この国で一番戦に強い者に、天下の称号を与える。

この国の王様が言った。

この言葉を聞いて、
強者達が各地で戦を始めた。

世はまさに、戦国時代の幕開けである。

その時代にある小さな家が巻き込まれていった。

その家は長作村という小さな村にある天羽家である。

当主である長経は行方知れずで一ヶ月経とうとしていた、、、
当主の代わりを長経の子、経丸が務めることとなった。

士郎

ねえーやめてよー。

男三人が小さい少年をいじめている。

経丸

やめろー。

男達

なんだ、おまえは。

男三人は服を切られてパンツ一枚になり逃げ出した。

いきなりの出来事にぼーっとする少年。

経丸

大丈夫?

士郎

あっ、はい。

少年は助けてくれたのが美少女だった事に驚いた。

経丸

では、これで。

士郎

すみません、お名前は。

経丸

天羽家の城主、天羽経丸だ。

この出会いから2年後。

士郎

俺を天羽家の弓矢隊の隊長にしてください。
お願いします。

片倉

はあー。隊長に、、、しかしあなたのような子供にはそもそもあなた何者ですか?

士郎

人気者だあー

片倉

はあー。

片倉

とにかく何者かわからない者を城には入れたくない帰っていただきたい。

経丸

まあそんな硬いこと言うなよ片倉

片倉

殿っ!

経丸

いいじゃないか、この方は本気みたいだし。

経丸のこの発言に

士郎

俺のこと覚えてなかったんだ。

片倉

殿、なにをお考えで。

経丸

あなた名前は?

士郎

えっ、外岡士郎です。

経丸

士郎。早速ついて参れ

士郎

はい。

城内、弓道場。

経丸

今日から弓矢隊の隊長になる、外岡士郎だ。皆しっかり教わるように。

モブ

だいじょぶなのか?

モブ

あんなちっこいのが隊長なんて無理だろ。

経丸の家来たちはざわついた。

片倉

殿、皆は納得してないようです。
まああたりまえです。
私たちにさえ弓の技術を見せてないんですから。

経丸

そうだな。じゃあ見せてもらうか。そうすれば皆も納得するだろう。

士郎

へっ

片倉

いいんじゃないんでしょうか、隊長となるのですから実力をみせてもらわなければ。
そこで私から一つ課題を。

片倉

あなたにはこの線から矢を射ってもらい*図星を当てたら隊長として認めましょう。

*図星、弓道の的の中心のこと

経丸

でははずしたら、

片倉

その時は隊長と認めず出ていってもらいます。

士郎は片倉が自分を舐めてると思って

士郎

こんな線よりももっと後ろから射抜きますよ。

そう言って士郎は思いっきり後ろにさがった。

モブ

さすがに無理だろwww

モブ

あいつ調子乗ったわ

士郎は歯をくいしばった

士郎

絶対に当ててやる!
いや。感情的になるな。
冷静になれ

士郎

気持ちが乱れると矢も乱れる。

士郎

俺にはできる。
気持ちー!気持ちー!

そして士郎は、矢を放った。

放たれた矢は綺麗な弾道を描き、図星に吸い込まれていった。

家臣たちはどよめいた。

経丸

どうだ、片倉文句はないか?

片倉

そうですね。

士郎はドヤ顔をした。

士郎

まあまあ、俺みたいな天才には楽勝だったよ。そこのお兄さん。

片倉

お兄さんではない!片倉だ。

経丸

これより弓矢隊隊長は外岡士郎になった。
皆しっかり教わるように。

士郎

それじゃあみんなよろしく。

モブ

さっきのはどうやってできたんですか。

モブ

私もうまくなりたいです。

これにより士郎は弓矢隊の隊長として張り切って皆を指導した。

弱小と呼ばれていた天羽家の弓矢隊は日に日に弓矢の扱いが瞬く間に上達していった。

そんなある日

モブ

経丸様!!村が、矢部軍に襲われています!
お助けください!

経丸

片倉!皆を呼び、すぐ支度して向かうぞ。

片倉

はい、殿!

矢部軍は次々と村を壊していった。

矢部

ったく。てこずらせやがって。

荒井

殿。天羽家の者が来ました。

矢部

くっきたか。

矢部

お前らかかれー!

荒井

なんだど。あの数を一瞬で。

荒井

まずいです。このままでは。

荒井

くっそ、こうなったら。

矢部軍の副将荒井は士郎達弓矢隊の攻撃を防ぐために村人を盾にした。

士郎

おい。なにしてんだ。そこのちび卑怯だ。

荒井

この世の中で卑怯とか叫んでるとはおめでたいやつだ。

村人

やめて離して。

荒井

うっせえーぞ。

士郎

んなことはどうでもいい。
人を盾にせず戦えよ、チビ。

荒井

おまえもチビだろ。まあ、アホは相手にしねぇじゃあな。

士郎

くそやろうが

士郎は弓矢を射抜く事ができず荒井駆の軍が去っていくのを悔しさを滲ませながら見てるしかなかった。

矢部

何をやっているんだ。

経丸は矢部を守っている家来を切り倒した。
切り倒された兵をみて、

矢部

くそが。

経丸は一瞬の隙をついて矢部を捕らえた。

矢部

、、、命だけは助けてくれ、、、なんだってする家にはお腹を空かせた子供や妻がいるんだ。

矢部

命だけは。

矢部は経丸に土下座した。

経丸

わかった。

経丸は刀を鞘にしまった。

片倉

殿。!!何許しておるのですか!こやつは村の人達を恐怖に追いやった、、、何が何でも殺さなければ!!

経丸

こやつは反省しておる、それに家には待ってる者もおるではないか。しばらくは罪を償わせてそして家に返してやるのが一番なのでは。

片倉

「だめです。こやつは殺さなければなりませぬ。」

経丸

片倉頼む。今回だけは任してくれ。

経丸

士郎、矢部を牢に閉じ込めよ。

片倉

殿!!

こうして矢部は城の中に閉じ込めることにした。

しかしその後矢部は牢から逃げ出した。

矢部の逃走はすぐさま村人まで噂になり城の外では大衆が集まっていた。

モブ

なぜ、矢部を殺さなかった!!

モブ

これだからおなごはおなごに城主は務まるわけなかった。

モブ

弱虫城主経丸!!

経丸

やはりおなごの私になんか城主は務まるわけなかった。

経丸

私がやるべきでなかった。私があんな奴に同情したから。

士郎

うるさーい!!

士郎

殿は弱虫なんかじゃない。次こそは必ず矢部を討ち取るんだ。だからおまえらさっさと帰れ!!

経丸

士郎、、、。

数日後、、
矢部が宣戦布告し矢部軍と戦をする日が来た。

モブ

あんな大軍に攻め込まれたら壊滅する、、

モブ

無理だ、、あんなのに勝つには。

士郎

みんな!今までやってきたこと信じろ!

士郎

そして自分を信じろ!!

士郎

気持ちー。気持ちー。

士郎

おい!弓矢隊はしばらく頼むぞ。俺は敵をおびき寄せるから。

モブ

はっ。士郎殿お気をつけて!

士郎は走って行った。その後ろ姿をみて。

モブ

大丈夫ですかね。士郎殿作戦は。

モブ

大丈夫だ、士郎は、やってくれる。

矢部

どうだ。この戦は楽勝か。

モブ

はい。もちろんでございます。

矢部

そろそろ攻めに行くか。

荒井

いやぁこちらは大軍、どーんと待ち構えるのがよろしいかと。

矢部

そうだな。

モブ

申し上げます!一騎こちらに向かっております。

矢部

なんだ、なんだ。

士郎

我こそは外岡士郎。

士郎は矢を矢部本人の近くの旗に当てた。

その侮辱行為に対し矢部は怒り

矢部

者共かかれー!!奴を必ずひっ捕らえよ。

士郎

思ってたより早ーい!!

片倉

ひとまず、作戦成功したのかな、これは。

敵は士郎を追いかけていく。

モブ

弓矢隊構え。

モブ

射てぇー。

士郎の弓矢隊の矢は次々に敵兵に刺さっていった。

その状態を見た矢部は激怒し、

矢部

何をやってるんだ。皆かかれー!!

矢部軍は士郎の弓矢隊に多くの兵を割いたため、本陣が手薄になった。

片倉

殿、今しかありませぬな。

経丸

うむ。

経丸

今こそ好機到来!!我に続けー!

経丸隊は山を下って矢部本陣に突っ込んでいった。

その様子を見た矢部は

矢部

なんだと。

経丸は次々と敵を討ち取っていった。

士郎は逃げ出そうとする荒井を見つけた。

士郎

みーつけた。

士郎は荒井に向かって矢を放った。

経丸も矢部に斬りこんでいった。

荒井と矢部の首は同時にはねた

経丸

敵将討ち取ったりー!!

士郎

敵将討ち取ったりー!!

2人の声は同時に響いた。

天羽軍に歓声が起こった。

経丸

士郎、我に恩返ししてくれてありがとう。

士郎

恩返し?

経丸

小さいころからだいぶ成長したな。

士郎

まさか殿。

経丸

あぁお前のことは忘れたことなかったぞ。

士郎

殿。

経丸

立派に成長し我のところに来てくれて
ありがとう。

経丸は士郎にハグした。

士郎は顔を真っ赤にした。

経丸

これからもよろしく頼む。

士郎

はい。

この瞬間今は小さな英雄の強い気持ちが戦乱という大河に流れこんでいくのである。

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