路地に滑り込んだワゴンの車内でキタニが吠える。
ヒラヤマのバイクは曲がれずに直進して後方の視界から消え去った。
うおー!
路地に滑り込んだワゴンの車内でキタニが吠える。
ヒラヤマのバイクは曲がれずに直進して後方の視界から消え去った。
よし、振り切ったぞ!ざまーみやがれ、これでどうだ!
ふうー、間一髪だな、よくやったぜ。
・・・
・・・
・・・
路地に並んだゴミバケツをけり散らして進むワゴン。
おい、気を抜かないでくれよ。ここで立ち往生なんて、シャレにならないからな。
おう、わかってるって。心配するな。
すぐにヤツら引き返してくる。撒くんだ、進路を変えろ!
それもわかってるって!まかせとけ!
ワゴンは右折左折を繰り返し、さらに細い路地へ入り込んで進んでゆく。
くそっ、行き止まりだ・・・
ちっ、本当に大丈夫かよ?
バックして切り返し進路を戻すキタニ。
うるせえ、大丈夫だ。
先生は、大丈夫か?
ああ、心配はいらんよ。
ユキオが・・・
・・・オレのせいだ、あいつを降ろしたばっかりに。
・・・・・・あいつら絶対許さねえ。
・・・
オヨソ、300メートル、サキ、ミギホウコウデス
悲しむのは後からだ、目的地は近い。今は進むしかないんだ!
ああ。その通りだな。
ワゴンはスピードを上げると
埠頭に向かって走り出した。