花蓮

何このたこの足!
でか!??

玄奘

・・・・タコといえば。

エト

もしかして。

ママ

アッコロカムイ殿かもしれませんね。

花蓮

・・・アッコロカムイ?
何だか呪文みたいな名前。

煌炎

あぁ、前ここに玄奘が来た時に因縁吹っ掛けてきたタコ野郎か。

セトラ

正確にはタコではないって本人は言ってたデス。

花蓮

??

玄奘

あたしがここに来る前に北海道を牛耳っていた妖怪よ。
あの子、足を広げたら1ヘクタールもあって船とかクジラも一飲みにしちゃう問題児だったの。

ママ

本人曰く、「タコ」って言われるのが嫌いらしくて。
自称「体全体が赤い何か」で伝記等には記載されていますね。

エト

玄奘様が躾けた後に、噴火湾に逃げたって話だったけど・・・戻ってきたのかな?

花蓮

あのう・・・。

玄奘

何かしら?

花蓮

玄奘さんって、水の都に住んでたり、魚人族を従えてたり・・・魚の妖怪に詳しいのってなんでなんですか?

煌炎

・・・は?
ちびガキってそこまであほなの?

花蓮

だ、だって!!
玄奘さんって北方の玄武でしょう!?
玄武といえば土ってイメージが、どちらかというと水って青龍のイメージだよね!?

玄奘

ふふ、よく勘違いされるのよね。
玄武は武神であって、水神でもあるのよ♡

煌炎

青藍・・・いや、青龍が司ってんのは「緑」だ。
青と書かれるが正式には碧、むしろ土ってイメージは青龍だな。

花蓮

えぇ!?
知らなかった・・。

エト

玄奘様は言わば水妖怪のトップ。
その玄奘様にお仕えできるなんてこの上なく光栄なことなんですよ。

玄奘

ま、エトちゃんったら。
褒めてもなにもでないわよ?♡

エト

いえ、素直な気持ちを伝えたまでです!!!
僕もいつかは玄奘様のようになりたくて・・・日々どうやったらなれるか自己研鑽に努めてます!

セトラ

ほんとエトは玄奘様好きデスね。

エト

この前は玄奘様みたいになるためにお化粧の練習もして・・・。

玄奘

え?

エト

口紅のグラデーションはうまく出せるようになってきました!!
そして今、スカートを魚人通販で注文中です!
楽しみだなー。

エトの問題発言にその場にいた全員が凍り付く。

身内である母とセトラの周りは特に氷点下まで下がっていた。

玄奘

やめなさい。

エト

え?

玄奘

エトちゃんはいまのままで十分可愛いわ。
それとも、あたしのこの言葉が信じられない?

エト

いえ!!!!!
勿体なきお言葉!!!
玄奘様がそうおっしゃるなら。

煌炎

意外だな、兄貴なら喜んで女装の手伝いをするかと思った。

玄奘の意外な受け答えに素直に驚いた煌炎は思わずそのように声をかけると、当の玄奘は何食わぬ顔で言い放った。

玄奘

あたしイケメンが好きなの。

・・・ん?

玄奘

エトちゃんのあの顔立ち、絶対将来イケメンに育つわ。
そのイケメンを男の娘にしてなるもんですか。

煌炎

・・・とんだ光源氏計画だな。

・・・やはり玄奘様、考えていることが人類の一歩先をいってらっしゃる。

玄奘

まぁまぁ、それは置いといて。
アッコロカムイちゃんには話を聞く必要がありそうねぇ。

ママ

えぇ、そのようですね。

セトラ

あいつがやったわけじゃないにせよ、この件にかかわってるのは物証から明らかデス。

玄奘

あたしの水面鏡を台無しにしようなんて、ちょっとおいたが過ぎるわ。

ママ

もういちどしっかり躾けなおさなくては。

セトラ

ママたち顔が般若デス。

ママ

あら失礼。

玄奘

さっそくで申し訳ないんだけど、この辺の海域でアッコロカムイちゃんを探してくれないかしら。
あたしは剣を打ち直さないといけないから。

煌炎

わーったよ、でもこの辺の海って捜索範囲広すぎやしねーか?

玄奘

大丈夫、あたしの代わりにエトちゃんとセトラちゃんをつけるわ。
この子たちはアッコロカムイちゃんと幼馴染なのよ。

セトラ

任せてくださいデス、煌炎様。
あいつが行きそうなか海域は大体予想がつくデス!

エト

では少々お待ちを!
この人数が乗れる玄奘様の守護印つきの船を用意してまいります!!

はい、お願いします。

花蓮

どどどどうしよう。
私かかなづちだから海に落ちたら泳げない・・・。

煌炎

精々船にへばりついとけ。

花蓮

う~。

こうして煌炎一行はアッコロカムイに話を聞くため、船に乗って北海道の海を航海することとなったのだった。

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