蓮蛇が縁側の埃を掃出す奏に声をかける。
やあ奏さん。こんにちは。
蓮蛇が縁側の埃を掃出す奏に声をかける。
あ、蓮蛇さんこんにちは。
唐突だけれどね。
奏は普段どんなものを食べてるんだい?
やはり今もお登勢の時代と変わらず米に汁物で一汁三菜かい?
んー。
うちの母は朝は手抜きでご飯とふりかけくらい、かなぁ。
あ、でも夜はきちんと作ってくれて一汁四菜くらいあります。
ふり……かけ……?
え、もしかして蓮蛇さんふりかけ解りません?
……教えてくれると嬉しいな。
ふりかけっていうのは、うーん。
乾いた具材を砕いて味付けしたりした粉をご飯の上にかけて食べる味付け用のおかず?みたいな感じです。
味をつけるためだけのおかず……なんて贅沢なんだ。
えーっと。おかずに数えるのはちょっと違うかも……完全にご飯の味付け用なので。
いやいや、おかずの品目というのではなくね。
昔は下手をすれば食うや食わずということもあったからね。
味付けの為だけの食品があるというのがとても豊かなことに感じられてね。
あ、ああー。
なんとなくわかります。
味を調えるためのお塩とかとは別のプチ贅沢ですよね。
そうそう。
いやぁ、人界も豊かになったものだよ。
あのー、ちょっと気になったんですけど。
お登勢さんってどのくらい前の人だったんですか?
うん、百三十…四十年くらい前だったかな?
時が移ろうのは早いよね。
結構前世の人って近い年代だった……千年くらい昔の人かな?って思ってました。
千年前だとだいぶん昔だねえ。
ちなみに、おたかもせいぜい四百年くらい前だからね。
ちなみにー……蓮蛇さんはおいくつ?
これで意外と若いんだよ?
二千歳くらいかな。
弥生時代生まれだね。
いや、だいぶお年寄りですって。
まあ僕は老いないんだけどね。
そういってははは、と笑う蓮蛇をみて。
奏は「アンチエイジングいらずなのかぁ」とのんきなことを考えるのだった。