ええっ、遍照さんって、あの、弘法大師空海なんですかぁー

朱右殿、お静かに

今年の、お正月に、あの、徳川家康さんの、携帯電話番号を教えてもらったのだから、今更、弘法大師空海が、目の前にいても、おかしくないが・・・・
すごい偉人と知りあいになってしまった

いや、でも、あの、弘法大師、お大師様ですよ・・・・もう、超感激
　しかも、さっきまで、六大の基礎とか、俺、すごい人に、すごい事を教えてもらって、知らなかったとは言え、かなり失礼な事をしていたのではないだろうか・・・・

朱右殿、そんなに、改まらなくても

いえ、でも、本当に知らなかったとはいえ、すみませんでした。
　自称、歴史オタクとか言っておりましが、まだまだ、勉強不足でした

しかし、慈尊寺（じそんじ)から、この町石道を、だいぶ歩いてきましたが
　ほとんど、この町石道には、黒髪が見えません。
　それだけ、歴史深くて、いろいろな方が、清浄な心で光野山に登ったのでしょうね。
　さらに、すばらしい自然が残っている道ですね

いやぁー、歴史好きの私としては、このような素晴らしい所が同じ、木の国(きのくに)内にあるのに、仕事が忙しいので、来る機会がなかったです。
　自称歴史オタクと言っておりますが、これでは失格ですね

ほー、お仕事が忙しいと言っておられますが、朱右殿は、どのようなお仕事をなされているのですか？

実は、父親の代から、髪切り屋をしておりまして

なるほど、なら、今度、拙僧も、髪を切ってもらいましょうかね

えっ、お坊様は、剃刀で、毛を剃っているのではないのですか

たしかに、でも、髪切り屋さんなら、剃刀も使えるのでしょう

確かに、お顔剃りもしますので、剃刀はつかいますが、頭は剃ったことないですが

なら、拙僧が、朱右殿が、頭を剃る、お客さん、第一号になりますよ

本当ですか、それはありがたいです。これ、私の名刺です。来店いただく前に予約をいれていただけるとありがたいです

では、名刺に書かれている、電話番号をスマホに登録しますので、そこの町石で、すこし、休憩するとしましょうか

しかし、お坊様の、遍照さんが、スマホを持っているのは意外です、なんかイメージないです

意外と重宝してるのですよ、スケジュール管理とかも、スマホを使ってやると便利ですからね

遍照さん、石に南無大師遍照金剛と書かれているのですが、これはどういう意味なのですか？

遍照金剛とは、真言密教で、大日如来の名。光明があまねく照らし、金剛のように不滅であるところからそういうのです

先ほど、師匠のお話をしたときに、お話しましたが
　我が、密教の師である、第七祖阿闍梨　青龍寺の恵果和尚、恵果阿闍梨が、灌頂（かんじょう）時に、拙僧に遍照金剛の名を授けてくれたのです

ふむふむ、では、遍照金剛とは、遍照さんの事なのですね？

そうですね

では、前半の南無大師というのはどういう意味なのですか

南無とは、〇〇と共にとか、〇〇と一緒にとかいう、感じの意味でとらえればよろしいかと
　この場合は大師と共に、大師と一緒にっといった感じでしょうか

よくわかりました、しかし、私が知っている大師と言えば、弘法大師くらいです

ここに書かれている大師とは、その弘法大師のことですね

なるほど、では、この石に書かれている事は、弘法大師遍照金剛と共にって意味ですか

そのとおりですね

でも、弘法大師って、空海のことじゃないのですか？

ええっそうですよ

？？？

弘法大師は、空海？

はい、合ってますね

弘法大師は遍照金剛？

はい、合ってますね

という事は・・・

空海は遍照金剛？

はい、合ってますね

では遍照金剛、すなわち、私の目の前にいる遍照さん、あなたは、空海　さ・ん？

そうですが

ははっ、正体がばれたからという訳ではありませんが
　朱右殿の名刺をいただいたので、拙僧も名刺をおわたしいたしますね

ありがとうございます