注略! このシーンより主人公の名前表記を”和葉”に戻します。


玄関ホールの大時計が午前0時を打っている。

薄暗がりの中、今夜何十回目かの
寝返りをうつ和葉。

羊が63匹、羊が64匹、羊が65匹、羊が…………
(´Д`|||) ドヨーン

あぁっ、もうっ。いくら羊を数えてみても頭の中が
羊だらけに なっていくだけで睡魔は一向に
襲ってこない!

参ったなぁ――
こんな事なら昼寝なんかしなきゃ良かった……

イライラしてもう1度寝返りをうった時、
何気に瞼を開けたら薄暗がりの中、
隣のベッドで心配気に和葉の様子を伺っていた
エディと バッチリ視線がかち合ってしまった。

(エディは和葉が自分を庇って傷ついた日から
 ずっと、和葉の休む病室に泊まりこみで看病
 しているのだ)

う”っ!……これは、かなり気まずい。

エディ

……眠れねぇのか?

和葉

あ、ごめんね。起こしちゃったか

エディ

いいや、俺は閣議の間中ずっと寝てたからすっかり目が冴えちまってさ

和葉

アハハハ ―― そっかぁ

エディ

……なぁ、和葉? こっちにこないか?

和葉

えっ ――

エディ

ア、嫌なら無理にとは言わねぇけど

和葉

……いいの?

エディ

――は?

和葉

だから、そっち行っていい?

エディ

お ―― おぉ

と、和葉のためのスペースを自分の傍らへ空ける。

和葉は自分のベッドからパッと抜けだして、
エディが空けてくれたスペースへ滑り込み、
エディへピタッと寄り添ってエディの腕枕で
エディの匂いを思いきり吸い込み。

和葉

あぁ、エディの匂い…………

エディ

えっ、臭うか? しっかりシャワーしたんだけどな

和葉

ううん、違う

エディ

あ?

和葉

何となく安心するってゆうか、落ち着ける匂い……

エディ

……そっかぁ

和葉

でね、エディ……俺、すっごく嬉しい

エディ

あ?

和葉

……エディが、俺のほんとの名前頑張って言えるようになったから

エディ

んな事は当然だ。元来”名前”ってのは両親が一生懸命考えてくれたもんだからな。貰った方も一生大事にしていかなきゃいけないと思う

和葉

うん。そうだね

エディは和葉のおでこにそうっとキスを落として。

エディ

おやすみ、和葉

和葉

うん。おやすみエディ

静かな夜はゆっくり更けてゆく。

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