カノン

ん……

カノン

ここは、どこ……?

気が付いたら、知らない場所にいた。



周りを見渡してみても、ここがどこだかさっぱりわからない。


どうしてこんなことに……?

 

カノン

そう、確かメンカクーンに万物の力の前まで連れてこられて……
そこから、何かにぶつかったんだ。

その後の記憶が全くない。




ここは……

カノン

小屋……?

それだけが分かる。


動いてみようと体を動かすと、右足首が悲鳴を上げた。

 

カノン

痛っ!

カノン

……ひねったのかな。

ウィル

起きたか。
万物の使い手。

カノン

誰!?

音もなく人が現れた。

アタシはとても驚いて、心臓が飛び出そうだった。

ウィル

そんなに驚くことか?
俺の名はウィル。風の使い手だ。

カノン

風の……使い手?

ウィル

知らないのか?
まあ無理もない。
人知れぬよう生きてきたからな。

ウィルさんは一瞬だけ悲しそうな顔をしたけれど、すぐに元に戻った。

アタシが聞きたいことを分かっているかのように先に話し出す。

ウィル

ここは俺の隠れ家のひとつだ。
バード家もメンカクーンも面倒だからな。

カノン

………………
どうしてアタシを連れてきたの?

ウィル

率直に言う。
万物の力を使って、夢見のペンダントを作ってほしい。

カノン

え?
でもそれは……

ウィル

危険、なんだろ?
知ってるさ。
だが俺には必要なんだ。

カノン

何に使うの?

ウィル

それは言えない

カノン

…………

ウィル

作ってくれるか?

カノン

…………

作れるわけがない。

何に使うかもわからないのに、そんな危険なもの、アタシには到底作れない。


それに何より……

 

カノン

ごめんなさい。
夢見のペンダントの作り方、知らないの。

ウィル

は……?

万物の力を封印する方法も、夢見のペンダントにする方法だって、アタシには分からない。


ナタリーから聞いているはずだってメンカクーンは言うけれど、記憶はやっぱりない。


 

ウィル

嘘だろ

カノン

本当なの。

ウィル

じゃあ俺が連れてきた意味ねえじゃねぇか

カノン

…………

ウィル

せっかくメンカクーンの隙をついてきたってのに

カノン

そう言えばメンカクーンは?
どうしよう、はぐれちゃった……

ウィル

あの白綿か。
探しに行くなら好きにしろ。
夢見のペンダントを作れないやつに用はない。

カノン

!!
ひどいっ!
勝手に連れてきておいて用はないだなんて!!

アタシは謎の小屋から飛び出した。


ここがどこかも分からないのに、感情に任せて全力で走った。

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