそこの治安はあまりよろしくありません。

佐吉……。

はい。

……なぜアタシがウォータフロント区へ行ったと思った？

……その……
お嬢様のお体から、
いつもと違った磯の香りが……。

な……。

佐吉のヘムタイ！

あ、お嬢様！

……また、やってしまった。
しかし……。

海沿いはすべて櫛灘の手の内ゆえ……。

……それにしても

ヘムタイかぁ……。

ゾクゾクッ！

くっそー！！
佐吉のヤツ、
いつもアタシの匂いを嗅いでるのか！？
勘弁してくれ！！

だが……。
それで行き先が割れてしまうアタシはまだまだだな。

ともかく、さとう先生と佐吉のおかげで
少しだけ気分が晴れた。
……素直に感謝しよう。

若ハゲは可愛そうな事をしたが、アタシはもう止まることは出来ない。

……わかっている。
これはアタシのエゴだ。
大ちゃんに逢いたいってうワガママだ。

でも、やるしか無いんだ。
アタシがアタシであるために。

ともかく、次に打てる手は
名簿にある大ちゃんの住所を訪れることだ。

『ウォータフロント区サンセット1-4』……

ウォータフロント区？

そう言えばさとう先生もウォータフロント区だったような

『ウォータフロント区センター3-4』か。ちょっと離れているし関係はないか。

サンセット1-4……。
ともかく、午後はここを訪れてみよう。

……入れ。

お呼びでしょうか？

ああ。オマエに頼みたい事があってな。

なんなりと。

では、この住所に向かえ。

ウォータフロント区サンセット……

近い内にここへ
ヴァニラ・キャンディが現れる。
そこで貴様の実力を見せろ。

ヴァニラ・キャンディの件といえば
ブラボー・フェスティバルが担当だったはず……。

ヤツはいいんですか？

ああ。今回アイツはここには絡まない。
まだ『とりかえばや』が完了していないからな。

あと２日はかかるだろうよ。
その間のその場所の担当にオマエを充てるということだ。

なるほど。
であれば。

いいか、目的は生け捕りだ。
ただし、傷つけるくらいなら逃せ。

御意に。

……さて。

アイツが育ってくれたら、
『お母さん』は嬉しいぞっと。