ふえぇ、疲れたぁ……。

 レポートを入力していた手を止め、窓の外を見る。

……。

 祖父母が趣味で作っている、枯れかけた野菜畑の他に、順(じゅん)の瞳に映るものは何もなかった。

尤理(ゆうり)、いつ来るかな?


 世界を管理・運営する『システム』の整備と管理を行う『管理者』としてあちこち移動している従姉の、『システム』越しの声を思い浮かべる。

明日、行くね。

フライケーキ!
絶対っ! 買ってきてっ!

はいはい。

 昨日の連絡では、今日、来ると言っていた。

 順の大好きな「フライケーキ」を持って。

フライケーキ……。


 カリッとした外皮と中に入った甘い漉し餡を思い浮かべると同時に、昼食を入れたはずのお腹がグウと鳴る。

早く食べたい……。


 だが、レポート未完成でフライケーキにかぶりついたら、祖母に怒られるのは自明の理。

……レポート、やろう。


 息を吐いて幻影を追い出すと、順は再び、PC画面と向き合った。

フライケーキを待ちながら

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