鮫野木淳

――野沢が原因している?

藤松紅

俺は、そう六十部から聞いたぜ

鮫野木淳

……


 どうして一日を繰り返していることが分かったんだろう? どうしてそれに野沢が関係しているんだ。

鮫野木淳

あのさ、どうして一日がループしていると分かったんだ?

久賀秋斗

あの説明で通じるんだ

小斗雪音

あの説明で通じるんだよね


 小斗と秋斗はキョトンとした。

藤松紅

それは野沢が俺達のことを忘れていたからだ

鮫野木淳

忘れた! それって記憶が無い

藤松紅

最初はふざけていると思ったが、どうやら本当に忘れていてな

藤松紅

日を追うことに野沢が毎日同じ行動を取っていた


 小斗が話に割ってきた。

小斗雪音

それで私達は周りの行動を観察してたんだよ。この裏の世界を知るためにね

鮫野木淳

待てよ――それじゃ

 状況を整理しよう。俺が居ない一週間、まず偽物が現れたこと、対処法として白い布を巻いていること、野沢心が原因で一日を繰り返し、つまりループしていること、みんなで裏の世界を観察していたことだ。

 さて、俺が一番気になるのは野沢のことだ。

 俺が野沢と再会したときはカゴメ中学校だった。その時は初めてな感じだっただろうか? 良く分からないな。そういえば野沢はアンノンを見たとき、別に驚いてなかったな。寧ろ来ることを分かっていたような。

 ……うん、間違いない。野沢はアンノンが来るとこが分かっているような対応だった。そしたら野沢はアンノンを知っているんじゃないか?
 野沢は記憶を無くしていない?

鮫野木淳

こんがらがってきた


 鮫野木は頭を抱えてた。

藤松紅

どうした?

鮫野木淳

ループしているのは認めよう。けど、野沢が記憶を無くしているとは思えん

六十部紗良

いえ、野沢心は完全に記憶を無くしているわ


 六十部は鮫野木の疑問に答えるように話してきた。

鮫野木淳

どうして分かるんだ?

六十部紗良

簡単よ、三回も同じ反応、対応をされれば、あなたでも分かるでしょ

鮫野木淳

同じ……か

鮫野木淳

でも、カゴメ中学校で野沢と会ったとき――

六十部紗良

――初対面の反応も無かった。アンノンが来ることも知っていたような様子だった

六十部紗良

それを踏まえても野沢心は記憶を無くしている。いいえ、記憶を操作されているわ

鮫野木淳

操作だと?


 何故だろう。六十部が言ったことが正しと思ってしまう。俺は期待しているのか?
 六十部に周り視線が集まる。説明を求める沈黙の訴えに六十部は答える。

六十部紗良

良い。この裏の世界は名も無き者が創造したんでしょう。鮫野木くん?

鮫野木淳

ああ、本人にそう聞いた

六十部紗良

私達の体は病院で寝ているんでしょう? 野沢心も寝ているらしいわね

鮫野木淳

間違えない


 次々と六十部の質問に鮫野木は答えた。

六十部紗良

アストラル界と言えば分かるかしら

鮫野木淳

――うん、アニメで知った

鮫野木淳

それじゃ俺達はアストラル体になるのか?

六十部紗良

そうなるんじゃない

凪佐新吾

それだと僕達は死んだの?


 凪佐は怯える声で話した。

鮫野木淳

嫌、寝ているだけだ。死んだわけじゃない

凪佐新吾

そうか、そうだよね


 凪佐は胸をなで下ろした。

六十部紗良

恐らく、名も無き者の創造したアストラル界に私達と野沢心が閉じ込められていている


 六十部は説明を続けた。

六十部紗良

名も無き者の手の上にいるようなもの

六十部紗良

何でも出来るはずよ

鮫野木淳

ゲームで例えるとGM、ゲームマスターって訳か


 鮫野木の質問に六十部は頷いた。

凪佐新吾

それじゃ、これは夢?

六十部紗良

そうね。良く出来た夢ね


 凪佐が言った通り、アストラル界が夢だと例えるサイトを見たことがある。現実の俺は寝ている。もちろん野沢もだ。

鮫野木淳

名も無き者なら、記憶なんて簡単に書き換えられるって言いたいのか?

六十部紗良

ええ、私も認めたくなかったけど、私達は科学では説明できない状況に対面しているの

六十部紗良

認めるわ。憶測で物事を言ってるって


 信じがたいことが立て続けに起こるとオカルトを信じてなさそうな六十部みたいな人でも信じてしまうのか。

鮫野木淳

別に良いじゃないか

鮫野木淳

信じるよ。野沢は記憶を無くしている

六十部紗良

そう

小斗雪音

……

藤松紅

……

久賀秋斗

……

 この空間に小斗と藤松と秋斗は話しについて行けてなかった。鮫野木と凪佐と違って言葉の意味が分かってないからだ。

エピソード45 決戦前夜(2)

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