入道雲を見ると夏本番という印象が強くなる。
梅雨のじめじめした暑さとは違い、刺すような日差しによる、焼かれるような暑さ。
同じ厚さでも私はこっちの暑さの方が好きだ。

とはいっても、暑いのが苦手なことに変わりはないんだけどね。

空を見上げてぽつりとつぶやく。
私の戯言は、夏の暑さで蒸発して、入道雲に吸い込まれていった。

まーや!

後ろからクラスメイトの陽菜が抱き着いてくる。

陽菜、貴方は本当に元気ね。

麻弥は元気ないね。

貴方に抱き着かれたせいよ。暑くて仕方ないわ。

えー、ひどいーー

陽菜はあざとさ全開だ。

でもたしかにあついーーー

今にも溶けそうな声を出しながら陽菜は学校への道を歩く。

すっきぷするように歩く彼女の後ろは私はついて歩く。
いつも元気で、夏の太陽のように私を照らす彼女。


私は彼女が好きだ。



もちろん恋愛対象として

でも、私たちは結ばれない。
それは何も女同士だからというわけじゃない。

私はこの地に堕とされた月の使い。

太陽のような彼女と結ばれることはない……。

照り付ける光。想い隠す×の××たる少女

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