七人同行
香川県に伝わる妖怪である。

容姿は人間と同様であるとされているが、見えないので本当であるかどうかは不明。

非業の死を遂げた者の霊ともいわれ、常に一列になって歩いているらしい。

だから兄ちゃん諦めな・・。

っ・・・しかし!!

花蓮

お兄さん!!!!

・・・・わ、かりました。

・・・今日は泊ってきな。
気持ちの整理がつくまでいたらいい。

つ・・・煌炎、様・・・。

男の言葉に二人は甘えることにした。


しかしながら、絶対的な主を失った賽は気持ちを落ち着けるために一人別室にこもってしまった。



気を使ってくれた家主は、花蓮と煌炎を残し、別室へと行く。

花蓮

煌炎・・・さん。

いつも軽口をたたいていた煌炎の口は動くことはない。


よく無茶をする彼を見ていると、いつかはこんな日がくるのではないかと考えたりもした。



しかし、実際彼の死を目の当たりにすると驚きで涙すら出なかったが・・・・。

花蓮

・・・っ。

改めて向き合って、堰き止めていた涙があふれ出る。

花蓮

まだ・・・まだいかないでよ。
私、何も伝えれてない・・・。

はらはら、と
花蓮の涙が煌炎の頬に落ちる。

とめどなく落ちる涙は、尽きるところを知らない。

花蓮

煌炎さん・・・・今まで本当にありがとう。

あなたが、好きでした。

花蓮がその言葉をつぶやくと、部屋が瞬く間に光に包まれる。

花蓮

え・・・?

しかしその光もすぐに収まった。

花蓮

な、なに?
何だったの?

煌炎

寝込み襲ってんじゃねーよ、バーカ。

花蓮

ひょ・・?

布団の上で眠気眼であぐらをかいているこの男は・・・・・・

花蓮

ひぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!???

どうしましたか花蓮さん!!??
もしや、七人同ぎょ・・・・。

慌てて部屋に入ってきた賽も驚きのあまり凍り付いたように固まる。

ぎょおおおおおおおおおおぉぉ!!!??

煌炎

・・・頭に響いたわ。

こ、ここここここここここ。

煌炎

あ?
豚から鶏になったのか?

煌炎様っ!!!
ああ、よかった!
心臓に悪いから死んだふりなんてしないでくださいよ!

煌炎

死んだふり・・・?
いや、俺死んでたぞ。

へっ?

花蓮

死体がっ死体がしゃべったぁああああ!!??

煌炎

あー、今は死んでねぇよ。
なんだこれ、説明がめんどくせー。

その後騒ぎを聞きつけた家主が部屋に入ってきて同様の反応をし、室内が落ち着くまでしばらくの時間を要した。

煌炎

おい、ちびガキ。
名字は何だ?

花蓮

あ、天衣。

煌炎

ちっ。

花蓮

なんで舌打ち!!??

煌炎

おたく、気づいてないかもしれねぇが、先祖返りしてるぞ。

花蓮

??

煌炎

ちびガキ、お前は天女の子孫だ。

花蓮

え?
えええええええええええええええええええ!!!????

煌炎

どっかで聞いたことがある。
天女の涙は人を生き返らせることができるって。

あ、私も聞いたことがありますね。
でもそれって・・・。

賽は言いかけて顔を真っ赤にし始める。

煌炎

ぁんだよ?

男として言えない。
本当に好きな人を想って流した涙でだけ生き返ることができるなんて口が裂けても言えない。

煌炎

ちょいと癪だが、今回は助かった。
感謝してやる、
花蓮。

花蓮

きゅ、急に名前呼ばないでよ!!!!!!
心の準備が。

煌炎

名前で呼べって言ったり呼ぶなって言ったり、ほんとめんどくせー奴だな。

花蓮

あ、嘘。
呼んでいいから!!

煌炎

二度と呼ぶか。
おたくなんざちびガキで十分なんだよ。

でも・・・本当に無事でよかったです。

煌炎

とりあえず死んでたら腹減ったな。

相変わらずマイペースですね・・・。
その台詞今までに言ったの煌炎様だけだと思いますよ。

なんだかわかんねーが、連れが死んでなくて良かったな兄ちゃんたち!!
腹が減ったならこれを食え!

煌炎

讃岐うどん・・!!!!

花蓮

煌炎さんの食いつきようがすごい!!
さすが麺類!!

でも・・・、七人同行。
いずれにせよ倒さねばならないんですよね。
どう対策を練りましょうか。

煌炎

安心しな。
七人同行の特性を思い出した。
対策はある。
おっさん、後で裏にいる馬借りるぜ。

あ、あぁ。
構わないが、よく裏に馬がいるって分かったな。

煌炎

布団で横になったら、蹄の音がしたからな。

でも馬でどうするんです?

煌炎

まぁ、見てな。

七雄七人同行の章【転】

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