* * *

とある上空

* * *






















ギーズ

ひえぇぇぇぇ!!
助けてぇぇ!!






ギーズ

……ってね。

ギーズ

そろそろいいかな?

ギーズ

さすがにもう
魔力を感知される
距離じゃないしね。

ギーズ

生体召喚……

ギーズ

いでよ、
シザース!

身動きの取れないギーズさんが声を上げると


ヴァインバインは


ズタズタに引き裂かれました。



ギーズ

……えーっと、ここは、と。


空から地上を見下ろすギーズさん。




身動きが取れるようにこそなりましたが、


その体は王都アルザレアへと


向かい続けていました。


ギーズ

……ちょうどいい場所だね。

ギーズ

3年前からボクが
何も変わらない
ワケがないでしょ。

ギーズ

生体召喚……

ギーズ

いでよ、
ヘビーマテリアル!



緩やかな放物線を描いていた


ギーズさんの飛行軌跡は


突如として失速し


地上へと向かっていきます。






































険しい氷壁

































* * *

ミリオンソード
北側麓

* * *






ツギノを後にした勇者様御一行。


北門から暫く歩くと


あっという間に雪景色となりました。



勇者

ツギノのこんなすぐ近くに積雪地帯があるなんて知らなかったな……。

ダイ
ラムディッシュ

そらそうさ。
ミリオンソードの裏尾根である
【雪渡りの千本峰】は、
ツギノの自然の防壁として役立っていたんだ。

ラムディッシュ

それゆえ壁扱いのこのあたりは誰も来ないんだけどな。

ラムディッシュ

ほら、そこが登山口だ。






ラムディッシュさんが


そう言って指した指先には


氷壁が立ちはだかっていました。



ダイ

え……。
これ、ただの壁じゃないの?

ラムディッシュ

ところが違うんだなぁ……。



ラムディッシュさんは


思わずドヤ顔を垣間見せます。


勇者

んー……。

勇者

わかった!
これは氷壁結界に違いない!

勇者

そうでしょ、ラムディッシュさん。

ラムディッシュ

ぶっぶー!

ラムディッシュ

違います。



いつにもまして


楽しそうなラムディッシュさん。


なんだか、キャラが違います。

勇者

えー……。

ダイ

じゃあ、どうするってのさ!
いじわるしないで教えてよ!




ダイさんは少しばかりご立腹の様子です。



ラムディッシュ

言ったろ?
俺様のお師匠様に会いに行くって。
俺様は一体ナニもんだ?
お師匠様はナニもんだ?



ついには俺様と自称するようになりました。

勇者

……魔導機械工
《まどうエンジニア》
……ですよね。

ラムディッシュ

そうさ!
それも最高峰の職位……
アーティファクト・マイスターを冠するのが俺様のお師匠様さ。

勇者

アーティファクト・マイスター!?

ラムディッシュ

そんな俺様とお師匠様が使う
移動経路に何も仕掛けをしないと思うかい?

ダイ

もしかして、
何か魔導機の仕掛けが!?

勇者

まさか……。
この氷壁自体がアイスゴーレムで
乗せていってくれるとでも!?

ラムディッシュ

フッフッフッ……。


不敵な笑みを浮かべる


ラムディッシュさん。





どうやら


男子の琴線に触れる


案件のようで


勇者様とダイさんは


興奮状態です。




ラムディッシュ

そんな、ありきたりな
仕掛けじゃつまらねぇ!
ここにはそれ以上の
魔導機を用意してあるのさ!

ダイ

なんだってー!

勇者

ゴクリ。

ラムディッシュ

見るがいい。
俺様とお師匠様が作り出した、究極の登山魔導機……








ラムディッシュ

ジャイアント・
ゴールデン・
タブだ!





































勇者
ダイ
ラムディッシュ




















勇者
ダイ
ラムディッシュ























勇者
ダイ
ラムディッシュ























あたりには


妙な空気が流れ始めました。













ラムディッシュ

ジャイアント・シルバー・タブもあるぞ!

ダイ

ただのタライじゃん……。
ゴーレムはぁ……?

勇者

うう、魔導機……。
スチームパンク……。



勇者様とダイさんは


うわ言のように呟きます。

ラムディッシュ

なんだよー。
シンプル・イズ・ベストって
知らないのかよー?
これこそがデザイン美ってやつなんだよ。



思ったように喝采されなかった


ラムディッシュさん。



みんなで一緒に落ち込みます。


ラムディッシュ

とりあえず、シルバーは下山用だから今はいいとして……。



ラムディッシュさんは


かったるそうに説明をはじめました。

ラムディッシュ

勇者様、
このゴールデンの方に搭乗して
体を少し前傾姿勢にしてみてくれ。

勇者

搭乗って……。

ダイ

こんなのに乗って何になるんだ?

ラムディッシュ

そのかわりちゃんとヘリを
掴んで離さないでくれよ?

勇者

じゃあ、ラムディッシュさんを信じてやってみます。


勇者様はそう言うと


ジャイアント・ゴールデン・タブに乗り込み


体を思いっきり前に倒しました。

ラムディッシュ

お、おい、勇者様!
そんな急に傾けたら……!!







……次の瞬間。














勇者

きゃあぁぁぁぁぁ!

ダイ

勇者様!?













勇者様を乗せた


ジャイアント・ゴールデン・タブは


音をも切る速さで氷壁を昇り始めました。




ラムディッシュ

やっべぇ!
追いかけねえと!

ラムディッシュ

ダイ!
お前はあまり前傾姿勢を取らず
ゆっくり来い!

ダイ

え?うん。





ラムディッシュさんは


ジャイアント・ゴールデン・タブに乗り込むと


勇者様以上に体を前に倒して







果たして勇者様達は無事に


【雪渡りの千本峰】を攻略できるのでしょうか?


































つづく

【勇者勇の装備】
レベル  :19
めいせい :191
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×2
      霊薬草×5
      淡水ザメの煮凝り
      淡水ザメの骨
      淡水ザメの牙
      黒王の羽
      いつもの額当て
      王の冠
      カジノコイン×2560
      緋糸手句の防寒具
なかま  :[泉守]ダイ
      [もふもふ]もふもふ
      [魔導エンジニア]ラムディッシュ
とくぎ  :ファイアブレス
      トキシックブレス
      釣り
      カン
      介抱
じょうたい:ジャイアント・ゴールデン・タブ搭乗中

【シーラの装備】
レベル  :12
めいせい :240
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×94
      イーサ薬×9
      おみやげ×99
      ガラスの破片
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      [コボルト]ライル
とくぎ  :しょうかん
      値切り
      冷やかし
      虫の知らせ
      ディゾネの思い出
      寒さに耐える
      好奇心
じょうたい:パーティーリーダー

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