あんな風にドキドキした夜は初めてだった。
どうやら純血は守られたようだが……
微妙に肩透かしを食らったような気がして、
しばらく横になったままぼぅ~っとしていると、
ゲイブが珍しく急いだ感じで、俺の部屋に入って来た。
あんな風にドキドキした夜は初めてだった。
どうやら純血は守られたようだが……
微妙に肩透かしを食らったような気がして、
しばらく横になったままぼぅ~っとしていると、
ゲイブが珍しく急いだ感じで、俺の部屋に入って来た。
リーフ様! 閣下の御成りにございます!
え?
なに? それ。
皆の者、支度を整えよ!
はっ!
え?!
ガルシア大佐がテキパキ支持を出していく。
小間使いの双子・ニッキ-とベッキーも
せっせとお手伝い。
おめでとうございます! リーフ様!
おめでとうございます!
周りにいる側仕えの皆さんは、
めちゃくちゃ喜んでくれるけど……。
閣下の御成りってなに?
なんなの? ねぇっ、ゲイブ!!
そこで何故か?
時代劇・大奥で観た一場面が蘇る ――
『上様の、おな~りぃ~』
えっ?! もしかしたら、
閣下の御成りって、アレの事?
エディがこれから俺の部屋にやって来るって
ことまでは理解出来た。
でも、ゲイブも大佐も、
ニッキ-やドジャーまで忙しそうにバタバタ
してて、エディがここへ何をしにくるのかまで、
教えてくれない。
ってか、これが大奥の場合、
上様が正室又は側室と寝床を共にして
”夫婦の営み”ってやつをする為なんだけど。
今は、朝だよ。
それも早朝・6時。
そりゃあ、早起きは三文の徳ってゆう諺もあるけど
せっかくの試験休みの今日くらい、
ゆっくり寝かせて欲しかった。
ってゆうか、ほんと、エディは何しに来るの?
そんな事を考えながら、
皆さん忙しく動いてらっしゃるその中で
俺1人だけがヌボ~ってしてる。
そしたら側仕えの人たちが、一斉に人払いされた。
その際、女性士官のキンバリー少佐が
朝だというのに雨戸をピシャリ閉め、
窓辺にはカーテンまで引いて出て行った。
俺は? 床に正座で待つように言われて、
とにかくその場に正座する。
『リーフ様、大公陛下の御成りでございます』
あ……
もしかして……でも、まさか、ね。
一旦外に出ていたゲイブが、
キャンドルの灯りだけになっているこの部屋へ、
静かに入って来た。
……
?? どうなされましたか?
あ、あの……
ゲイブに差し出した手が、震えてる。
大丈夫ですよ、リーフ様
ゲイブはギュッと手を握ってくれた。
すべては閣下にお任せしていれば良いのです
そう耳打ちされた。
(じゃ、やっぱりアレ、なんですか?)
さぁ、ご準備は宜しいですね
いえ! ちっとも宜しくないですっ。
そりゃあっちの経験は自分で言うのも何だが、
豊富な方だと思う。
でも ――!
ゲイブがゆっくりとドアを開けた。