春都

…佳穂ちゃん?

桜の様子を見て、彼女に気づかれないように佳穂はさりげなく春都の袖を引っ張った。

佳穂

……。

佳穂はこちらを見た春都に首を振った。
いかないで。
そう彼女の目が訴えていた。

やっぱり、ここはモンスターが多いなぁ

呑気につぶやいている彼女の正面の暗闇からは沢山のうめき声が聞こえてくる。

数は十分…かな

佳穂

なっ…何!?

春都

何やってんだお前!!

佳穂と春都を閉じ込めるように謎の結界が張られた。

佳穂

何をしたの?

見てわからない?閉じ込めたの

桜は結界の外で一人ケラケラと笑っている。

その結界は条件式。破壊で脱出することはできない。

春都

そして、その条件はモンスターを倒すことか?

春都は佳穂の前に立って、暗闇を見つめた。
それはゆっくりと不気味な音をたてて近づいてきた。

この数のモンスターを倒せるかしら?

佳穂

どうしてこんなことを!

どうして?…決まってるじゃない

徹底的に叩き潰すためよ

桜が微笑んだ瞬間、ぐにゃりと空間が歪んで一面が不気味な色に染まった。

春都

なんだよ、これ…!!

もっと私を楽しませて!
この絶望で!この狂気で!

佳穂

貴方が、すべての元凶…?

そう。貴方たちを閉じ込めてるのも、システムを狂わせているのも全て私。

さぁ、ゴールは見せたよ。
早く私のところまで来て。

桜は佳穂に笑いかけると、どこかに消えてしまった。

佳穂

みんなを巻き込むなんて許せない

佳穂

春都さん!何としてもここを潜り抜けましょう!彼女を止めなきゃ!

春都

あぁ。こんなところで負けるわけにはいかないからね。

春都

彼女に指一本触れさせるかよ。

春都

いくぞ!!

pagetop