ゲイブがリーフの傷の手当をしている医務室の
戸口へエディがふらっと現れた。
それに気付いたリーフが”エディ”と、
半身起こそうとして、ゲイブに止められる。
ゲイブがリーフの傷の手当をしている医務室の
戸口へエディがふらっと現れた。
それに気付いたリーフが”エディ”と、
半身起こそうとして、ゲイブに止められる。
ダメですよ、もうしばらくは安静にしてなきゃ
……悪かった、和葉……
何を今さら……貴方をお守りするのも俺の役目。お役にたてて光栄です
ゲイブ、お前も悪かったな
いえ、俺も主を守るのが役目ですから……
(だけどリーフ様は守ってやれなかった。
くそっ……)
ゲイブはぐっと拳を握る。
エ ―― 若
なんだ?
こっちはもう大丈夫ですが、今日の巡回は念の為に休んで下さい
それこそ大丈夫だ。そろそろ真面目に見回りしておかないと、親父からも雷が落ちそうだからな
ですが……
ゲイブ? リーフの事、頼んだ。念の為にあとでベネットを呼んで往診して貰ってくれ
わかりました
じゃ、行って来ます
「行ってらしゃいませ
いってらっしゃい
リーフはエディの後姿を見送ると
ゆっくり瞼を閉じた。
少し……疲れた
休んで下さい。
しばらく私はここにいますんで
あ、ぁ……
*** *** ***
夜半過ぎ。
リーフの熱がまた上がり出したとの、
連絡が入り、取り急ぎ紅の離宮へ急行。
エディはリーフの寝汗でベトついたパジャマを
脱がせて、お湯を絞ったタオルで汗ばんだ
リーフの体を拭いてやる。
薄い胸板が苦し気にゼェゼェと上下する。
エディはリーフに新しいパジャマを着せた。
チッチッチッ ――――と時計の音だけが
部屋に響く。
少ししてはリーフのおでこに当てられた
熱冷却シートを貼り替えた。
……
ん……なんだ?
ハァハァと荒く息をつきながらリーフは
うなされている。
……さん……と、う、さん……
”お父さん……”
かずは……
そう言って掛け布団を握るリーフの手を
エディは上からぎゅっと握った。
リーフが薄目を開ける。
うっすらと誰かが自分の手を握っている事に
気づいた。
お、父さん……?
……あぁ、そうだ
リーフはほぅーっと息を吐き、
安心したように再び眠りにつく。
数時間後、ふとリーフは目を覚ました。
そうだ。俺、夢で父さんと……
リーフは自分の手が温かい小さな手に
包み込まれていることに気づく。
昨日のスーツ姿のまま、リーフの手を握り
椅子に座ってベッドに伏せって眠っているエディ。
リーフは握られていない方の手で、
そっとエディの髪を撫でた。
レースのカーテンから優しく注ぐ朝の日差しに
包まれ、エディが目を覚ました。
……オハヨ
エディはすぐさまリーフのおでこの熱冷却シートを
剥がして、そのおでこへ自分のおでこをあてがって
熱を診た。
良かった……熱、下がったぞ
そっか、エディが寝ずの看病してくれたおかげ
だね。ありがと
寝ずの看病だなんて大袈裟だ。お前のおかげで俺は命を救われた。こんな事くらいしか出来ないのが申し訳ない
エディの手首へ伸ばしたリーフの手が、
華奢な指に五指を絡めて繋がれ、
そのまままだやや青ざめている頬に当てられた。
ね、エディ、もう少し……ここにいてくれる?
もう少しでいいから……
どんな苦境にも臨機応変に応じてきたリーフが、
どこか弱気になっていることが感じられ、
されるがままに ”もちろんだ” と答えた。
ごめんね……明日には、ちゃんと元気になるから……心配、せんで……
また眠気が襲ってきたのだろうか。
リーフは、瞼が自然に下がろうとするままに任せた。
その時、目を閉じた己の唇に、
何か、覚えのある柔らかくて甘いものが
押し付けられたのを感じて思わずぴくっと
反応したが、目を開けることはしなかった。
代わりに、覆いかぶさる頭の後ろに手を回して、
もっとと促すように力をこめると、
角度を変えてまた唇が重ねられた。
眠気もなりを潜めてしまい、
グミのような柔らかな肉を楽しんで、
そっと舌を差し入れ、
不意に逃げを見せるエディの舌を絡めとる。
疲労で、体温が下がっているのか、
エディの口腔は、ひどく熱く感じられた。
やがてリーフは、艶めいた吐息とともに、
ゆっくりとその唇を離した。
また、熱が上がるぞ
そしたら、また、エディが看病してくれるでしょ
あぁ、よろこんで