むかし、むかし



…………を助けた男は




お礼に………城に招かれました。
















 めでたし、めでたし……

(息が……苦しい………)


海の中を
青年はフワフワと漂っていた。

目を開いたまま、

青年は海水に
身を委ねて落ちていく。



海に沈んでから、
どれだけの時間が
過ぎたのだろうか。



そんなことを漠然と考えてしまう。

(彼女を助けたことを後悔はしていない)


浜辺を訪れると
見慣れない着物を着た女の子がいた。

彼女は村の子供たちに苛められていた。

弱い者いじめをするな

 そう言って、
子供たちを追い払う。

大丈夫だった?

ありがとう。貴方にお礼がしたいの

 彼女は邪気のない笑顔を見せる。

お礼?

彼女は亀だった。

人間の姿に化けて
遊びに来たところを、
子供たちに見つかり
苛められたのだという。

この村の人たちは余所者に対し
強い警戒心を抱いていた。

楽しい所に連れて行ってあげますね

亀に姿を変えた
彼女の背中に乗って海に潜った。





行き先も告げずに、
彼女は勢いよく泳ぎ出す。

突然、
大量の海水が肺に流れ込んだ。

 海面が遠ざかる。

 意識が遠くなる。

 世界が真っ白になる。

ウ ラ
   シ  マ
       

さん

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