予定通り東京へ戻って。
その翌日からまた忙しない学生生活……
今日もまた生徒指導室に呼び出されていた俺を
親友の国枝あつしが待っていてくれた。

俺もあつしも一昨年喧嘩が原因で停学を喰らい、
もう1回3学年の勉学を深めている。
(要するに留年した)

多分、来年は卒業出来るだろうけど……
ファイナルアンサーは夏休み明けにある特別追試験の
結果次第だ。

あつし

―― 東っちの話し何だった?

綱吉

この前の呼び出しで志望校のレベル落とせって言われたから、てきとーにBランクの中から選んだら適当過ぎるって怒られた

俺の言葉にあつしは大笑いした。

綱吉

けど、大事な虎の子のつぎ込んで進学したって、大学で特にやりたい事なんてないもんなぁ~

すると、通りがかりのクラスメイトが
『サークル! 可愛い娘ちゃんと合コン!』
『18才の青春存分に謳歌しようぜツナちゃん』
と、言いながら通り過ぎて行った。

あつし

おぉ ――そういえば! 松浪のじっちゃんの手伝い予定は?

綱吉

例年通り夏休みも年末年始も余分な休みはなし

あつし

やっぱりか。今年こそはカウントダウン行けると思ってたのにぃ……

テキ屋・露天商は年末年始こそが一番の
かきいれどきなんだ。

けど、そうゆう甘い誘いにはちょっとは……
いや、大いに気になる。

綱吉

……そころで、誰と?

あつし

俺と、詩音と ―― まだ未定


 

詩音とはあつしが今交際中の彼女。

うちらと同じ学区内にあるバリバリのお嬢様学校、
星蘭女学館へ通っている1年生。

実はあつし、海産物とバター・生クリーム・チーズ・
生ハム等の加工食品を中心に取り扱う老舗専門商社
『相模屋』の御曹司。

相模屋グル-プはディズニーランドの
メインオフィシャルスポンサーなので
毎年カウントダウンのチケットが株主優先特典で
手に入る。

―― が

何が楽しくて恋人達満載のデートスポットに
独り身の俺が行かねばならないのだ!
 
と、言っても、年末年始は超忙しいし。

綱吉

じゃあ、もし、お祖父ちゃんがオッケーしてくれて、
あつしと誰も行く奴が居なかったら行ってやっても良いよ

あつし

うわぁぁぁ上から目線!

わざとらしく怒るあつしに笑いながら、
立ち上がる。

綱吉

じゃ、俺は今から相模屋食品の売上を伸ばしに行って来るっす

あつし

よろしく! 仕事頑張ってぇな


 

笑いながらあつしと別れて外へと向かった。

 
クリスマス……恋人……
欲しいのは欲しいが、
デートをする時間も金も無い!

大学に入るまでそっちはお預けかなぁ……

働け! 勤労青年!

俺は気合を入れて走り出した。

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