どうして一日を繰り返していることが分かったんだろう? どうしてそれに野沢が関係しているんだ。
――野沢が原因している?
俺は、そう六十部から聞いたぜ
……
どうして一日を繰り返していることが分かったんだろう? どうしてそれに野沢が関係しているんだ。
あのさ、どうして一日がループしていると分かったんだ?
あの説明で通じるんだ
あの説明で通じるんだよね
小斗と秋斗はキョトンとした。
それは野沢が俺達のことを忘れていたからだ
忘れた! それって記憶が無い
最初はふざけていると思ったが、どうやら本当に忘れていてな
日を追うことに野沢が毎日同じ行動を取っていた
小斗が話に割ってきた。
それで私達は周りの行動を観察してたんだよ。この裏の世界を知るためにね
待てよ――それじゃ
状況を整理しよう。俺が居ない一週間、まず偽物が現れたこと、対処法として白い布を巻いていること、野沢心が原因で一日を繰り返し、つまりループしていること、みんなで裏の世界を観察していたことだ。
さて、俺が一番気になるのは野沢のことだ。
俺が野沢と再会したときはカゴメ中学校だった。その時は初めてな感じだっただろうか? 良く分からないな。そういえば野沢はアンノンを見たとき、別に驚いてなかったな。寧ろ来ることを分かっていたような。
……うん、間違いない。野沢はアンノンが来るとこが分かっているような対応だった。そしたら野沢はアンノンを知っているんじゃないか?
野沢は記憶を無くしていない?
こんがらがってきた
鮫野木は頭を抱えてた。
どうした?
ループしているのは認めよう。けど、野沢が記憶を無くしているとは思えん
いえ、野沢心は完全に記憶を無くしているわ
六十部は鮫野木の疑問に答えるように話してきた。
どうして分かるんだ?
簡単よ、三回も同じ反応、対応をされれば、あなたでも分かるでしょ
同じ……か
でも、カゴメ中学校で野沢と会ったとき――
――初対面の反応も無かった。アンノンが来ることも知っていたような様子だった
それを踏まえても野沢心は記憶を無くしている。いいえ、記憶を操作されているわ
操作だと?
何故だろう。六十部が言ったことが正しと思ってしまう。俺は期待しているのか?
六十部に周り視線が集まる。説明を求める沈黙の訴えに六十部は答える。
良い。この裏の世界は名も無き者が創造したんでしょう。鮫野木くん?
ああ、本人にそう聞いた
私達の体は病院で寝ているんでしょう? 野沢心も寝ているらしいわね
間違えない
次々と六十部の質問に鮫野木は答えた。
アストラル界と言えば分かるかしら
――うん、アニメで知った
それじゃ俺達はアストラル体になるのか?
そうなるんじゃない
それだと僕達は死んだの?
凪佐は怯える声で話した。
嫌、寝ているだけだ。死んだわけじゃない
そうか、そうだよね
凪佐は胸をなで下ろした。
恐らく、名も無き者の創造したアストラル界に私達と野沢心が閉じ込められていている
六十部は説明を続けた。
名も無き者の手の上にいるようなもの
何でも出来るはずよ
ゲームで例えるとGM、ゲームマスターって訳か
鮫野木の質問に六十部は頷いた。
それじゃ、これは夢?
そうね。良く出来た夢ね
凪佐が言った通り、アストラル界が夢だと例えるサイトを見たことがある。現実の俺は寝ている。もちろん野沢もだ。
名も無き者なら、記憶なんて簡単に書き換えられるって言いたいのか?
ええ、私も認めたくなかったけど、私達は科学では説明できない状況に対面しているの
認めるわ。憶測で物事を言ってるって
信じがたいことが立て続けに起こるとオカルトを信じてなさそうな六十部みたいな人でも信じてしまうのか。
別に良いじゃないか
信じるよ。野沢は記憶を無くしている
そう
……
……
……
この空間に小斗と藤松と秋斗は話しについて行けてなかった。鮫野木と凪佐と違って言葉の意味が分かってないからだ。