王城を右手に見ながら駅前ターミナルへと歩いていたら

『そこのチビ、待ぁ~てぇ~ぃっ!!』

と、切羽詰まった声がして ”?”
チラリ振り向いて見たらそれは ――

物凄い形相でこちらへ向かって全力疾走する
ゲイブだった。

げっ?! 情報届くの早すぎでしょ!
ってか”そこのチビ”って何なんだよ!

ここで捕まっちゃ一巻の終わり。
俺も必死で逃げて。
客待ち中の馬車へ飛び乗った。

和葉

とにかく出してっ!

俺の慌てように驚いた御者が馬へムチを振るうと、
馬車はスタートダッシュで走り出した。

ゲイブも流石に馬車との追いかけっこには勝てなかった
ようで、激しく息を切らし路肩で立ち止まっている。

その姿が徐々に遠ざかって行く ――。

”ごめん、ゲイブ。でも、決めた事だから。許して”

これは、ゲイブへの言葉でもあり、
愛するエディへの言葉でもあった……。

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