顧問の槙野は困っていた。
あまりにも異様な空間がその教室に広がっていたからである
顧問の槙野は困っていた。
あまりにも異様な空間がその教室に広がっていたからである
で、部長。
これはどういう状態なんだ?
あの、その・・・
説明しないとだめですか?やっぱり駄目なんですか?
それが部長の務めだろ
・・・なんでこの部屋だけ空気が重いんだよ
それは先生の存在が軽すぎるというか・・・むしろ薄いからというか?
そーいうデリケートなことを本人の前で堂々と言うなよ、先生も傷つくんだからな
でも先生が居ないところで言ったら、もっと傷つくじゃないですか~
冗談を織り交ぜながら、説明から逃げようとする。
もちろん、ただの時間稼ぎに過ぎない。というか、時間を稼ぐ必要は特にない。・・・問題はこの現場に顧問が居ること。それだけなのである。
遡ること、二時間前
一年生の僕が言うのもなんですけど・・・先輩たちって不器用ですよね
不器用?
不器用・・・か?
不器用・・・とは
手先が器用ではないこと。つまり、手芸ができないとかそういうことだろうか
と、頭の上に大きなはてなが生成されているのを淳史は感じ取っていた。
これは、言葉が足りなかったのであろう
っと、不器用っていうのは、コミュニケーションというか、感情表現というか
言葉じりをもにょもにょさせる・・・
だんだん自分の言葉に自信がなくなる。でもこの二人のやり取りを見ていると、どうしても感じてし舞うのであった
私、話しかけにくいかな?
もしかして威圧的?
いやそういう方向性ではなくて
▼ 淳史の攻撃 桜花に 5の ダメージ
もしかして、俺の座を奪おうとしてるとか?
先輩のポジションは絶対いやです!!
ラノベの主人公に転生したとしても先輩のポジションだけはお断りです
▼ 淳史の攻撃 慧人に 1000の ダメージ
う、難しい
俺ってそんなにダメかな・・・
うんうん
皆コミュニケーションがうまく取れてないよねって話。分かるなー
あ、先輩
遅かったですね
ちょっと出港準備の手間取っていたからねー
???????
あれ、もしかして一番意思疎通が難しいのは雫先輩なのではなかろうか
淳史の疑問は次の瞬間、確信へと変わるのであった
まあ、皆の居場所はこの雫様が守ってやろうぞ
者ども、船に乗り込んだか?これからは運命共同体、泥船に乗り込む覚悟はいいか?
雫以外の全員の目が点になる
何言ってるのだろうか。というか、この人が部長で大丈夫なんだろうか?
運命共同体・・・?
は?え?ん?
各々頭にオリジナル疑問符が浮かぶ。そして言葉を何とか理解しようと咀嚼
かみ砕けない
もしかしなくても、一番コミュニケーションが取れないのは雫先輩のみである。そして彼女は部長である。
重くなる空気の重圧を、約1人をのぞいて感じているのであった。
あれ?
また、変なこと言ったかな??