誘拐騒動 その2
こんな感じの子を見なかった?
うーん、ちょっとわかんないですね。いい感じの熟女なら全く見逃さんのですが。
好みの話か! あんたの!
ククリ! こっちだ!
怪しい人ぉおお?? 僕、よくわからなぁぁい。
な・あ・んでも・いいんだぁ 何か覚えてねえええかなああ?
わ・か・ん・なぁぁあ~~い。
そ・ん・な・あああああ~
ええい、まどろっこしい。
ゆうくん、昨日見たって言ってたじゃない。
そうだっけ。……あっ
僕、変なおじさんを見たよ。でっかいお髭でね。馬車に乗って、お姉さんを縛って荷台に乗せてたの。
でね、でね。あっちのお屋敷の方に向かっていったんだよ。えーと、誰のお屋敷だっけ。
マーマスさん。
うん、それー
もろに目撃されとる……
よっしゃ行くぜ そいつらの足跡を追いに!
ぐぐぐぐ……ぐはっ
まだ、やるか?
くそったれがっ 何なんだ貴様ら……
さあ、おとなしくその儀式のことを話してください。
そうすれば、傷を癒やしてあげますよ。
お前そんなことできたのか。 便利だな魔術……
まあできないんですけどね。
じゃあ なんで言ったんだ……
お前がマーマス家の怪しげな儀式に参加してるってのは調べがついてる。
それがどうした? 貴様には関係なかろう。我らの神聖な活動に、横槍は入れさせんぞ。
壁面に打ち付けられる拳。したたる男の冷や汗。
関係ない? おおあり、だ。
年頃の娘を生贄にし、くだらん儀式を実現しようとしているな?
儀式で勝手に馬鹿騒ぎするのは一向に構わんが、クライアントにちょっかいを掛けられてはたまらん。返してもらうぞ。
生贄? な、なんの話だ。そんなものは……
?
さあ、おとなしく――うわっ
ぐっ砂か……!? 目をやられた……!
あばよっ
大丈夫ですか!
俺はいいから、さっさと後を追え! それか魔術で足止めを……!
ぐっ! 足音が遠ざかって……なにしてるアルマド!
こんな狭い路地裏じゃ魔術は難しいですよ……建物を壊してしまう。
大丈夫ですよ。ああいう輩は泳がせておいたほうがいいんです。
それに――ファミリアにあとをつけさせました。
なんだ、それを先に言え……!
はあ、はあ、撒いた……! なんだったんだあいつらは。
頭領に連絡しとかないとな……
ポッポッポ
うわっ鳥! なんだこいつ!?
ついてくんなよ。あばよっ
ポポポッポッ
おっ あれがマーマスの屋敷ってやつか!
よっしゃ玄関だぜ! 突撃ーー!
間抜け! バカ正直に表から行くやつがあるか!
俺は、俺は、何者にも縛られん!
ああもう――――せやっ!
きゅう
続く