花蓮

煌炎さん、それ本気で言ってるの?

煌炎

ちびガキには俺が嘘ついてるように見えるか?

花蓮

見えないから間違いじゃないかって聞き返してるんですが・・・・。

煌炎一行は折れた刀を打ち直してもらうため、兄弟の鍛冶職人である玄奘がいるという北海道の地に足を踏み入れていた。



温暖化の影響でめったに見られなくなった雪は、玄奘の力により北海道には健在である。

そんな普段感じることがないほどの寒さの中に身を置いた花蓮達は、一つの凍っていない池の前に立ち尽くしていた。

煌炎様が大丈夫だとおっしゃるなら大丈夫ですよ、さぁさぁ!

花蓮

いくら何でもこの寒い中池に飛び込んだら死んじゃうって・・・!!!!?

一行は池に飛び込む順番でもめているようだ。

花蓮

そんなに勧めるならお兄さんが先に入ってよ!?

いえいえ、レディーファーストですので。

煌炎

お、ポニーたまにはいいこと言うじゃねェか。

どうやら賽は完全に煌炎を信じ切っており、本心からレディーファーストを決め込んでいるらしい。

どうしてこの極寒の中池の中に飛び込むことになったかというと・・・。

煌炎

しかたねぇーだろ、あいつの家への普段の行道が凍ってたんだから。
大丈夫、北海道の池という池は全部あいつの家に繋がってっから。

花蓮

ででででも・・・!!!

煌炎

ちっ・・・うだうだ言ってねーでとっとと逝け!

花蓮

ひょ・・!?

ドン、と勢いのある音がして花蓮の体はそのまま水中に吸い込まれる。

あろうことか煌炎は花蓮を華麗なおみ足で蹴飛ばしたのだ。


「池だけに逝け・・・ふ。」と陸地からはブリザードが吹きそうな煌炎のつぶやきが聞こえてきたが、ほどなくして花蓮の意識は途絶えてしまったのだった。

花蓮

こ、ここは・・・?

玄奘

あら?
ようやくお目覚めかしら・・・?

花蓮

綺麗なおねぇさん・・・?

煌炎

やっと起きたか。
あと5秒起きるの遅かったらはたいてたわ。

花蓮

・・・あれ!?
私あれからどうなって!!?

花蓮さんが気絶している間に到着いたしましたよ。
ここが玄奘様が住まわれている水滸殿です。

花蓮

ご、ごめんなさい!!
私気絶してたの!?
・・・ところでこの綺麗なおねーさんは・・・?

煌炎

は?

玄奘

まっ♡

煌炎

気色わりぃこと言ってんじゃねーよ。
こいつ、男だぜ?

花蓮

へ・・・?

玄奘

あらぁ、実のお兄様をこいつ呼ばわりだなんて!
乙女に向かって失礼よっ。

煌炎

だれが乙女だ。

花蓮

えぇえええええええええ
えぇえええええええええ!!!!!!????

玄奘

改めて初めまして、子豚ちゃん♡
あたしはここの守護を任されている玄奘よ、よろしくね。

花蓮

こ、子豚ちゃん・・・?

玄奘

ふふ、自覚ないのは大問題ねぇ。
普段歩いてるから足はいいとして、腕と背中周りに脂肪がつき過ぎね♡

花蓮

な、な・・・。

玄奘

まっ、お肌もガサガサじゃない!!
いくら旅で疲れてるからって女の子はスキンケアを怠っちゃだめよ。
きなさい、あたしがケアの仕方教えてあげる。

花蓮

ちょ、誰か・・・。

煌炎

諦めろ。

煌炎にそう突き放されたが最後、見た目の麗しさとは裏腹にものすごい力で玄奘に引きずられながら花蓮は宮殿のなかに姿を消していった。

相変わらず、女性の身だしなみに厳しいお兄様ですね。

煌炎

・・・あれは一種の病気だわ。

2人が消えていった先を見つめて会話した後、煌炎たちもその後を追って宮殿に足を踏み入れたのだった。

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