真白大学学長、真白英雄さんはゴリさんの実の父親である。流行りものが大好きで、シンブラックの変換装置を日本でもいち早く使い、身体を動物に変えてしまった、かなりの変わり者でもある。

真白パパ

よく来てくれたね。直接会うのは
初めてだったかな。麗華の父です。
いつも娘がお世話になってます。

イナバイナハ

こちらこそ、ゴリさんには
いつも仲良くしてもらってます。

イナバイナハ

くっ、噂には聞いてたけど、
かなりのわがままボディ……!
からだ中なでなでしたい……!!

ゆーま

くっ……!!

野生動物とは違い、中身が人間なだけあって体毛は汚れたりしておらず真っ白に整えられており、良い匂いを嗅ぐわせている。まるで大きなぬいぐるみだった。

イナバイナハ

あと、こっちのネコさんは?

……。

真白パパ

ああ、こっちの人は……。

初めまして、執事のパープルです。
シンブラックで相談役もしております。

イナバイナハ

わっ、しゃべった! や、やっぱり
執事さんも動物なんですね。

……ええ、旦那様の趣味に
付き合わされまして。困ったものです。

イナバイナハ

あはは、大変だ! でも
ネコに一回なってみたいかも!

そうですか。機会があれば是非に。

真白パパ

そ、それで今日ここに来てもらったのはね、因幡君。君に話があったからなんだ

イナバイナハ

あ、はい。あたし
何かしましたでしょうか?

真白パパ

それは……。

私から説明しましょう。あなたは確か、多椙教授のお弟子さんらしいですね?

イナバイナハ

弟子というか、ただ授業を
受けているだけですけど……。

新エーテル物理学の授業を受けようという学生は多いが、たいていセンセイとの「鬼ごっこ」をしており、それが授業といっていいのかもわからない。

あたしもセンセイにもらった本の解読に勤しんでいるものの、最近ようやく「この世界のどの言語でもない」文字で書かれていることが分かったくらいで、弟子といわれるほどの者でもなかった。

いえいえ、ご謙遜を。教授からはそのように聞いております。そこであなたを 正式にシンブラックに内定したいと社長から話をいただきまして。勉強がてら、今から見学に来ないかとお誘いを頂いています。いかがですか?

イナバイナハ

えっ、センセイが? それに社長さんが?
えー、どうしよう、困ったな。
学長、これ本当のことですか?

真白パパ

ああ、今君が彼に言われたことに
嘘はないね。それは私が保証しよう

イナバイナハ

わーお……。

なんだか現実感がなさすぎて、頭がボーっとしてしまう。こんなにとんとん拍子に話が進んでしまっていいものだろうか。

大学に入ったのもすべては転移装置や変換装置に触れてみたかったからで、必ずしもシンブラックに入るのが目的ではない。

でも現状シンブラックでしか扱えない技術なのは確かで、そこに入社することは転移や変換について、より実践的なことを学べるということだろう。

だからこそ、そういわれたらあたしに選択の余地などなかったのだった。

イナバイナハ

はい、行ってみたいです、ぜひぜひ!!

それはよかった。では、さっそく参りましょう。私は特一級免許のテレポーターですので。旦那様、あとはよろしく。

イナバイナハ

わあすごい! じゃあ学長、
ちょっと勉強してきます!

真白パパ

ああ、気を付けて行っておいで。

真白パパ

これでよかったのだろうか……これで。

ホワイト

教育者としては失格、でも
父親としてなら及第点かしらね?

四天王

……。

真白パパ

お前たち! さあ、約束は果たしたぞ。
大人しく学生たちを返してもらおうか!

四天王

返すことはもうできん。……だが
会わせることならできるぞ?

真白パパ

なんだと、いったいどういう……。

真白パパ

その血……ま、まさか……!

四天王

おっと……ペロリ。

真白パパ

この外道が!!

真白パパ

ぐわっ……あっ……。

ホワイト

……。

四天王

素人にしちゃ悪くないパンチだったな。さあ、仕事を始めるぞ。

真白パパ

……。

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