シュウヤ

ああ、学校休みなんですか

ミロク

そりゃまあ、校舎が一部破壊されちゃったからねえ

シュウヤ

じゃあ、おねーさんは今日はどうするんです?

ミロク

学園長からの指示を待つわ。本当に生徒が戦争に駆り出される……なんてことになったら大変だし

シュウヤ

まあ、いいじゃないですか。おねーさんは魔法、得意なんでしょ?

ミロク

そうでもないのよ……なにせ私の得意魔法は『祈り』だし

シュウヤ

『祈り』なら余計に遠方から攻撃できる手法がたくさんあるんじゃないですか?

ミロク

例えば……?

シュウヤ

いや、僕は魔法について詳しくないんでそんなよく分かりませんけど

シュウヤ

聞いた話によりますと、透視や転送はお手のものなんでしょう?

シュウヤ

なら透視で敵の位置を把握して爆弾でも転送すれば一発ですよ

シュウヤ

もしくは、強い魔力のある人間を敵陣に転送させ、攻撃させてからこちらへ戻すとか……応用ならいくらでもきくはずです

ミロク

な、なるほど……

シュウヤ

そんなことも考えなかったんですか?

ミロク

今まで、自分の魔法は戦闘向きじゃないって思ってたから……考えたことなかったかも

シュウヤ

…………

シュウヤ

あの、失礼なことを問いますが

ミロク

何?

シュウヤ

お姉さんって、本当は馬鹿なんじゃないですか?

ミロク

し、失礼な!

シュウヤ

1+1は?

ミロク

馬鹿にしないでよね!

シュウヤ

12の二乗は?

ミロク

急に難易度上げないで!

シュウヤ

…………

シュウヤ

やっぱり馬鹿だ

ミロク

じゅ、12の二乗は144でしょ?
ちゃんと計算すればそれくらい分かるし……

シュウヤ

わー、流石ミロクおねーさん、天才です

ミロク

また、馬鹿にして……

シュウヤ

ま、そんなわけで

シュウヤ

『祈り』の魔法でも十分戦闘能力はありますし

シュウヤ

校舎の一部を破壊することも可能です

ミロク

それって……

ミロク

わ、私を疑っているの!?

シュウヤ

いえ、全然

ミロク

え?

シュウヤ

だって爆発があったとき、あの変な呪文みたいなやつ唱えてなかったじゃないですか

ミロク

変な呪文みたいなやつって……確かにあれは魔法を発動するための呪文だけど

シュウヤ

この世界の魔法が面倒くさいところは、そこですよね。発動に時間がかかるというか……

ミロク

一応、短縮することも可能よ

シュウヤ

そうなんですか?

ミロク

簡単な魔法に限るけどね……魔法陣を描くだけで発動させられる魔法もあるにはある

シュウヤ

へー

シュウヤ

そんな、わざわざ自分が容疑者になりかねない情報をどうもありがとうございます

ミロク

そりゃあ……私は犯人じゃないから

ミロク

言っても問題はないかと……

シュウヤ

へー……まあ、どうでもいいんですけど

ミロク

どうでもいいって……

シュウヤ

いずれにせよ、お姉さんは白ですね

シュウヤ

黒だったら、僕とこんなところで駄弁ってないで、誰かと連絡を取る必要もあるでしょうし

シュウヤ

今回の件、どうも単独犯の計画とは思いにくいところがあるので

ミロク

どうして?

シュウヤ

僕だったら、一人でこんなことはしないなあと思ったからです

ミロク

そんなのが根拠になるとは思えないんだけど

シュウヤ

おねーさんは、僕に疑ってほしいんですねー

ミロク

そうじゃないけど!

シュウヤ

ふう……

シュウヤ

そうだ、ここで一つ昔の話をしましょうか

ミロク

昔の話?

シュウヤ

僕がまだ前の世界にいた頃の話です

ミロク

なんで、突然

シュウヤ

なんか、あまりにも今の状況と似ていたので

シュウヤ

参考までに

ミロク

参考……

シュウヤ

そもそも僕が死んだのは、ある女の子を庇ったために事故に遭った……っていう、まるでヒーローのような素晴らしい経緯なんですが

ミロク

初っ端から嘘っぽい……

シュウヤ

これは事実です

シュウヤ

そうじゃなかったら自殺してたけど

ミロク

ん?

シュウヤ

いえ、なんでも

さて、このお姉さんにいろいろ吹き込んで、どこまで動いてもらえるかな

???

その話僕にも教えてほしいな

シュウヤ

ん?

ミロク

だ、誰!?

キノ

ふふふ。不法侵入してごめんね

キノ

僕はキノ

キノ

所謂、情報屋ってやつかな

ミロク

情報屋って……

シュウヤ

まーた、ややこしいのが出てきた

続く

シュウヤの秘密2

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